ベトナム政府は外国の提供者から政府開発援助(ODA)および優遇融資の管理および利用に関する政令No.56/2020/ND-CP(「政令56」)を公布しました。政令56は、2020年5月25日により施行されています。
政令56の主な内容は以下の通りです。
1.範囲(第1条)政令56は、外国政府、国際組織、政府間組織、国連組織、外国政府の承諾を受けた政府組織(総称して「外国の提供者」)からベトナム国家または政府に供与されるODAおよび優遇融資の管理および利用について規定します。
2.適用対象(第2条)政令56は、外国の提供者からのODA融資および優遇融資、ベトナムからの対応資金の管理および利用に参加または関連がある機関、組織、個人に対して適用されます。
3.ODA融資および優遇融資の供与方法(第4条)ODA融資、優遇融資の供与方法は以下の方法を含みます。
・プログラム
・プロジェクト
・非プロジェクト
・予算支援
4.ODA融資、優遇融資の利用優先(第5条)・無償ODA融資が優先的に利用される分野は、社会経済インフラ開発プログラムまたはプロジェクト、能力拡張、政策立案支援、体制および改革、自然災害の予防対策、気候変動への対応、社会保障、投資プロジェクトの準備または優遇融資を使用したプロジェクトの共同融資を指します。
・ODA融資は、直接資金を回収する可能性がない医療、教育、職業訓練、気候変動対応、環境保護等の分野におけるプログラムまたはプロジェクトに優先的に使われます。
・優遇融資は、政府のODA融資、外国から優遇融資の貸出に関する法令に基づく借入のプログラムまたはプロジェクト、経済、社会インフラの開発の分野における国家予算から支出される任務に属するプログラムまたはプロジェクトのために優先的に利用されます。
・その他優先される場合は、時期に応じて外国の提供者からODA融資および優遇融資の公募、管理および利用に関する政府首相の決定によります。
5.ODA融資、優遇融資に関する国家管理内容および基本原則(第6条)
・ODA融資、優遇融資に関する国家管理の内容は、次の通りです。
-ODA融資、優遇融資の管理および利用に関する法律規範文書の作成、公布および実施を行うこと。
-5年間の経済・社会開発計画の実施援助のため、時期に応じてODA融資、優遇融資の公募、管理および利用についての提案し、本融資を効果的に管理および利用するための解決方法および政策を作成および実施すること。
-ODA融資、優遇融資の管理および利用に関する情報を監視、提供すること。
-法令の規定に基づき、ODA融資、優遇融資の管理および利用の状態、結果を監視、評価、検査、監査すること。
・ODA融資、優遇融資に関する国家管理の基本原則は、次の通りです。-ODA融資および優遇融資は経常支出を目的として利用されず、開発投資のための支出を目的として利用される。税金、費用、利息の支払、車両(所轄機関が決定した特別車両を除く)、物資、プロジェクト完了後の運用に資する設備の購入費用、立退料、プロジェクト管理委員会の運営費の支払のために使用してはならないこと。
-政府は、融資の効率的な利用または返済を図り、各省・中央および地方における機関の責任、権限、能力に基づいた分散化を保証し、ODA融資および優遇融資に関する国家管理を統一する。現行法令の規定に基づく関連機関同士の協調管理、監察、評価を確保すること。
-業界および分野、各地方の間において、ODA融資および優遇融資を公募、管理および利用する政策、手順、手続、ODA融資および優遇融資を実行する状態および利用結果に関する公開性を確保し、説明責任を重視すること。
-政府のポータルサイトにおいて、外国の提供者の協力政策および優先分野に関する情報を公開すること。
-ODA融資、優遇融資の管理および利用における腐敗、損失、無駄を防止し、法令の規定に従い、これらの行為を防止および処分すること。
-国家予算に属する開発投資支出の確定を公共投資法、国家予算法、建設法および 関連法令に基づき実施すること。
6.ODA融資および優遇融資に対する国内における財政の仕組の適用原則(第7条)・中央予算から支出される任務に属するプログラム、プロジェクトの場合、中央予算から全てのODA融資および外国の優遇融資を拠出します。
・地方予算から支出される任務に属するプログラムまたはプロジェクトの場合、ODA融資、外国からの優遇融資の貸出に関する法令の規定に基づき、中央予算からのODA融資、外国の優遇融資の一部または全部を借り入れます。
・ODA 融資、外国の優遇融資が含まれる地方予算を利用する官民連携(PPP)のプログラムまたはプロジェクトの場合、ODA融資、外国からの優遇融資の貸出に関する法令の規定に基づき、中央予算からのODA 融資、外国の優遇融資の全部を借り入れます。
・融資の全部または一部を回収する可能性があるプログラムまたはプロジェクトの場合、外国からの優遇融資の貸出に関する法令の規定に基づき、中央予算からのODA 融資、外国の優遇融資の一部又は全部を借り入れます。
7.民間部門によるODA融資および優遇融資の利用 (第11条)
・外国の提供者からのODA融資、優遇融資を供給する政策に従い、民間部門はODA融資および優遇融資を利用することができます。
・民間部門によるODA融資および優遇融資の利用形式は次の通りです。
・PPPに関する現行法令の規定およびODA融資、優遇融資に関する具体的な国際条約、合意に基づき、中央機関、省レベルの人民委員会はプロジェクトの準備および投資家の選定のための入札を援助する資金、PPPのプロジェクトにおける国家の参加部分としてODA融資、優遇融資を利用すること。
・管理責任がある機関の民間部門を援助するプロジェクトまたはプログラムの実施を通じ、ODA融資、優遇融資を利用すること。
8.その他の規定
ODA融資および優遇融資を利用するプログラムまたはプロジェクトの投資計画を作成、鑑定を決定する権限および手順(第20条~第22条)、技術援助プロジェクト、無償ODA融資を利用する非プロジェクトの書類の承認、実施方針を作成、鑑定、決定する権限および手順(第23条~第27条)、ODA融資、優遇融資の管理および利用における計画投資省、財務省、国家銀行、法務省、外務省などの機関の任務、権限(第81条~第87条)について規定されます。
以上