政府は、2020年10月19日、2012年行政違反処分法および2019年税務管理法に基づき、税務、インボイスに関する行政違反処分を規定する政令No.125/2020/ND-CP(「政令125号」)を公布しました。政令125号は2020年12月5日より発効有効します。
政令125号には、税務、インボイスに関する行政違反行為、処罰の形式、処罰の程度、是正措置、処罰権限、記録作成権限、処罰の手続が規定されています(第1条)。なお、政令125号は、関税に関する行政違反、企業登録、税務登録に関する違反等は対象範囲外となっています。
政令125号の主な内容は以下の通りです。
1. 適用対象(第1条2項)
– 納税者
– 各階級の税務公務員、税務機関
– 税務、インボイスに関する法令を履行するその他の組織および個人
2. 行政違反処罰が課されないケース
(1) 不処罰事由に該当する場合 (第38条1項a号、第9条)
– 行政違反処罰法において不処罰とされている緊急事態における違反行為、正当防衛による違反行為、不可抗力事由における違反行為などに対しては、政令125号の処罰は同様に適用されません。
– 税務機関、国家管理機関により発行された書面によるガイドライン、処分決定(政令125号の発効日の前に発行されたものを含む)を遵守することにより違反行為を犯した場合、行政違反処罰は課されず、延滞税も発生しません。
– 納税者が誤って税務申告したが、税務機関による税務検査、監査の決定を公布前、または税務機関その他の権限を有する機関による発覚前に、納税者が追加申告し、十分な税金を自主的に申告納付した場合、行政違反処分は課されません。
– 個人所得税を直接申告する個人が申告書類を期限に遅れて提出したが税金の払戻がある場合、違
反行為は処罰されません。
– 納税申告書類を提出期限を延長される場合、提出期限に関する違反行為は処罰されません。
(2) 違反行為を特定することができない場合 (第38条1項b号)
(3) 違反行為に対する時効(第8条)が完成し、または処罰決定期間が経過した場合(第38条1項c号)
(4) 所定の場合を除き、処罰決定の検討中に違反した個人が死亡または失踪し、違反した組織が解散、または破産した場合(第38条1項d号)
(5) 刑事責任を追及するため、犯罪の端緒のある違反事件の書類を送付する場合(第38条1項dd号)
3. 電子インボイスを使用する納税者の場合
政令125号の公布日と同じ10月19日付けで電子インボイスに関する政令No.123/2020/ND-CPが公布されており、同政令によって2022年7月1日より電子インボイスの使用が義務化されることで税務管理法、下位法令で内容が一致することになりました。
2022年7月1日前に電子インボイスを使用する納税者が電子インボイスに関する規定に違反した場合、政令125号の規定に従い処罰されます(第44条2項)。
4. 失効する類似法令 (第44条3項)
政令125号の施行に伴って以下の政令、通達の事項は失効します。
– 税務に関する行政違反処罰および税務の行政決定の実施細則に関する政令No.129/2013/ND-CP第1章、第3章
– 価格、費用、手数料、インボイスを管理に関する行政違反処罰に関する政令No.109/2013/ND-CP第1章4条2項、第4章、第5章44条
– 政令No.49/2016/ND-CP第3条、政令No.109/2013/ND-CP
– 通達No.166/2013/TT-BTC、通達No.10/2014/TT-BTC、通達No.176/2016/TT-BTC
以上