ベトナム政府首相は、2026年6月4日付で「国家公共サービス・ポータルの管理、運用及び利用に関する規則」を定める決定第29/2026/QĐ-TTg号を公布し、2026年7月20日より施行されました(旧決定31/2021/QĐ-TTg号は廃止)。
本決定により、ベトナムでの各種行政手続(許認可、ライセンス変更、報告等)のオンライン窓口である「国家公共サービス・ポータル」のログイン方式や管理組織が大きく改定され、ベトナム進出企業のバックオフィス・法務実務に直接影響を及ぼします。
こちらは、そのダイジェスト版となります。
– VNeID(電子身分証明アカウント)への完全一本化:ポータルへのログイン方法が、従来の独自ID/PW方式から「VNeID(ベトナム電子本人確認・認証システム)」による統合ログインへと一本化・義務付けされました;
– シングルサインオン(SSO)機構の導入:ポータル、行政手続処理システム、その他関連システム間でのSSOが構築され、サービス利用中の再ログイン・再認証が不要になりました;
– 管理主体が「政府官房」から「公安省」へ移管:
+ ポータルのシステム技術管理・インフラ運用・セキュリティの責任主体が、従来の政府官房から公安省(Bộ Công an)へ全面的に移管されました(14項目の広範な職務を担当);
+ なお、行政手続に関するデータベースや手続プロセスの管理は司法省(Bộ Tư pháp)が主導します;
– オンライン決済システム・決済コードの刷新:オンライン決済時の取引種別コード体系が変更され(G22.99…からG99.99…へ)、公安省発行の技術ガイドラインに基づき一元運用されます;
– 人工知能(AI)およびバーチャルアシスタントの導入:申請書類の確認・分類、異常検知、AIチャットボットによる案内、および郵便サービス(郵送受け取り・結果受領)やVNeID/SMS等での進捗通知機能が組み込まれました;および
– リアルタイム・ダッシュボードによる監視強化:行政手続の進捗や処理状況をリアルタイム(またはそれに近い形)で視覚化・分析するダッシュボードシステムが構築されます。
日系企業に及ぼし得る影響として、まずは、VNeIDアカウントの有効化が必須(手続遅延のリスク)となることです。徐々にではあれ、各局面で存在感を高めつつあるVNeIDですが、企業の法定代表者(Legal Representative)等のVNeIDアカウントが未有効化、または一時停止・失効している場合、オンラインでの各種行政手続の申請・発行が完全にストップするリスクがあります。
それが遠い将来になるか近い将来になるか、今のところ誰にも予想がつかないところですが、ベトナムで往々にあることとして、あるタイミングから突然全てVNeID経由とされる可能性もあります。従い、減ってきているとは思われますが、未対応の日系企業については早急に対応されることをお勧めします。
また、システム移管(公安省主導)に伴うプロセス変更として、認証基盤やデータ連携が公安省の一元管理へ移行したため、今後の技術的仕様変更や本人確認プロセスの厳格化にも一応備える必要があり得るところです。
本件に限らず、顧問先にはより広汎且つ詳細な法務労務updateを適宜提供しております。そのような需要があれば、是非info@ags-vn.comまでご連絡下さい。ではまた。