統計総局(GSO)の発表によると、ベトナム経済の2020年経済成長率は通年で2.91%(第1四半期:+3.68%、第2四半期:+0.39%、第3四半期:+2.69%、第4四半期:+4.48%)増加する見通し。これは、10年間で最も低い水準であるが、新型コロナウィルスが世界的に猛威を振るう中、ベトナム政府による迅速な対応が功を奏し、世界的にみれば高い経済成長率を維持したといえるだろう。
部門別にみると農林水産業+2.68%、鉱工業・建設業+3.98%、サービス業+2.34%とそれぞれプラス成長となった。
【鉱工業・建設業】
鉱工業は+3.36%成長。特に製造業は+5.82%となり、経済成長において主導的な役割を果たした。その他は電力生産・送電+3.92%、給水・廃棄物・廃水の管理と処理+5.51%とそれぞれ増加した。一方で、原油生産▲12.6%、天然ガス▲11.5%となった影響により、鉱業は▲5.62%と大幅なマイナス成長となった。
建設業は+6,76%を記録し他部門と比較し高い成長率を維持。直近10年間では2011年、2012年、2013年を上回る数値である。
【サービス業】
2020年のサービス業は直近10年で最低の成長率となる予想。新型コロナウイルスにより3月下旬から4月下旬にかけてのロックダウン(社会隔離措置)や、旅行者・出張者の入国が規制されるなど、影響が大きく、2020年前半は低迷が続いた。しかし、ベトナム政府は新型コロナウィルスの抑え込みに成功しており、年後半にかけ大きく回復。依然として、海外との人・モノの行き来が難しく観光業などへのマイナス影響は続くが、ベトナム国内の消費動向は明るい。
宿泊施設’・外食業▲14,68%、輸送・倉庫保管サービス▲1.88%と低迷したが、卸売・小売り+5.53%、金融・銀行・保険+6.87%となった。
【輸出入】
輸出入は堅調に推移しており、今年の輸出入額合計は前年比5.1%増の5,439億ドルと推定され、輸出+6.5%・2,815億ドル、輸入+3.6%・2,624億米ドルに達した。
2020年は新型コロナウィルスによりネガティブな話題が多い1年となったが、ベトナム経済の力強さを示した年だったとも言えるだろう。
なお、世界銀行はベトナムの経済成長率を2021年+6.8%、2022年+6.5%と予想している。