1. はじめに
2025年12月12日、政府は労働登録および労働市場情報システムに関する雇用法のいくつかの条項を詳細に規定した、政令第318/2025/ND-CP号(以下「本政令」といいます)を発行しました。本政令は2026年1月1日に発効していますが、段階的な実施スケジュールとして下記の通り規定されています:
2026年7月1日から: 強制社会保険の対象となる従業員の登録およびデータ調整手続きの実施。
2027年1月1日から: 強制保険の対象とならない就業者および失業者の登録およびデータ調整手続きの実施。
本政令は4つの章と25の条項から構成されており、雇用法第74/2025/QH15号の下で割り当てられた規定に従い、労働登録の対象者、労働登録情報、労働登録の書類・順序・手続き、従業員データベースの受信・管理・開拓・接続・共有・活用、および労働市場情報システムに関する具体的な規制を定めています。
2. 労働登録の対象者
本政令によると、労働登録の対象となるのは以下の3つのグループです。
– 社会保険法第41/2024/QH15号第2条第1項に従い、強制社会保険への加入対象となる従業員;
– 強制社会保険の加入対象とならない就業者;および
– 現在仕事がなく、積極的に求職活動を行っており、就業可能な失業者。
公務員等を除き、より広汎に労働登録の対象とされることになりました。
従業員は、自身の労働登録書類を自己申告し、その申告情報の真実性と正確性についてすべての法的責任を負うものとします。
また、雇用主は、規制に従い、採用時、または労働関係の変更もしくは終了時に、従業員に関する完全、正確かつタイムリーな情報を収集、申告、および提供する責任を負います。
3. 労働登録情報
本政令は、従業員の労働登録情報に以下の内容が含まれると規定しています。
– 基本個人情報: 氏名(姓、ミドルネーム、名)、個人識別番号、生年月日、性別、民族、および現在の居住地(永住地または一時滞在地);
– 学歴および資格: (a) 最終学歴(普通教育の最高修了レベル) (b) 職業教育または高等教育で取得したトレーニングのレベルおよび分野 (c) 取得した国家職業技能資格証 (d) その他関連する証明書・資格証;
– 雇用形態および求職ニーズ: (a) 現在の雇用の詳細:役職、専門職の肩書、職種、契約形態、および勤務地 (b) 雇用主の情報:名称、企業識別・コード番号、法人形態、本社所在地、および経済セクター (c) 失業状態:失業期間および失業の理由 (d) 仕事の希望/ニーズ:希望する職種、契約形態、給与、福利厚生、および希望する勤務地;
– 社会保険および雇用保険: (a) 拠出状況:社会保険コード、保険の種類、およびカテゴリー (b) 受給状況:給付の種類および受給期間;ならびに
– 特別な特性/人口統計学的情報: (a) 障がい者に関する情報 (b) 貧困世帯、貧困に近い世帯、または土地を回収された世帯の個人に関する情報 (c) 革命への功労者の親族に関する情報 (d) 兵役または人民公安部隊での服務を完了した個人に関する情報。
4. 労働登録の書類、順序、および手続き
1) 強制社会保険に加入する従業員の場合
書類: 労働登録書類は、法律第41/2024/QH15号第27条第1項に規定されている社会保険登録申請書であり、本政令に記載されている具体的な雇用および求職ニーズの詳細が補足されたものです。ベトナム社会保険庁(Vietnam Social Security)がこの様式を発行する責任を負います。
手続き:
a. 従業員は、社会保険登録申請書に入力するために関連情報を雇用主に提供し、その正確性に責任を負います。
b. 雇用主は、社会保険への加入・調整の書類を提出する際、従業員に代わって労働登録情報の登録または調整を行います。
c. 社会保険機関によってデータが受信および処理されると、従業員の登録データは集中化された国家従業員データベースと同期・共有されます。
2) 強制保険の対象とならない就業者および失業者の場合
書類: 本政令とともに発行されたテンプレートに準拠した電子申告書。
登録方法: オンライン。
手続き:
a. 対象者は、国家就職取引プラットフォーム(https://www.vieclam.gov.vn )または電子識別アプリケーション(VNeID)にアクセスし、労働登録/調整のセクションを選択して電子申告書に記入します。
b. システムが提出された内容を処理し、完了するとすぐに登録成功の結果を返します。不成功の場合、システムはその根本的な理由を提示します。
c. その後、対象者の情報は自動的に更新され、国家従業員データベースに同期されます。
求職ニーズ: 対象者が仕事探しの支援を必要とする場合は、公的雇用サービスセンターで直接、あるいは国家就職取引プラットフォームやVNeIDを通じてオンラインで直接登録することができます。
4. 寸評
本政令は、新雇用法(Law No.74/2025/QH15)を施行するために、全国統一の「労働者データベース(Labor Database)」を構築することを目的としたものと位置づけられます。これは従来の労働管理制度を大きく変更するというよりも、社会保険データ、雇用情報、求職情報を国が一元管理する仕組みを制度化したものと理解すべきところです。
日系企業等企業側から見ると、社会保険手続と労働登録が一本化されるという意味合いが強いとも言い得ます。
具体的な変更点として、労働登録制度が全国統一されたこと、雇用主の正確かつタイムリーに労働情報を登録・更新する責任が明文化されたこと、登録情報が大幅に増えたこと、社会保険加入者は社会保険申請だけで登録完了となること、社会保険未加入者も登録対象とされたこと等が挙げられます。
日系企業に及ぼし得る影響としては、人事情報管理をより厳格にすると共に、入社・退職手続きを迅速に行い、且つ学歴・資格管理の重要性が高まったこと等があり得るところです。より具体的に、
– 人事マスターデータを最新・正確な状態に維持すること;
– 入社・異動・退職時の社会保険届出フローを見直し、期限内提出を徹底すること;
– 学歴・資格証明書など登録情報の根拠資料を適切に保管すること;および
– 社会保険システムと社内人事システムの情報整合性を定期的に確認すること
等を通じて、法令改正に対応していくことが考えられます。
当社では上記のような法令updateの他、法務労務周りのコンサルティングを幅広に提供しております。そのような需要があれば、info@ags-vn.comまで是非ご連絡下さい。ではまた。