1.はじめに
皆さん、こんにちは。AGSスタッフです。
本日は、標題の件についてです。意表を突いて?、多くの条項は2026年3月1日施行とのこと(個人的には、同年7月1日~を予想していました)。基本的にはポジティブ方向の改正なのですが、ベトナムあるある、改正に纏わる所轄当局の初動時の混乱や処理躊躇等により、旧正月明けに多くのコンサルが泣かされるような事態にならないことを祈ります。なお、本題となる第2.項の改正は、2026年7月1日~となります。
2025年12月11日、2025年改正投資法(以下”改正投資法”といいます)が公布されました。
投資政策/Investment Policy承認が要求されるプロジェクトの限定化や対外(ベトナムから見たアウトバウンド)投資の手続簡素化については一旦措いて、日系/日本企業に最も関わると思われる、条件付投資分野の大幅な縮小と、外資設立時の投資登録証/IRC(以下”IRC”といいます)と企業登録証/ERC(以下”ERC”といいます)発行の先後に焦点を当てて説明差し上げます。手前味噌ながら、当社顧問先にはより詳細なupdateを差し上げております。もし宜しければ、皆さんも是非ご利用ご検討下さい。
2.条件付投資分野の大幅な縮小と適正化について
改正投資法では、決議/Resolution(以下”決議”といいます)#68/NQ/TW及び決議#198/2025/QH15の方向性に従い、条件付投資分野の大幅な縮小と、その簡素化を規定しました。但し、繰り返しになりますが、こちらの規定は2026年7月1日施行となります。具体的に、下記:
消防・防災サービス業/Firefighting and fire prevention services
税務手続代行サービス業/Tax procedure services
通関手続代行サービス業/Customs procedure services
保険補助サービス業/Insurance auxiliary services
商業鑑定サービス業/Commercial Appraisal Service Business
特別消費税課税物品の一時輸入・再輸出業/Temporary import and re-export of excise goods
冷凍食品の一時輸入・再輸出業/Temporary import and re-export of frozen food products
中古品リストに属する物品の一時輸入・再輸出業/Temporary import and re-export of goods under the List of used goods
エネルギー監査業/Energy audit
職業紹介サービス業/Employment services
労働者派遣事業/Labor leasing services
自動車の保証・整備サービス業/Automotive warranty and maintenance services
内陸水路船舶の新造、改造、修理及び復旧サービス業/Business of new building, conversion, repair, and restoration services for inland waterway vehicles
海上安全確保サービス業/Maritime safety assurance services
船舶曳航サービス業/Marine vessel towing services
船舶の新造、改造及び修理サービス業/New shipbuilding, conversion, and repair services
航空運航安全確保サービス業/Flight operation assurance services
多方式輸送サービス業/Multimodal transport services
建築サービス業/Architectural services
外国請負業者による建設活動/Construction activities by foreign contractors
分譲マンションの管理運営サービス業/Apartment building operation management services
火葬施設の管理・運営サービス業/Crematorium operation and management services
データセンターサービス業/Data center services
海外留学コンサルティングサービス業/Overseas study counseling services
CITES附属書掲載種および絶滅のおそれのある希少な森林植物、森林動物、水産生物の飼育・栽培事業/Breeding and cultivation of plant and animal species listed in the CITES Appendices and the list of endangered, precious, and rare forest flora, forest fauna, and aquatic species
一般森林動物の飼育事業/Breeding of common forest animals
CITES附属書掲載種および絶滅のおそれのある希少な森林植物、森林動物、水産生物の天然由来標本に関する輸出、輸入、再輸出、通過および内陸搬入に係る事業/Export, import, re-export, transit, and introduction from the sea of specimens from the wild of species listed in the CITES Appendices and the list of endangered, precious, and rare forest flora, forest fauna, and aquatic species
CITES附属書掲載種および絶滅のおそれのある希少な森林植物、森林動物、水産生物の人工繁殖・飼育・人工栽培個体に係る輸出、輸入および再輸出事業/Export, import, re-export of specimens from bred, captive-bred, or artificially propagated species listed in the CITES Appendices and the list of endangered, precious, and rare forest flora, forest fauna, and aquatic species
CITES附属書掲載種および絶滅のおそれのある希少な森林植物、森林動物、水産生物の標本に関する加工、取引、運搬、広告、展示および保管/Processing, trading, transporting, advertising, displaying, and storing specimens of plant and animal species listed in the CITES Appendices and the list of endangered, precious, and rare forest flora, forest fauna, and aquatic species
農業・農村開発省の専門管理分野に属する食品事業/Food business under the specialized management purview of the Ministry of Agriculture and Rural Development
動物及び動物製品の検疫・隔離サービス業/Animal and animal product quarantine isolation services
美容外科サービス業/Cosmetic surgery services
計量器の検定、校正及び試験サービス業/Verification, calibration, and testing of measuring instruments and measurement standards
芸術公演、ファッションショー及びビューティー/モデルコンテスト運営サービス業/Art performance services, fashion shows, beauty and model pageants
土地情報システムのITインフラ及びソフトウェア構築サービス業/Information technology infrastructure construction services, and land information system software construction
土地データベース構築サービス業/Land database construction services
通貨の印刷・鋳造活動/Currency printing and minting activities
アーカイブサービス業/Archival services
の38の事業分野は、条件付投資分野から除外されました。多いですね。また、事業分野的にも、皆さんの目を引くものが相応にあるのではないかと拝察されます。即ち、改正投資法の通りに事が進むようになるのであれば、画期的な改正、日系企業にとっても商機拡大の期待が高まることとなります。
加えて、20の事業分野についても、条件がより簡素化されています。
3.外国投資家による会社等の設立手続の改正について
こちらも、画期的と言い得る改正です。改正投資法第19条2項の規定により、外国投資家は、IRCの発行又は変更を待たずして、会社等を設立できることになりました。即ち、従前は、語弊を恐れずに言えばほぼ必ず、IRC→ERCの順で会社等を設立していた(設立ではないものの、ローカル会社等のM&Aは例外)のが、改正投資法に従えば、ERCを取得し会社等を設立した後に、IRCを取得することができることになります。
ERC発行 = 会社等設立となるため、設立後のビザ、労働許可取得手続や、調達、雇入、ソフトオープン等運営開始等が迅速化され、IRC及びERC取得中の空白期間が短縮されることが期待されます。また、爾後にERCに則したIRCが発行される前提で、より早期に企図する商売を開始することができる可能性が高まるのも朗報です。
4.不明点と一抹?の懸念
しかしながら、第2項記載の条件付投資分野から除外された事業分野について、一律に外国投資が容易化するかというと、不透明なように思われます。
また、実務上、第3項記載のERC→IRCの流れに、本流としてなってくるのかも、施行後の実務動向を見るまで率直に判りません。
加えて、冒頭の過渡期における混乱の懸念の他、条件付投資分野から外れても、結局は厳しいサブライセンス(日本で云う許認可に相当)や人的設備的要件等を取得/充足できず、外国投資家が事実上引き続き参入できないような事態もあり得るところです。
また、ERCを取得し資本金を支払った後、応答するIRCを取得できなかった場合のリスクについても、未だ読めません。直近でERCとIRCの乖離(ERCには登記されているけれども、IRCには登記されていない)リスクを抱えたまま運営を強いられている企業も一部あり、かかる場合にIRCを所轄する財務省/局が、乖離についてどのような態度をとってくるかも不明確なところです。
冒頭の通り、総論的には且つ字面を眺めればポジティブ方向の改正なのですが、なぜか、実務に携わる一コンサルタントとしては不透明感や懸念が先行してしまっているというのが私の現況です。改正投資法及び後続すると思われる細則が実務にどのような影響を及ぼすのか、当面は注視を要するところです。
当社では投資法令周り、会社設立やライセンス変更等サービスを経常的に提供しており、特に日系企業の設立件数では業界最多規模と自負させて頂いております。もしご興味ある方いらっしゃれば、是非info@ags-vn.comまでご連絡下さい。
ではまた。