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【ブログ】警備国家!?ベトナムの知られざる警備事情

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みなさんこんにちは。

AGSホーチミン事務所の閑野です。

海外では日本の常識が全く通用しない、といった言葉をよく聞きますが、ここベトナムではまさに日本の常識など微塵も通用しない国といえるでしょう。

毎日の生活の中で「未知の体験」や「新しい気付き」があるため、日越文化の間には大きな隔たりがあるのだなぁと日々感慨にふけっています。

その中でも最近特に気になることのはベトナムの「警備員」についてです。

不思議なことに、ベトナムでは大企業のオフィスから町のフォー屋さん、そして何もないただの路地に至るまで、ありとあらゆる場所に警備員がいます。

しかも、警備員の人数が多非常に多いためか、みな手持ちぶたさそうにしています。

日本人の私からするとなぜそこまでして警備をする必要があるのか、甚だ疑問でしかありません。

ベトナムの警備会社

地元新聞の記事によれば、ベトナムには約600社の警備会社(2016年4月)があるとされており、そのうちの約350社がホーチミン市近郊に集中しているといいます。

一見多いようにも見えますが、警察庁の調べでは日本国内に警備会社が9,342社(2015年)ある事が分かっているため、市場規模は比較的に小さいといえます。

2009年時点ではベトナムの警備会社は156社、警備員が2万人弱であった事を同紙は報道しているため、7年間で警備市場は2.5倍もの大きな成長を遂げているという見方もできます。

ここまでの急激な成長を成し得た背景には、近年の著しい経済成長が大きく関係していると考えられます。

ショッピングモールやスーパー、コンビ二などのモダントレードや、外資や内資の新設企業などが本格的に浸透し始めたのはどれも2000年代に入ってからの事です。(ちなみに、現在も新設企業は着々と増加しており、今年の第一四半期には約23,000社もの企業が設立されている。)

警備事業が成長する環境としてはこれ以上の好条件はありません。

警備員の役割

では、警備員は具体的にどのような仕事をしているのでしょうか?

実は、彼らの仕事の大半は「警備」ではなく、「バイクの駐輪管理」だといいます。

皆さんもご存知のとおり、ベトナムは世界有数のバイク大国。

お客のほとんどがバイクで来店するため、たいていの店の前には駐輪場が用意されています。(といっても歩道にバイクをとめているだけですが、、、)

警備員はこれらのバイクを管理しつつ、警備作業にあたっているのだそうです。

ベトナム交通運輸省の調査によると、ホーチミン市内のバイク普及率は80%を上回るようなので、警備関係者の立場から言わせるとまだまだ警備員の数は不足しているのだそうです。

警備員の繁忙期

警備関係者の知り合いいわく、大型連休にあたるテト(旧正月)や結婚式シーズンの春が一番の繁忙期だといいます。

家族意識がとりわけ強いベトナムでは、テトに実家へ帰省して親戚一同と顔を合わせるといった習慣が根強く残っています。

そのため、都市部の人口が一気に減少するこのタイミングにあわせて、留守を狙った空き巣事件が例年発生しているのだそうです。

そこで、ある警備会社が「テト限定の警備プラン」を個人向けに売り出したところ、これが見事にヒットしたのだそうです。

また、4月は乾季(ホーチミン市には「雨季」と「乾季」の2種類の気候しかない)で、かつ暖かいということもあり、結婚式のシーズンでもあります。

そのため、多くのブライダル会社が警備会社と契約を交わし、警備員を多く会場に配置しているそうです。

ただ、ベトナムでは男女関係のもつれが原因でたびたび凄惨な事件が起きているため、日本以上の厳重な警戒が敷かれているといいます。

式の最中に新郎の元彼女が新婦に濃硫酸をかけて重症を負わせたという理解しがたい事件も起きているため、警備をしすぎるに越したことはないといった感覚なのでしょう。

警備会社の増加が引き起こす社会問題

「警備員による犯罪」が近年横行しているようで、ベトナムでは大きな社会問題として注目されています。

近年の警備会社設立ラッシュの反動により、業界内では過度の価格競争が促されました。

これにより、以前までは「兵役経験者」などが優先的に雇用されていた業界の潮流が、人件費削減のために貧困層の農村部の出身者などが多く雇用されるようになり、警備業務の質が著しく低下する事につながりました。

全体数からみればその事件件数は少ないですが、本来犯罪を未然に防ぐべき警備員が犯罪に手を染めているため、国民感情としては決していいものではありません。

また、その事件内容も悪質極まりないものが多く、子供の誘拐事件や警備先への窃盗など、枚挙に暇がないといいます。

総括

ベトナム計画投資省の見解によれば、1人あたりのGDPを2015年の2,109USDから2020年に,3200 USDにまで成長するだろうと予想しています。

そのため、今後もベトナムの警備市場が拡大していくなかで、凶悪事件がさらに増加していくことも考えられます。

これらを防止するためにも、ただ単純に数を増やしていくのではなく、質をいかにして維持し、そして高めていくかを模索する姿勢を警備会社に期待したいですね。

それでは本日は以上になります。                       ヘンガップライ

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