2026年4月29日、ベトナム社会保険庁(Vietnam Social Security)は、社会保険、医療保険、および失業保険の保険料徴収、ならびに社会保険手帳および医療保険カードの交付に関する手続きを定めた決定第366/QD-BHXH号(以下「決定366」)を発行しました。決定366は2026年5月1日より施行され、2017年4月14日付の決定第595/QD-BHXH号およびその関連改正決定に代わるものとなります。
本手続きは、第1条第2項に基づき、公式にはベトナム社会保険機関(当局)に対して適用されるものですが、第4条において、加入者および雇用主の提出書類、提出手続き、および支払い関連の義務について規定されています。これに従い、決定366では以下の指導・案内が提供されています。
1. 加入者(従業員等)への指導・案内
強制社会保険、医療保険、失業保険、任意社会保険、または任意労働災害保険の加入者の場合:
加入者は、様式「TK1-TS」を用いた「社会保険および医療保険への加入・情報調整登録申告書」に記入し、関連する証明書類(ある場合)のコピーを添付して、雇用主、加入者開発支援機関、または管轄の社会保険機関に提出しなければなりません。
医療保険のみの加入者(日本人駐在員等)の場合:
加入者は、政令第188/2025/ND-CP号とともに公布された様式第2号を用いた「医療保険への加入・情報調整申告書」に記入し、関連する証明書類(ある場合)のコピーを添付して、医療保険のみの加入者を管理する機関、加入者開発支援機関、または管轄の社会保険機関に提出しなければなりません。
以下のケース等に該当する場合:
社会保険または医療保険への加入情報の調整(変更);
社会保険手帳または医療保険カードの再交付;および
社会保険料または失業保険料の返還(還付)
加入者は、該当する申請書類一式を作成し、関連する証明書類(ある場合)のコピーを添付して、雇用主または管轄の社会保険機関に提出しなければなりません。
保険料の自己負担分の支払い:
加入者は、適用される規制に従い、自身が責任を負うべき負担分の保険料を支払うものとします。
電子データでのアクセス:
加入者は、国家電子識別アプリケーション(VNeID)のレベル2アカウント、デジタル社会保険アプリケーション(VssID)、または自身の電子メールの受信トレイを通じて、電子社会保険手帳および電子医療保険カードにアクセスすることができます。電子社会保険手帳は、社会保険および失業保険の給付金決済のために受領し、使用することができます。電子医療保険カードは、医療保険が適用される医療施設での診察・治療、および医療保険の対象となる医療費の支払いに使用することができます。
2. 雇用主(企業)への指導・案内
決定366の第4条第2項に基づき、雇用主は以下の事項を行うことが義務付けられています:
様式「TK3-TS」を用いた「雇用主登録および社会保険、医療保険、失業保険への加入・情報調整申告書」を記入すること;
様式「D02-LT」を用いた「社会保険、医療保険、失業保険への加入および保険料調整明細一覧表」を、雇用主および加入者の関連書類(ある場合)とともに作成すること;および
適用される規制に従い、必要な書類一式を管轄の社会保険機関に遅滞なく提出すること。
また、雇用主は、社会保険法第33条および第34条、ならびに医療保険法第13条および第15条に従って、然るべき保険料を支払わなければなりません。
保険料の滞納・未払いに関するペナルティ:
雇用主が従業員の医療保険料の支払いを遅延または回避(滞納)し、その結果として従業員に医療保険カードが交付されなかった場合、雇用主は、当該遅延または支払い回避のために医療保険カードを持っていなかった期間に従業員が支払ったすべての診察・治療費を、医療保険の受給権および適用される給付レベルの範囲内において、医療保険法第49条に従って従業員に払い戻さなければ(弁償しなければ)なりません。
3. 寸評
決定366の大部分は従来の決定595/QĐ-BHXHを引き継いでいますが、2024年社会保険法(2025年7月1日施行)やデジタル行政の流れを反映した内容となっています。
注目に値するのは、VNeIDレベル2等を通じて電子社会保険手帳や電子医療保険証へアクセスできることを明確化した点です。これは近年の政府方針であるVNeID中心の行政サービスと整合しています。
加えて、医療保険料の未納・滞納により従業員が医療保険証を利用できなかった場合、企業は本来医療保険でカバーされる範囲の医療費を従業員へ補償しなければならないことが改めて明示されています。これは新しい義務ではありませんが、社会保険法等に基づく企業責任を再確認したものです。近年は社会保険債務への取り締まりが強化されており、実務上も重要と言い得るところです。
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