1. はじめに
2026年7月23日、政府は企業登記に関する政令第168/2025/ND-CP号(以下旧政令といいます)を改正・補足する政令第296/2026/ND-CP号(以下本政令といいます)を発令しました。同政令におけるその他の改正点に加え、企業の実質的支配者(ベネフィシャル・オーナー)に関する規定が改正・補足されました。
2. 概要
これに伴い、2026年7月23日より、企業の実質的支配者に関する規定は以下の通り改正・補足されます。
法人たる企業の実質的支配者とは、直接的または間接的に、企業を最終的に所有する、あるいは最終的な実質的支配権を行使する1名または複数名の個人を意味します。この定義には、企業における国家資金を代表する個人(以下「企業の実質的支配者」といいます)は含まれません。実質的支配者は以下の通り特定されます:
1) 直接的、間接的、または直接的かつ間接的に、企業の定款資本の25%以上、あるいは全議決権付き株式の25%以上を所有する個人
間接的所有者とは、1つ以上の法人またはその他の法的取り決めを通じて、企業の定款資本の25%以上、あるいは全議決権付き株式の25%以上を所有する個人を指します。
企業法第4条第22項に規定される家族関係にある個人のグループ、または契約に基づく取り決めによる個人のグループが、共同で直接的、間接的、あるいは直接的かつ間接的に、企業の定款資本の25%以上、または全議決権付き株式の25%以上を所有している場合、企業は当該グループにおける各個人を実質的支配者として特定しなければなりません。
合資会社(パートナーシップ)の場合、出資比率や議決権にかかわらず、すべての無限責任社員(ゼネラル・パートナー)が企業の実質的支配者とみなされます。
2) 上記(1)の基準を満たす個人が存在しない場合、あるいは上記(1)に基づき特定された個人が実際の実質的支配者ではないと結論付ける根拠がある場合、企業は適用法令に従い、または実際の状況に基づき、その他の手段を通じて実質的支配者を特定しなければなりません
支配権は、以下の1つまたは複数の権利を通じて確立される場合があります:
– 取締役会の過半数または全員のメンバー、あるいは取締役会会長を任免・解任する権利;
– 社員総会の過半数または全員のメンバー、あるいは社員総会会長を任免・解任する権利;
– 社長または総支配人を任免・解任する権利;
– 企業の定款を改正または補足する権利;
– 企業の組織構造を変更する権利;
– 企業の財務、投資、および事業運営方針を決定する権利;または
– 企業の再編または解散を決定する権利。
3) 上記(1)および(2)の基準を満たす個人が存在しない場合、企業は、企業を代表する最高位の権限を有する企業管理者(企業における国家資金を代表する個人を除く)である個人を、実質的支配者として特定しなければなりません。
3. 寸評
本政令は、旧政令下で未だ曖昧だった実質的支配者の定義の更なる明確化を図る趣旨と解されます。
25%基準の明確化や、判定に際して実質支配をより重視する点、実質支配要件の判断基準具体化等が特筆に値するところです。
総じて、本政令は制度の方向性を変えたものではなく、2025年に導入された実質的支配者制度を実務で運用しやすくするための詳細化・明確化と位置付けられます。 一方で、形式的な株主名義よりも「誰が実際に会社を支配しているか」を重視する姿勢がより鮮明になったことから、名義借りスキームを採用している企業にとっては、従来以上に法的・実務的リスクが高まったと評価するのが適切です。
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