1. はじめに
政府は2026年6月30日付の政令第248/2026/ND-CP号(以下本政令といいます)を発行し、ECプラットフォーム上で活動する当事者の権利と義務に関する規定を含む、電子商取引法のいくつかの条項を詳述しました。
これに伴い、ECプラットフォームの運営者は、すべての当事者の権利と義務を公に開示し、電子商取引法、本政令、およびその他の関連法令の遵守を保証しなければなりません。最低限として、当該開示には以下の内容を含める必要があります。
なお、電子商取引法自体については、下記update↓
電子商取引に関する法律No.122/2025/QH15(ダイジェスト版) – AGS(AGS JOINT STOCK COMPANY)
をご参照下さい。
2. 電子商取引(EC)プラットフォーム運営者の権利と義務
– 運営条件および取引規約を発行、公表、および実施すること;
– プラットフォームへの参加に関するサービス基準および手続きを策定し、公表すること;
– 公表された価格設定方針(料金表)に従ってサービス利用料を徴収すること;
– 購入者が注文を確定する前に、適用されるプロモーション(キャンペーン)プログラムの完全な情報または概要情報を購入者に提供すること;
– プラットフォームの安全かつ安定した運営を確保すること;
– 販売者および購入者のアカウントの停止、解約、または制限を管理する規則を確立すること;
– ユーザーの営業秘密および消費者の個人データのセキュリティを確保するために必要な措置を講じること;
– ユーザーからの要望、フィードバック、および苦情を受理し、対応すること;および
– 違法活動を監視・防止し、要請に応じて管轄の国家機関に協力し、情報やデータを提供すること。
3. 販売者の権利と義務
– 商品の販売またはサービスの提供を登録、維持、一時停止、または終了すること。また、適用法令およびプラットフォーム運営者との合意に従って、商品、サービス、販売価格、およびプロモーション方針を決定すること;
– プラットフォームの技術的インフラやサポートツールを使用すること。自らの事業活動に直接関連するデータにアクセスすること。代金を完全かつ期日通りに受け取ること。ならびに、自らの要望、フィードバック、および苦情が透明かつ公表された方法で処理されること;
– 正確かつ完全な情報を提供すること。商品およびサービスの品質を保証すること。配送、保証、返品、および返金に関する義務を完全に履行すること。ならびに、禁止されている事業活動、偽造品の取引、知的財産権の侵害、またはその他の違法行為を行うためにプラットフォームを利用しないこと;および
– 国家に対する財政的義務(納税等)を履行すること。購入者のデータおよび消費者の情報を保護すること。ならびに、法令違反の取り締まりにおいてプラットフォーム運営者および管轄の国家機関に協力すること。
4. 購入者の権利と義務
– 消費者としての権利が保護され、商品、サービス、および販売者に関する完全かつ正確な情報を受け取ること;
– 商品、サービス、支払い方法、および配送方法を自由に選択すること。個人データが保護されること。ならびに、自らのフィードバック、要望、および苦情が適用される規定に従って処理されること;
– 必要かつ正確な情報を提供し、代金を完全かつ期日通りに支払うこと;および
– 適用法令、ならびにプラットフォームの運営条件および取引規約を遵守し、いかなる違法活動のためにもプラットフォームを利用しないこと。
5. 発効日
本政令は2026年7月1日から発効します。ただし、ECプラットフォーム運営者に対して販売者およびライブコマース販売者(ライブストリーマー)の電子本人確認(eKYC)の実施を義務付ける規定を除き、当該規定は2027年1月1日から発効するものとします。
6. 寸評
本政令は、一見すると権利・義務を整理しただけのように見えますが、実際には、ECプラットフォームの責任強化と、出店事業者(Seller)のコンプライアンス強化を目的とした法令です。
前掲2025年の電子商取引法(Law on E-commerce)の施行細則であり、消費者保護法や個人情報保護規則(PDPD)、税務管理法、商品品質法および知的財産法との連携を前提としています。したがって、EC事業者に対する規制は今後さらに厳格化される方向と考えるべきです。
自社サイトを運営する体力のある皆さんは個別にご相談頂くとして、ECサイトを通じてBtoCで自社製品を販売している企業にも一定の影響を及ぼす改正となります。
とりわけ、従前以上に商品情報や品質保証、偽物対策(第三者の知的財産権を侵害するような商品を販売しないこと)、VATやCIT、FCT等の適切な申告納税が重要となります。
また、どの程度取締がなされるか不明確な部分もあり、且つ日本/日系企業への影響は限定的と思われますが、eKYCによりインフルエンサーやライブ配信物販演者等がどの程度影響を受けるかも一応注目されるところです。
当社では上記のような法令updateの他、幅広に法務労務周りのコンサルティングを提供しております。そのような需要があれば、是非info@ags-vn.comまでご連絡下さい。ではまた。