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2022年1月7日付の温室効果ガス排出削減およびオゾン層保護を規制する 政令第06/2022/ND-CPの一部条項を改正および補足する 政令第119/2025/ND-CPの新たなポイント


2025年6月9日、政府は温室効果ガス排出削減およびオゾン層保護に関する規定を定めた政令第06/2022/ND-CP(以下「政令06」という。)を改正する政令第119/2025/ND-CP(以下「政令119」という。)を公布した。本政令は2025年8月1日より施行され、政令06に代わる効力を有する。以下に、政令119の新規点を要約する。




1. 国内カーボン市場に対する重要な調整
政令119は、ベトナムにおける 排出量取引制度(ETS) の実施を支援するため、市場の構造及び手続に関して以下のような調整を行った。
市場参加主体の範囲の縮小:政令06第16条によれば、参加主体は、温室効果ガスインベントリ作成義務を有する施設(首相が公布する分野及び施設リストに属する温室効果ガス排出施設を含む)、ベトナム社会主義共和国が加盟する法令及び国際条約に適合して国内外でカーボンクレジットの取引・オフセットのメカニズムを実施する組織、ならびに温室効果ガス排出枠及びカーボンクレジットの投資・取引活動に関連するその他の組織及び個人とされていたが、政令119においては参加主体の範囲が縮小され、排出枠の配分を受けた施設のみが参加可能とされ、温室効果ガス排出枠の取引主体は規定に基づき排出枠を配分された施設、カーボンクレジットの取引主体はベトナム社会主義共和国の領域内に所在する機関及び組織、取引支援主体は国内カーボン取引所に関する法令に基づき温室効果ガス排出枠及びカーボンクレジットの取引活動を支援する金融サービス提供組織と定義された。
正式なカーボン市場の運営時期の延期:調整後の計画によれば、カーボン市場は2025年から2028年までの準備及び試行段階を経て、2029年から正式に運営を開始することとなった。政令119では、温室効果ガス排出枠の配分を受ける排出施設に対する排出枠の算定方法が追加された。また、排出枠の配分スケジュールが3段階(2025-2026年、2027-2028年、2029-2030年)に分けて規定され、さらに温室効果ガス排出施設に対する排出枠の配分を行う組織が設けられた(政令119第12条)。




2. MRRVシステムの強化と市場メカニズムの柔軟化
政令119では、監視・報告・検証(MRV)に関する各省庁および地方自治体の責任が明確化規定された。特に、省レベルの人民委員会が、地域における温室効果ガス削減の成果を初めて取りまとめる任務を付与された。政令119第1条第6項第b号の修正内容は以下のとおりとする。
「3. 温室効果ガス排出削減報告
a) 本政令第5条第1項に規定する各施設は、毎年、前年度分の施設レベル温室効果ガス排出削減報告を作成し、本政令に添付される付録IIIの様式第02に従って作成し、2027年以降は毎年3月31日までに関係する省レベル人民委員会に提出するものとする。
b) 省レベル人民委員会は、本政令第5条第1項に規定する各施設の温室効果ガス排出削減結果を受理、審査および取りまとめ、2027年以降は毎年6月30日までに農業環境省へ送付するものとする。
c) 本政令第5条第2項に規定する各省は、本政令に添付される付録IIIの様式第01に従って、毎年分野レベルの温室効果ガス排出削減報告を作成し、2024年以降は毎年1月15日までに農業環境省へ送付するものとする。
d) 農業環境省は、分野レベルおよび施設レベルの温室効果ガス排出削減報告を審査・取りまとめ、総合的な温室効果ガス排出削減報告を作成する責任を負う。」
さらに:
オフセットクレジットの上限割合を10%から30%へ引き上げ、排出施設がカーボン・メカニズムを通じて義務を履行するための柔軟性が拡大された。
「第1条第16項は、第19条を次のように改正する。温室効果ガス排出枠及びカーボンクレジットの取引、借入、返納、譲渡及びオフセット
8.温室効果ガス排出のオフセットにカーボンクレジットを使用すること。
a) 施設は、本政令第20条及び第20a条第1項a号並びにb号に規定されるカーボンクレボンクレジットの取引・オフセット制度に基づくプロジェクトから生じるカーボンクレジットを使用し、当該施設に配分された温室効果ガス排出枠の30%を超えない範囲でオフセットに充当することができる。」
排出枠の15%を前借りできる仕組みを追加し、排出義務履行における事業者の柔軟性を高める。
「第1条第16項 政令第19条を次のように改正する。温室効果ガス排出枠及びカーボンクレジットの取引、借入、返納、譲渡及びオフセット6.温室効果ガス排出枠の借入
6.温室効果ガス排出枠の借入
a) 2030年末までの期間において、排出事業者は、当該事業者に配分された次期の温室効果ガス排出枠の一部を借り入れ、現行期間における温室効果ガス排出枠の返納義務を履行に充てることができる。借入可能な排出枠の上限は、当該配分期間の配分総量の15%を超えてはならず、また取引に使用することはできない。」




3. 国際カーボン市場参加の法的基盤
政令06は、国際的な仕組みを含むカーボンクレジットの取引・オフセットに関する一般的な規定を設けていることにとどまり、パリ協定第6.2条及び第6.4条について明確に定義せず、CDM事業の承認・移行手続やクレジットの国際移転に関する詳細な規程も存在しなかった。しかし、政令119第20条において、パリ協定第6条に関連する規定が制度化された。本政令は以下を定めている。
第6.2条(二国間協力)及び第6.4条(UNFCCCの監督下にあるメカニズム)に基づく活動に関する明確な定義及び手続。
第6.2条(二国間協力)及び第6.4条(UNFCCCの監督下にあるメカニズム)に基づく活動に関する明確な定義及び手続。
プロジェクト承認メカニズム、CDMからの移行、及びカーボンクレジットを国際的に移転する手続。




4. カーボン市場の管理機関
組織構造改革に基づき、カーボン市場の管理機能は、天然資源環境省から、両省の統合により新たに設立された農業環境省へ移管された。本再編は、政策調整の効果を高め、管理の窓口を簡素化することを目的としている。
「第21条 カーボン市場の発展に関する責任
1.財務省は、カーボン取引所の構築・設立を主導し、カーボン市場の活動に係る財政政策を策定する。
2.農業環境省は、関係各省と連携してカーボン取引所の運営を主導するとともに、広報資料を作成し、カーボン市場の参加主体に対する能力強化活動を実施する。
3.各省、各省級機関、及び省レベルの人民委員会は、農業環境省及び財務省と協力し、本条第1項及び第2項の規定並びにカーボン市場の発展促進活動を実施する責任を負う。また、大衆のカーボン市場に対する認識を高めるため、マスメディアにおいて普及・広報活動を組織するものとする。」
以上。

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