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法人の実質的所有者/beneficial ownerに纏わる法令改正


皆さん、こんにちは。AGSスタッフです。
かなり出遅れてしまいましたが、今回は標題の件についてupdate差し上げます。特に、所謂名義借/nomineeスキームでベトナムにおいて事業を実施されている方々、とりわけ当該事業を営む法人から何某かの形で利益を”吸い上げている”方々は留意すべきイシューとなります。
1. 法人の実質的所有者の定義について
まずその定義ですが、新たな企業法第4条35項において、(一定の例外を除き)実質的に法人の資本を有し又は当該法人を実質的に支配する自然人と定義づけられています。
これが今般の政令#168/2025/ND-CP第17条及び18条1項によりより具体化され、
– 法人の議決権を形式的又は実質的に25%以上有する自然人及び
– 一人社員有限会社の所有者である自然人
(ここからが重要で、)並びに
– 下記の事項の少なくとも一に関し決定権限を有する自然人
+ 取締役会構成員の過半数、取締役会長、会長、法的代表者又は社長/総社長の選解任又は
+ 定款の改訂若しくは追補、組織管理機構の変更又は会社の再編若しくは解散
とされております。
当社としてはそもそもそのような名義借に纏わる契約の適法性や有効性、執行可能性自体疑義のあるところと考えております(民法第124条1項及び2項、並びに同法第122条及び117条1項c号参照)が、かかる点は措いて、仮に書面等により上記各事項の決定権限を有するかのような出資に纏わる契約を締結していた場合、契約の名称は問わず、決定権限を有する当該自然人は実質的所有者に該当する可能性が高いと考えられます。企業法令上実質的所有者の典型例については現状言及がなく、細則等の動向(もしあれば)が注視されるところです。
なお、法人格を有しない駐在員事務所や支店、そもそも今回の規制の範疇外である外国法人等については、引き続きかかる事項の申告は不要です。
2. 申告先や申告事項、方式、期限等について
通達#68/2025/TT-BTC第18条及び54条に基づき、法人の実質的所有者が存在する場合、当該法人を所轄する地域の事業登記当局にその旨申告すべきことになります。
申告事項は、当該自然人の氏名、生年月日、国籍、民族、性別、ID情報、連絡先及び実質的な出資又は支配権比率です。申告は、同通達別紙I書式10″法人の実質的所有者の一覧”に則して実施すべきことになります。
初回の申告期限は、
– 2025年7月1日より前に設立された法人については、次回登記変更事由が生じたとき、
– 同日以降に設立される法人については、法人設立時
とされております。当該事由に変更があった場合、変更から10日以内に変更を登記すべきことになります。
罰金等違反に対するペナルティも制定されるとの情報もあり、こちらも、罰金額や取締の厳格さ含め立法と実務双方の動向を注視すべきことになります。
3. 立法趣旨と実務に及ぼしうる影響
今回の法令改正の趣旨ですが、まずは先行する2022年反資金洗浄に関する法律と同じく、今日の国際的課題であるマネーロンダリングの防止にあると考えられます。
加えて、登記上明確に捕捉できる法的代表者に加え、法人の実質的所有者も捕捉することにより、法人からのベトナム国内外への利益還流、それに伴うベトナム側課税所得の減少をより厳格に追跡していく目的もあると考えられます。
ベトナム法令上及び実務上名義借スキームにおける実質的所有者の立場は極めて弱く、所謂乗っ取り等も横行しているところですが、かかる申告を怠ると、将来法人の所有権や支配権に纏わる係争が生じた場合に、更に実質的所有者の分が悪くなると思われます。しかしながら、申告しておけば安心というほどの”効力”効き目”も実際上はあまりないように、当社見解ながら思われます。
他方で、申告によりベトナム国内外への利益還流等、(痛ければ勿論)痛くもない腹を探られる煩を惹起する懸念もあります。上記立法趣旨の理解が正しければ、こちらはより切迫したリスクになり得るところです。
ベトナムにおける法人等管理の現代化の一局面とも言えますが、今後名義借スキームや名義借を基盤とした資金還流等に対しては一定の影響を及ぼし得る法令改正と言えます。

当社では申告支援や、各種事業セットアップに纏わる法令相談等に対応しております。お気軽にinfo@ags-vn.comまでご連絡下さい。







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