みなさんこんにちは。
AGSホーチミン事務所の閑野です。
みなさんはベトナムに対してどのようなイメージを抱いていますか?
私が来越される日本人の方からよくうかがうのが「ベトナム人はスタイルが良い」といったものが多いです。実際、ホーチミン市を歩いていると、スタイルの整ったベトナム人女性を見かけることが多い気がします。
しかし、日本人がベトナムに抱く理想とは裏腹に、近年ベトナムでは子供の肥満傾向が深刻化しており、近い将来「スタイルが良い」ベトナム人はいなくなるのではないかと言われるほどです。
今回はベトナムを悩ませる「子供の肥満問題」についてご紹介したいと思います。
肥満問題の現状
では、実際に子供の肥満はどこまで深刻化しているのでしょうか。ホーチミン市栄養センターが行った2015年の調査によれば、なんと市内の41%の子供が肥満か過体重であることが判明したそうです。同センターが発表している調査結果によると、5歳未満の児童が21.9%、小学生が51.8%、中学生が33.5%、高校生が19.5%となっており、男女別で見ると男子が48.9%、女子が33.8%と驚くべき結果がでています。
センターに勤務する医師は、この社会現象の原因について「国民の栄養に関する知識不足」や「欧米食文化の新党」、「運動不足」などが原因なのではないかといいます。
確かに、これらは肥満を引き起こす原因の1つではありますが、どれも根本的な解決には至らない表層的なものに思えて仕方ありません。
なぜベトナムで肥満が広まったか
これは私見になりますが、この問題の最大の原因は現在の祖父母世代にあると私は考えています。昨今のベトナムでは、子供の基礎教育は祖父母が担っています。ベトナムでは共働きをする家庭が非常に多く、ホーチミン市に限って言えば全世帯の90%が共働きをしています。(ちなみに東京は54%)そのため、日中は家にいる祖父母が家事を行い、子供の面倒をみるのです。
ベトナム戦争という困窮した時代を生きた祖父母世代にとって、健康とはふくよかであることを意味します。
そのため、祖父母は子供たちに必要以上に食べもを与えてしまうのです。まだ低カロリーなベトナム料理が多かった昔であれば、ここまでの問題にはならなかったはずです。しかし、外来の高カロリーな食べ物が浸透している現在、子供にこのような食べ物を際限なく与えたら、どのような結果になるかは想像できますね。
ベトナムの美の象徴でもある民族衣装の「アオザイ」は、仕立てる際に全身を約20箇所も採寸するため、着こなすには美しいボディラインを維持する必要があるといいます。
もし、このまま子供の肥満問題が深刻化し、肥満が当たり前になってしまえば、いつか「アオザイ」を美しく着こなす人も少なくなり、ベトナムの貴重な文化が途絶えてしまうこともあるかもしれませんね。
本日は以上になります。次回もよろしくお願いします。 ヘン・ガップ・ライ