1.概要
2026年3月6日、ベトナム財務省は公電第01/CĐ-BTCを発出し、2026年の税務行政の効率向上を目的として、キャッシュレス決済の推進に向けた連携強化を行うよう各省・市の人民委員会に要請しました。
本公電によれば、税務当局および関係機関は、納税者が税務、インボイスおよび関連書類の規定を遵守できるよう支援するための各種措置を実施してきました。特に、2026年1月1日からの税申告方式への移行に伴い、多くの企業、個人事業者および個人が電子税務サービス、電子インボイス、キャッシュレス決済を導入しています。
しかしながら、一部の地域および分野では、依然として一部の納税者が現金取引や個人名義の銀行口座を利用して売上を隠し、税金を回避する事例が見られ、複数の脱税案件が当局によって発見・調査されています。2026年における税務管理の強化および国家予算収入の確保のため、財務省は地方当局に対し以下の事項を要請しています。
2.具体的な要請事項
1)キャッシュレス決済および電子インボイス管理の推進
以下の政府公電を引き続き効果的に実施すること:
2025年7月30日付公電第124/CĐ-TTg(キャッシュレス決済の推進)
2025年6月12日付公電第88/CĐ-TTg(レジから生成される電子インボイスの管理・使用の強化)
これにより、消費者向けの商品販売およびサービス提供における税務管理の効率化を図るとともに、税収漏れの防止および違反行為への法令に基づく対応を行うことを目的としています。
2)個人事業者・世帯事業者に対する税務管理の強化
2025年11月4日付公文書第17142/BTC-CTに定められた施策および業務を引き続き推進すること。
これは、2026年1月1日からの推定課税制度(presumptive tax)の廃止を受けて、個人事業者および世帯事業者に対する税務管理を強化するためのものです。具体的には以下が含まれます。
制度移行期間における広報および支援の強化
税務、インボイスおよび関連書類の遵守状況に関する検査・監督の強化
税務管理のための情報共有の確保(関連法令に基づく)
財務省は、効果的な税務管理の確保および透明性の高いビジネス環境の促進のため、地方政府および関係当局による強力かつ連携した取り組みを求めています。
3.趣旨及び実務に及ぼす影響等
今回の公電は大きく言うと、① キャッシュレス決済の強制力を事実上強める政策及び②推定課税廃止後の税務管理強化の2つが本質です。
今回の文書は公電であり、新しい義務を創設する法令ではありません。性質としては行政指示及び地方政府への執行強化通知です。つまり既存制度を厳格運用する宣言に近いです。
背景にある税制変更として、2026年から推定課税制度(khoán tax)が廃止されました。これは個人事業及び世帯事業に非常に大きな影響があります。
従来多くの小規模事業者は推定税(ex. 3乃至10milVND/月等)固定税でした。2026年以降多くの業種で実売上ベースに移行しています。そのため政府は売上捕捉を非常に重視しています。
今回の政策の本質は売上の可視化です。従前現金取引が多く、そのため政府が売上を補足できず、結果徴収すべき税金を徴収できないといった状況が蔓延していました。これに対し、政府は銀行取引、POSレジ及び電子インボイスを進めています。これにより税務当局は売上データを追跡できるようになります。
今回の文書で特に重要なのはレジ連動型e-invoiceです。ベトナムでは現在、通常電子インボイス及びレジ連動インボイス2種類の電子インボイスがあります。このうち後者については、POS → 税務局リアルタイム送信です。つまり売上が税務局に直接届く仕組みです。換言すると、税務局の標的は下記のような業種と拝察されます:
飲食店、小売、美容、EC及び個人商店
これらは現金商売だからです。日系企業(所謂名義借企業含む)でも上記のような事業を営むところは多いと認識しており、爾後POSと電子インボイスの連動をより強く求められていくことが予想されます。
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