皆さまはじめまして。
現在ホーチミン市法科大学に留学中の土井紫(DOI Murasaki)と申します。
先週より12月末まで、Legal部署とBM(Business Matching)部署でインターンを行うことになりました。
本日よりブログを担当する事になりましたので、宜しくお願いします。
実際にホーチミン市に住み、大学に通う中で気付いたことをお伝えして参ります。
皆さまがベトナムについて調べる上で、お役に立てて頂ければ幸いです。
今日は「ベトナム女性の強さ」について紹介致します。
少し前の話になってしまいますが、ベトナムでは10月20日に「ベトナム女性の日」という祭日がありました。
突然友人に花を贈られ、驚いた日です。日本にはこうした習慣はありませんね。
他に3月8日も「国際女性の日」として祭日が設けられています。
10月20日はベトナム婦人連合会が設立された日で、女性に感謝・慰労する日として共産党が後に定めたようです。
実際には、男性が女性にプレゼントを贈ったり簡単な手伝いをしたりします。
男性が多く出征したベトナム戦争の影響もあり、ベトナムは日頃から女性が広く社会で活躍する国です。
街を歩けば、露店や食堂など至る所で明るく働くベトナム女性の力強い姿を見ることが出来るでしょう。
女性が高等教育を受ける機会も大きく、社会進出も進んでいます。
高等教育機関進学者の比率は、男性100に対し女性101[i]と上回っており(2013年)、
国会では議員の内、実に24.4%を女性が占めています[ii](2013年)。
男女共に働く共働きが一般的なベトナムでは、女性も社会に出て働くことが当然の事になっているようです。
この様に考えると、ベトナムでは女性の社会進出がしっかりと保障されているように思えます。
しかしながら、女性が力強く働いていることと、女性の権利が強いことは必ずしも同じではありません。
日本と同じように、中国から儒教思想を受け継いだベトナムでは現在でも農村部を中心に家父長制的な男尊女卑思想が根付いています。
男性と同じように外で働く女性の多くは、帰宅後に家事や育児を行わなければなりません。
都市部の若い男性はそうした仕事を手伝うこともありますが、近年核家族が増えてきている[iii]ホーチミン市では家庭の仕事が女性にとって負担となるため、大きく問題視されています。
フランス統治の影響かレディファーストも見られ、女性の日には男性が甲斐甲斐しく女性を世話する国、ベトナム。
しかし、認定されているだけでも年間3.6万件(2016年)もの家庭内暴力[iv]に女性が苦しめられていることも忘れてはなりません。
友人のベトナム人女性が10月20日に私に語った言葉です。
「ベトナムには女性の日が1年に2日もある。でも、1年の他の全ての日は男性の日です」。
まだまだ社会全体における権利保障が確立されていない中でも、強か(したたか)に明るく生きるベトナム女性たち。
彼女たちの力強さは、今後ベトナム経済を大きく発展させるカギとなっていくでしょう。
どのように女性と働くか、どのような労働環境を作っていくかは、ベトナム社会における最もパワフルな人材を確保するために考えなければならない課題と言えるのではないでしょうか。
今回は以上です。
また来週も宜しくお願い致します。
[i]『ベトナムの「女性の進出度」後退、男女の所得格差が拡大傾向』べトジョー
http://www.viet-jo.com/news/statistics/130311030819-pic1.html (2013/03/12掲載)
[ii]『世界・国会の女性議員割合ランキング(情報元は世界銀行)』 国際統計格付けセンターhttp://www.viet-jo.com/news/statistics/130418053352.html (2015/07/30掲載)
[iii] 『ホーチミンスタイル』日本貿易振興協会https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/793a48d1841d67cc/hochiminh7.pdf (2016/10 掲載)
[iv]『Mỗi năm, Việt Nam xảy ra 36.000 vụ bạo lực gia đình』Vietnam+
http://www.vietnamplus.vn/infographics-moi-nam-viet-nam-xay-ra-36000-vu-bao-luc-gia-dinh/394525.vnp
(2016/07/5掲載)