皆さん、こんにちは。AGSスタッフです。
ご存じの方々もいらっしゃるかと思いますが、本日は標題の件についてupdate差し上げます。長文になりますが、一生懸命書き、私なりに推敲もしたので、ご興味のある方々いらっしゃれば是非最後までお付き合い下さい。
こちらは特に、ベトナムにおいて所謂”商社”、即ち卸売(輸出入権の行使を含む)及び/又は事業者向け小売を営む方々にとって有益となり得る話です。また、ベトナムにはコミッション文化があり、それ以外の事業者の方々にとっても、特に親子間利益還流等ベトナム向け送金のニーズがある場合、一定の価値のあるトピックかと思います。
前置きも長くなりましたが、具体的に、所謂代理店ライセンス(VSIC4610)です。
実務上、例えばA社とB社を繋ぎ、その対価としてA社及び/又はB社からコミッションをもらう場合、一般管理コンサルティング(VSIC7020)の体を採って契約し請求する事案が多く見られます。
しかしながら、かかる行為は厳格には代理店(商法第166条)又は仲介(同法第150条)に該当し得る行為であり、それをコンサルティングとして実施することには違法の疑義があり得るところです。より深刻に、反復継続して相応の売上や利益を上げていた場合、税務調査で突かれると痛い部分ということにもなってしまいます。
かかるリスクを認識しながら、漠然と”外資には媒介ライセンス取得は難しいから”と、やむなく上記コンサルティングとして実施している方々もいらっしゃるかと思います。
かかる認識は、半分は正しいですが、残り半分は間違っています。どことどこがでしょうか?
先に半分間違っている方から書きます。
即ち、決定#27/2018/QD-TTgに照らし、所謂代理店ライセンス(VSIC4610)にはi. 手数料を介して取引を行う仲介人(comission agent、VSIC46101、以下単に「コミッション仲介」といいます)、ii. 仲介人・仲買人(broker、VSIC46102)及びiii. 競売代理人(auction broker、VSIC46103)が含まれますが、ベトナムのWTOコミットメントにおいてこれらのうち、i.については外資開放されております。従い、少なくともコミッション仲介については、投資登録証(IRC)及び企業登録証(ERC)における事業分野の追加申請をすれば、所轄当局としては原則拒絶の理由がないということになります。
つまり、所謂登記上は、コミッション仲介の事業分野の登記をすることは、相応に現実的です。かかる事業分野を以てなし得る事業は、英語になりますが下記
46101: Activities of commission agents involved in the sale of goods
This sub-class includes:
– activities of commission agents and all other wholesalers who trade on behalf and on the account of others; such agents involved in the sale of:
+ agricultural raw materials, live animals, textile raw materials and semi-finished goods;
+ fuels, ores, metals and industrial chemicals, including fertilizers;
+ food, beverages and tobacco;
+ textiles, clothing, fur, footwear and leather goods;
+ timber and building materials;
+ machinery, including office machinery and computers, industrial equipment, ships and aircraft;
+ furniture, household goods and hardware;
– activities of wholesale auctioneering houses;
This division excludes:
– wholesale trade in own name, see groups 4620 (Wholesale of agricultural raw materials (except wood, bamboo) and live animals) to 4690 (Non-specialized wholesale trade);
– activities of commission agents, brokers, auction agents related to automobiles with 9 or fewer seats, see 45131 (Activities of commission agents for automobiles (with 9 or fewer seats)), other motor vehicles, see 45139 (Other activities of commission agents for other motor vehicles), motorcycles see 45413 (Activities of commission agents for motorcycles);
– Activities of commission agents, brokerage, auctions of spare parts and accessories of motor vehicles, see 45303 (Agents of parts and accessories for motor vehicles and other motor vehicles), 45433 (Agents of motorcycle parts and accessories);
– Retail sale by non-store commission agents, see 47990 (Other retail sale not in stores, stalls or markets);
– Activities of insurance agents, see 66220 (Activities of insurance agents and brokers);
– Activities of real estate agents, see 6820 (Real estate consultancy and brokerage and auctioning, land use right auctioning).
の通りです。勿論解釈に亘る部分もありますが、当社見解では、コミッション収受をコミッション仲介の事業分野を以て行った場合、少なくともコンサルティングの体を採るよりは相対的にリスクヘッジに繋がると考えられます。それができる、ここで終わればgood newsですね。
しかしながら、ここからが本題で、半分正しい方も書かなければなりません。bad newsの部分で、所謂サブライセンス(日本で云う許認可に相当)の問題です。
政令#09/2018/ND-CP(以下政令#09といいます)第5条1項g)号に照らし、コミッション仲介事業を適法に実施するためには、サブライセンス、具体的に事業許可証を取得する必要があります。換言すると、前記に従い事業分野の登記を完了したとしても、かかるサブライセンスを取得しない限り、結局コミッション仲介の事業を適法に実施することはできません。造った仏像に魂が入っていないような、いわば宙ぶらりんな状態に留まってしまいます。
かかるサブライセンスの発行体は所轄の商工局(DOIT)となりますが、審査機関としては人民委員会も登場します。人民委員会という名称が出てきた時点でお察しの通り、これが非常に厄介です(商工局自体、相応に手強いですが。。。)。
既に長くなっており、申請の必要書類は割愛します。よりご興味ある方のみ、政令#09第12条をご参照下さい。
発行条件は、英語になりますが下記
– A foreign investor from a country which has acceded to a treaty to which Vietnam is a signatory and under which Vietnam has committed to open its market for sale of goods and other related activities shall:
a) Meet market access conditions prescribed in international treaties to which Vietnam is a signatory;
b) Acquire a financial plan deemed qualified to apply for a business license;
c) Incur no overdue tax in a case where it has been established in Vietnam for at least 1 year.
の通りです(政令#09第9条1項)。
このうちまずc)、所謂税務確認(tax confirmation)を得るまでに相応の期間がかかります。所轄の税務当局がなかなか出してくれないためです。こちらのタスクのみで2乃至3ヶ月間程度潰れる場合もままあります。
税務確認を取得できたとて、です。次にb)です。要件が非常に曖昧模糊としており、”上手く書ける(描ける)まで何度でもやり直し”というコンサル泣かせの事態が後続することになります。受理如何の判断まで受領から3営業日以内、結果発行まで10営業日以内という法令上のタイムラインは、基本的にワークしません。実務上作成時点から3ヶ月間を経過した書類は突き返される場合も多く、加えて適法且つ十分な申請がなされた時点から起算して3ヶ月間とされ、永いキャッチボールを経た挙句、税務確認をもう一回取ってやり直してこい等と言われた日には大変です。軽々に案件を獲り工数との見合いで赤字化するコンサルタントにとっても、疑心暗鬼に陥りかねないクライアントにとっても、最早目も当てられない惨状になります(念のためですが、相応に迫真性あるように読み得るものの、当社にそのような経験があるわけではありません)。
辛く苦しいやり取りを経て漸く成功裡に商工局を通過できたとしても、前記の通り、”ラスボス”人民委員会が登場します。こちらでも勿論、法令上の15日以内というタイムラインはワークしません。そして、実務上、下位の行政当局からゴーサインをもらっていたにも拘らず、人民委員会にちゃぶ台返しされる事案も若干ながらあります。
つまり半年から1年間程度以上を要し、相応の労力とコストも払った挙句、10回以上の会議やテレコンを重ねたにも拘らず、結句、”何の成果も得られませんでした”、という事態に直面することもあり得るということになってしまいます。
縷々書きましたが、こちらが前記”外資には媒介ライセンス取得は難しいから”と巷で言われる所以と拝察されます。
後半ネガティブな内容になってしまいました。しかしながら、前半の通り、コミッション仲介事業の実施は、多国間条約たるWTOにおけるベトナムのコミットメントに基づき認められた、れっきとした日系企業の(厳格には、締約当事国であり日系企業の母国である日本の)権利です。WTOコミットメントの遵守は、条約に基づくベトナムの義務とも言い得ます。
従い、例えばコミッションによる売上や利益が反復継続して相応部分を占める方々、親会社関連会社の意向でグローバルな法令遵守がマストな方々、日系企業としてコミッション仲介事業を追加することに先行者利益等魅力を感じる方々等は、チャレンジする価値も十二分にあり得ると当社としては考えます。締約当事国である日本総領事/大使館の助力を仰ぐこともあり得るところです。
また、皆さん勿論コンプライアンスを全うすることを主目的としてベトナムに進出される/たわけではない前提で、より現実的な選択肢として、一般管理コンサルティング(VSIC7020)のライセンスを先行して追加し、その後コミッション仲介事業の追加を図るか、或いは一旦実務の動向を窺うかというのも、事業者の方々としては十分あり得る選択肢であると考えます。
当社でもコミッション仲介事業の他、種々の事業分野の追加支援サービスを提供しております。ご興味ある方は、是非info@ags-vn.comまでご連絡下さい。