皆さん、こんにちは。AGSスタッフです。本日は、標題の件についてです。ベトナム政府肝いりのVNeIDの普及を図るべく、一つ策を打ってきたという感じでしょうか。
1. はじめに
2026年3月27日、財務大臣は通達第29/2026/TT-BTCを公布し、データの連携・活用および利用を促進するとともに、個人および企業によるVNeIDアプリを通じた行政手続の実施を奨励するため、一部の手数料および料金の徴収水準ならびに減免措置を規定しました。本通達は、2026年4月1日から2026年12月31日まで有効で、VNeIDアプリを通じたオンライン行政サービスの利用を個人および企業に促進し、国家のデジタルトランスフォーメーションを推進することを目的としています。
なお、2027年1月1日以降、すべての手数料・料金は、原則として元の通達およびその改正・補足規定(該当する場合)に従って適用されます。
2. 一部手数料・料金の50%減額
適用期間:2026年4月1日から2026年12月31日まで
対象は以下のとおりです:
・工業用爆薬使用許可に関する審査手数料
・原子力分野における手数料・料金(放射性物質の輸出入審査手数料を除く)
・道路交通手段に関する各種許可証・証明書の発行手数料
・建設活動に関する資格証明書の発行手数料
・建築士資格証の発行手数料
・国家土地情報システムからの土地情報・データの抽出および利用に関する手数料(中小企業およびイノベーション系スタートアップに適用)
2027年1月1日以降、これらの手数料・料金は従前の規定に基づく水準に戻されます。
日系企業に関係しそうなのは、建築会社向けの減免程度でしょうか。
3. VNeIDを通じた手続における一部手数料・料金の全額免除
同様に2026年4月1日から2026年12月31日まで適用され、VNeIDアプリを通じてオンラインで行政手続を実施する場合、以下が免除されます:
・産業財産権の保護出願(分割出願および変更出願を含む)に関する出願手数料および保護証書発行手数料
・安全部門における以下の費用:
・安全条件に関する審査手数料
・警備業務資格証明書の試験手数料
・花火管理許可証の発行手数料
・武器・爆発物・補助器具の管理許可証の発行手数料
・居住登録に関する手数料
上記期間中は、従前に支援措置を定めていた通達第64/2025/TT-BTCに基づく産業財産権関連費用および花火・武器・爆発物・補助器具に関する一部許可証の手数料は適用されません。
4. 通達の評価と、実務に及ぼす影響
この政策(VNeID経由手続の手数料減免)は、ベトナムのデジタル行政推進の中核施策の一つであり、方向性としては極めて合理的かつ実務的に意味のある政策です。ただし、実務レベルではいくつかの限界も見えます。
まずプラス部分ですが、この政策の狙いはデジタル行政への誘導、データ統合・管理強化、行政コスト削減にあると拝察されます。これに対し、料金インセンティブの設計が明確であり、対象分野の選定(ex. 知財関係、建設関係、居住登録等)が実務的であるという点では、相応に合目的的であると言い得るところです。
しかしながら、皆さん、又は皆さんの周りの方々、VNeIDを使われておりますでしょうか?
VNeIDの実運用は引き続き不安定であるように感じられ、特に外資企業や外国人に纏わる手続に際しては、所轄当局の窓口担当官ベースの裁量と判断で、結局紙ベースでの作業を要求されることも多いというのが実感です。ローカル含め、政策による恩恵が余程”大きなニンジン”にならない限り、短期的にであれVNeID利用を促す劇的な効果はないように思われます。
とはいえDX化はおそらくベトナム政府の既定路線であり、この政策もその動きの一環と捉えるべきところではあります。中長期的には、VNeIDが個人や企業の各手続の起点として一元化されている見込に変わりはなく、外資企業や外国人も、引き続きその動向に注視を要するというところは間違いありません。
当社では外資企業や外国人向けの法務労務等に纏わる情報を継続的に提供差し上げております。そのような需要があれば、お気軽にinfo@ags-vn.comまでご連絡下さい。
ではまた。