2025年税務管理法(法律番号:108/2025/QH15)は、2025年12月10日に開催された第15期国会第10回会期において採択され、2026年7月1日より施行されます。今回の改正では、他の修正事項に加えて、間接的な資本移転(譲渡)取引に関連する源泉徴収、申告、および納税義務に関する規定が補足・改定されています。
具体的には、譲渡人(売手)と譲受人(買手)の両方が外国法に基づいて設立された組織、またはベトナムに居住していない外国籍の個人である場合、譲渡人が間接的に投資しているベトナムの法律に基づいて設立された組織(ベトナム現地法人等)が、税法に従って譲渡人に代わり税金を申告・納税しなければならないとされています。
影響と効果
– 間接移転のスキームを用いたクロスボーダーM&A取引における税の取りこぼし(租税回避)リスクの軽減:
この改正は、外国の親会社や中間の持株会社のレベルにおける株式または所有持分の移転を伴う取引を対象としています。
– ベトナム国内の外資系企業におけるコンプライアンス(法令遵守)義務の増大:
影響を受ける企業は、間接的な資本移転取引が発生した際に税務申告および納税義務をタイムリーに履行できるよう、外国親会社や海外株主のレベルにおける所有構造の変化を主体的に監視・把握する必要があります。
– 2025年税務管理法の下で推進される「データ駆動型」および「リスクベース」の税務管理アプローチとの整合:
今回の改正により、ベトナム国内に直接的な拠点を置いていない取引にまで税務管理の範囲が拡大されます。これにより、ベトナム国内に潜在的な経済的利益(原資産)を持つクロスボーダー取引に対して、税務当局が監視し税金を徴収する能力が強化されます。
寸評
この改正は、ベトナムの国際課税・M&A実務においてかなり重要な変更です。表面的には「税務管理法の手続規定の補強」ですが、実質的にはベトナム税務当局が海外で完結する株式譲渡取引に対する徴税力を大幅に強化するものと評価できます。
端的に、「海外で行われた株式譲渡であっても、ベトナム資産が含まれているなら、ベトナム子会社から税金を回収する」という考え方です。
ベトナム子会社は取引の当事者ではないにも拘らず、申告納税洩れを避けるため、海外親会社に関する情報取得義務が事実上発生するということにもなります。
爾後M&AのDDの局面や譲渡契約の税務条項に纏わるワーディング、少し先になるかもしれませんが税務調査対応等比較的広汎な影響を及ぼすことも想定されます。
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