外国人の出入国・乗継・居住法No. 47/2014/QH13の一部を改正・補足する法律No. 51/2019/QH14(以下「改正法」)が2019年11月25日付けで公布されており、2020年7月1日より施行されます。
改正法には、ベトナムにおける外国人の出入国・経由・居住法の一部を改正・補足、その施行規定が含まれています。
ビザに関する現行の法律は、ベトナムにおける外国人の出入国・乗継・居住に関する法No.47/2014/QH13(以下「法47」)であるところ、査証(ビザ)の分類、出入国・乗継・居住の条件、手続等が規定されていますが、電子ビザに関する規定は置かれていませんでした。もっとも、ベトナムに入国する外国人の電子ビザ発行の過程手続に関する政令No.07/2017/ND-CP(以下「政令07」)、および政令No.07/2017/ND-CPを修正する政令No.17/2019/ND-CP(以下「政令17」)において電子ビザの取得手続が規定されています。政令07および政令17は2021年2月1日をもって失効し、改正法が上記の施行日より施行されることとなります。
改正法の主な事項は以下のとおりです。
1. 用語定義の追加(第1条1項)以下の用語の定義が新たに追加されています。
- 「入国管理用ウェブサイト」は、入国管理に関する情報の公表、オンラインによる公共情報の提供、情報検索・連絡・保存の補助、手続および質疑のガイドラインの提供をする入国管理当局のウェブサイトを意味する。
- 「電子ビザの発行用ウェブサイト」は、電子ビザの発行に関する情報の受領、処理および提供を行う入国管理用ウェブサイトと連携したウェブサイトを意味する。
- EV-電子ビザ
2. ビザ目的の変更(第1条2項)
法47第7条1項によると、ビザの種別(シングル、マルチ)および入国目的の変更は不可能とされていますが、改正法第1条2項では、以下の者の入国目的の変更を許容しています。
- ベトナム法令に従いベトナムに投資している外国投資家又は外国組織の代表者。
- 招待個人、保証個人との間で父母、配偶者、子供の関係を証明する書類を持つ者。
- 電子ビザで入国し、労働許可証または労働許可証の免除承認書を持つ者。
3. 投資プロジェクトの規模に従う投資ビザ(以下「ĐTビザ」)の分類に関する規定の補足(第1条3項)
法47 第8条ではĐTビザは、外国人投資家、外国人弁護士のビザとされていますが、改正法においては以下のように更に分類されています。
- 「ĐT1」は、ベトナムに1,000億ドン以上の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家および外国組織の代表者に発行されます。
- 「ĐT2」は、ベトナムに500億ドン以上1,000億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家および外国組織の代表者に発行されます。
- 「ĐT3」は、ベトナムに30億ドン以上500億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家および外国組織の代表者に発行されます。
- 「ĐT4」は、ベトナムに30億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家および外国組織の代表者に発行されます。
4. 労働ビザ(以下「LĐビザ」)の分類に関する規定の改正(第1条3.e号および3.g号)
法47 第8条ではLĐビザは、外国人労働者のビザとされていますが、改正法においては以下のように2種類に分類されます。
- 「LĐ1」は、労働許可証の免除承認書を持っている外国人労働者向けのビザです。
- 「LĐ2」は、労働許可証を持たなければならない外国人労働者向けのビザです。
5. ビザ期限の改正(第1条4項)
- SQ 、EVのビザの期限は 30 日を超えてはならない。
- NG1、NG2、 NG3、 NG4、LV1、 LV2、ĐT4、DN1、DN2、 NN1、NN2、 NN3、DH、PV1、PV2 および TT のビザの期限は、12ヵ月を超えてはならない。
- LĐ1、 LĐ2 のビザの期限は2年を超えてはならない。
- ĐT3 のビザの期限は3年を超えてはならない。
- LS、 ĐT1、 ĐT2 のビザの期限は5年を超えてはならない。
6. テンポラリーレジデンスカード(以下「TRC」)の期限に関する規定の改正(第1条16項)
ĐT1のTRC期限は10年を超えてはならず、LĐ1、LĐ2のTRC期限は2年を超えてはならないとされています。NN1、NN2、ĐT3、TTのTRC期限は3年を超えてはならず、ĐT2のTRC期限は5年を超えてはならないとされています。
7. ビザ、レジデンスカードの種類一覧表
法47および改正法に基づくビザ、レジデンスカードの種類は以下のとおりとなります。太字箇所は改正法で新たに追加された内容、アンダーライン箇所は今回の改正法で改正、修正された内容となります。
種類 | 申請対象者 | ビザの最長期間 | レジデンスカードの最長期間 |
NG1 | 共産党書記長、国家主席、国会議長、首相に招かれた代表団のメンバー | 12ヶ月 | 未公表 |
NG2 | 党中央常務委員会、国家副主席、国会副議長、副首相、祖国戦線主席などに招かれた代表団のメンバー | 12ヶ月 | 未公表 |
NG3 | 外国の代表機関、領事機関、国連に属する機関などのメンバーとその家族や使用人 | 12ヶ月 | 5年 |
NG4 | 外国の代表機関、領事機関、国連に属する機関などに就労する人とその家族やそれらの機関を訪問する人 | 12ヶ月 | 未公表 |
LV1 | 党の中央に属する機関や国会、政府、祖国戦線、最高人民裁判所、最高人民検察院、国家監査院、中央省庁、中央直轄市、省の人民委員会などに就労する人 | 12ヶ月 | 5年 |
LV2 | 政治組織や社会組織、ベトナム商工会議所に就労する人 | 12ヶ月 | 5年 |
LS | 外国人弁護士 | 5年 | 5年 |
ĐT1 | ベトナムに1,000億ドン以上の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家および外国組織の代表者 | 5年 | 10年 |
ĐT2 | ベトナムに500億ドン以上1,000億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家および外国組織の代表者 | 5年 | 5年 |
ĐT3 | ベトナムに30億ドン以上500億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家および外国組織の代表者 | 3年 | 3年 |
ĐT4 | ベトナムに30億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家および外国組織の代表者 | 12ヶ月 | 未公表 |
DN1 | ベトナムの法律の規定に従って法人格を持つ企業やその他の組織で就労している外国人 | 12ヶ月 | 未公表 |
DN2 | サービスの促進、商業拠点の設立またはベトナムが締約国となっている国際協定に従ったその他の活動を実施するために入国する外国人 | 12ヶ月 | 未公表 |
NN1 | 国際組織のプロジェクトや外国の非政府組織の駐在事務所の所長 | 12ヶ月 | 3年 |
NN2 | 外国企業の駐在員事務所や支店の代表者および外国の経済組織、文化組織、その他専門組織の代表者 | 12ヶ月 | 3年 |
NN3 | 非政府組織や外国企業の駐在員事務所、支店、外国の経済組織、文化組織、その他の専門組織の駐在員事務所に就労する人 | 12ヶ月 | 未公表 |
DH | 研修や学習する人 | 12ヶ月 | 5年 |
HN | 会議やシンポジウムに参加する人 | 3ヶ月 | 未公表 |
PV1 | 常駐するジャーナリスト | 12ヶ月 | 2年 |
PV2 | 短期期間の活動を行うジャーナリスト | 12ヶ月 | 未公表 |
LĐ1 | 別途ベトナムが締約国となっている国際協定に規定されている場合を除く、ベトナムで就労している外国人で労働許可証の取得免除の対象者 | 2年 | 2年 |
LĐ2 | 労働許可証の取得が要求されるベトナムで就労している外国人 | 2年 | 2年 |
DL | 観光客 | 3ヶ月 | 未公表 |
TT | LV1、LV2、LS、 ĐT1、 ĐT2、 ĐT3、NN1、NN2、DH、PV1、LĐ1、 LĐ2ビザが発給される外国人の両親や配偶者および18歳未満の子供かベトナム国民の両親、配偶者、子供 | 12ヶ月 | 3年 |
VR | 親族訪問やその他の目的の人 | 6ヶ月 | 未公表 |
SQ | 法47第17条3項に該当する人(インビテーションなしの簡易商用の方など) | 30日 | 未公表 |
EV | 電子ビザ | 30日 | 未公表 |
以上