1. はじめに
2026年6月26日、政府は、再生可能エネルギー発電事業者と大口電力消費者との間の直接電力購買メカニズムに関する政令第57/2025/ND-CP号、および再生可能エネルギーと新エネルギーの開発に関する電気事業法のガイドラインを定めた政令第58/2025/ND-CP号を改正する、政令第243/2026/ND-CP号(以下本政令といいます)を発行しました。
2. 概要
これに伴い、政令第57/2025/ND-CP号の第4条が改正され、直接電力購買メカニズムについて以下の通り規定されました。
直接電力購買(DPP)とは、再生可能エネルギー発電ユニット、大口電力消費者、および工業団地・工業クラスター、またはこれらに類する開発区域内で事業を行う電力小売事業者との間で行われる電力の売買を指し、以下のメカニズムを通じて実施されます。
1) 専用接続線を通じた直接電力購買
これは、政令第57/2025/ND-CP号の第II章に従い、再生可能エネルギー発電ユニット、大口電力消費者、および工業団地または工業クラスター内で事業を行う電力小売事業者の間で、電力購買契約を締結し、専用の接続線を通じて直接電力を送受電することを指し、以下を含みます。
– 再生可能エネルギー発電ユニットと大口電力消費者との間の電力購買取引;
– 再生可能エネルギー発電ユニットと、工業団地または工業クラスター内で事業を行う電力小売事業者との間の電力購買取引;および
– 工業団地または工業クラスター内で事業を行う電力小売事業者と大口電力消費者との間の電力購買取引(電力小売事業者が再生可能エネルギー発電設備に投資し、大口電力消費者へ直接電力を供給する場合)。
2) 国国家送電網を通じた直接電力購買
これは、政令第57/2025/ND-CP号の第III章に従い、再生可能エネルギー発電ユニット、大口電力消費者、工業団地または工業クラスター内(都市区域および自由貿易地域を除く)で事業を行う電力小売事業者、ならびにその他の関連エンティティ(実体)との間で、電力購買契約を締結し、電力を送受電することを指し、以下を含みます。
– 再生可能エネルギー発電ユニットが、発電したすべての電力を競争的卸売電力市場のスポット市場(スポット電灯市場)に売却すること;
– 大口電力消費者、または工業団地もしくは工業クラスター内(都市区域および自由貿易地域を除く)で事業を行う電力小売事業者が、再生可能エネルギー発電ユニットとの間で電力先物契約を締結すること;および
– 大口電力消費者、または工業団地もしくは工業クラスター内(都市区域および自由貿易地域を除く)で事業を行う電力小売事業者が、電力公社(Power Corporation)または電力会社(Power Company)との間で電力購買契約を締結すること。
3) 需要家
上記(1)および(2)に基づき直接電力購買取引を行う大口電力消費者、または工業団地もしくは工業クラスター内で事業を行う電力小売事業者は、他の適用法令に従い自らの電力需要を満たすための電力を購入するため、電力公社または電力会社との間で電力購買契約を締結することもできます。
3. 寸評
本政令は、DPPA制度を実際に使いやすくするための制度整備という位置付けです。最大の変更点は、工業団地・工業クラスター内の電力小売事業者が正式にDPPAの当事者として位置付けられ、小売事業者自身による再エネ設備投資・販売モデルが明確化されたことです。
日系太陽光発電事業者への影響としては、工業団地向けの屋根置き太陽光PPAや、工業団地全体への再エネ供給といった新たなビジネスモデルを展開しやすくなる点が大きなメリットです。また、日系製造業にとっても、RE100・脱炭素対応や電力調達の選択肢拡大という観点から、再エネ導入を加速させる追い風となる改正と評価できます。
とはいえ、従前から継続している日系および外資系太陽光発電事業者が各工業団地等でIRC/投資登録証を取得できないという問題の解決策になるか否かは、引き続き所轄当局である内務局/DOH或いは内務省/MoHの広汎な裁量に委ねられるということにはなってしまいます。ベトナム、特に北部における電力需要の逼迫が外資製造/加工業の進出や拡大を躊躇させる一因となっていることは自明であり、本政令が法令および実務面からも太陽光発電の拡大を後押しするものになることが期待されるところです。
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