みなさんこんにちは。
AGSホーチミン事務所の閑野です。
最近、ホーチミン市内を散策していると開校されたばかりの真新しい学習塾をしばしば見かけます。
しかも、どこの学習塾も多くの子供が在籍しているようで、夜になると多くの保護者がバイクで子供たちを迎えに来ており、ちょっとした渋滞ができています。
日本の学習塾は開校の際に生徒の確保と定着が課題になるといいますが、どうやらここベトナムでは日本とは勝手が違うようです。
今回はベトナムの教育産業、特に私立の幼稚園と小学校に焦点を当てたいと思います。
教育産業
ベトナムの教育業界を語る上で重要なポイントが2点あります。まず1点目は「人口層」についてです。
現在のベトナムは1970年代の日本の人口ピラミッドに酷似した若年層が厚い社会構造を形成しています。
その人数は述べ2080万人(2013年の統計)と、総人口の20%強を占めており、サイゴンタイムスの調査によると子供関連市場の年間規模は約52億ドルにも上るといいます。
2点目は「経済発展による経済格差」についてです。
近年のめまぐるしい経済発展で、著しい成長を遂げたベトナムですが、その一方で大きな経済格差も生まれました。
ホーチミン市が運営する調査機関、ホーチミン市開発研究所の調査によれば、ホーチミン市内の所得格差は約7倍にも広がっているといいます。(ちなみに、市内の年間所得平均が2500ドル)
この現状が保護者に「子供には少しでも高い学歴を修め、少しでも給料の高い大企業に勤めてもらいたい」といった心理が働き、教育産業の需要が伸びたのではないかと私は考えています。
学校
ベトナムの教育ママが考える「教育の黄金パターン」は、有名私立幼稚園 →小・中・高一貫の有名私立小学校orインターナショナルスクール →国内の有名大学or海外留学
といったものが主流のようです。
特にベトナムの富裕層に人気があるのが「幼稚園」と「小学校」です。
幼稚園
私立幼稚園が注目をされる理由として、「ゆとり教育」が幼稚園に導入されたことが挙げられます。この教育カリキュラムにより、以前まで行われていた授業(特に文字・計算)が全面的に禁止され、代わりに豊かな「メンタル」を育む遊戯などが行われえるようになりました。
しかし、幼稚園での勉強が遅れれば他の子供に遅れをとり、後の受験競争を勝ち残ることができません。
このようにして、「政府のカリキュラム外」の幼稚園がベトナム人の富裕層に大きな支持を得るようになりました。
また、「子供には質のいい教育環境で成長してもらいたいが、私立幼稚園に行かせるほどの収入が無い」といった家庭は、「私立幼稚園」の代わりに「学習塾」に子供を通わせる、といったケースも最近は非常に多いようです。
しかし、この学習塾は「正式な学校法人」ではないため、有事の際に政府が助け船を出してくれない非常にリスキーな選択肢でもあるようです。
つい最近、都市部の小学校に進学するためには「幼稚園の卒業証明書」が必要になるかもしれない、といった情報が政府から公表され、大きなパニックが起きました。
当局の返答も省や区によって一貫性のないばらばらな対応で、公立幼稚園への途中転入を余儀なくされた子供が多くいた現地の新聞で報道されていました。
しかし、それでもなお幼稚園に代わる学習塾を選択するケースが増え続けているのは、それだけベトナム人の教育に対する情熱の表れでもあると思います。
今回は以上になります。次回は引き続き、ベトナムの小学校についてご紹介させていただきます。
それでは、ヘンガップライ。