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【ブログ】ベトナム医療業界の危機

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みなさんこんにちは。

AGSホーチミン事務所の閑野です。

先日、わけあって初めてベトナムの病院に通院しました。

外資系の病院ではなく、ローカル病院だったためか、朝の満員電車のごとく人で混雑しており、診察を受けるまでに2時間もかかってしまいました。

実はベトナムでは近年、病院が圧倒的に不足していることが社会問題となっております。

そのため、病院は常に順番を待つ患者で混雑しており、さながら野戦病院の様相を呈しています。

圧倒的な病院の不足

ベトナムは著しい経済成長を経験してきましたが、それに伴い人口も大幅な増加を遂げてきました。IMFの統計によると、2006年には8331万人だった人口がたったの10年で9264万人にまで増えており、現在ではASEAN内でも第3位の人口を誇っています。

この巨大な人口が、国外からは「豊かな労働力」と「魅力的な消費市場」として高く評価されていますが、その一方で現在の病院不足(病院の処理能力の限界を超えた)の大きな要因になっています。

医療現場の現状

病院不足が招くのは「診察待ちの患者の列」だけではありません。

実は、最もベトナム人が危惧しているのは「病院のベッドの稼働率」です。

なんと、ベトナム、特にホーチミン市ではすでに全ての入院患者に十分なケアーを施すことができない段階まで来ているようで、入院患者が使用するベッドの稼働率は150~200%にも上るといいます。

これは単純にいえば1つのベッドを2人で使用している状態を示します。

しかも、ひどいケースでは稼働率が300%を越えている病院もあるようで、場所によっては床に敷かれたマットやゴザでの入院生活を余儀なくされる入院患者も少なくはないといいます。

また、上記のように過度に病院が不足すしてくると、患者だけでなく看護婦への負担も計り知れないものになります。

実際、現場では看護婦の人手が足らないため、人命に直結しない優先度の低い患者(つまり大半の患者)は看護を受けることができないといいます。

そのため、ベトナムでは患者の家族が看護婦に代わり患者の世話をします。

しかし、家族意識が元来強いベトナム人は「お見舞い」といった名目で親戚一同が病室に集まり、そのまま宿泊するといったケースが非常に多いようで病院側も頭を悩ませているようです。

パンク寸前の病院にさらに人が集まるわけですから、病院側からしてみればたまったものではありません。

公立病院と民間病院

上記のように、ベトナム国内における「公立病院」の切迫した現状を紹介させていただきましたが、民間資本の「民間病院」でも全く異なった問題を抱えています。

なんと、逆に「民間病院」では患者を集めることができず、常に閉院の危機に陥っているのです。

地元新聞紙の記事によれば、ベトナム私立病院協会の統計から全国に180ある病院のうち2/3にあたる120もの病院が採算が取れずにいるといいます。

同紙の調査によれば、ホーチミン市内の公立病院の患者数は平均年間2,700万人、一方の民間病院は700万人という結果が出たようです。

民間病院が支持されない理由

なぜベトナム人は民間病院には通院しないのでしょうか?

その理由としては、「治療費の高さ」が挙げられます。

公立病院とは異なり、民間病院は国からの補助金などに依存せずに病院経営を行わなければなりません。そのため、その分の負担は全て治療費に加算されることになります。

また、民間病院では国の医療保険が適用されないため、患者は治療費全額負担しなければなりません。

ちなみに、公立と民間の治療費を比較してみると、

入院中の1日あたりの部屋代 個室

「公立病院」約2,000円      「民間病院」約66,000円

手術費用 盲腸

「公立病院」約68,400円      「民間病院」約241,500円

              ※東京海上日動 世界の医療と安全2014年より

と、やはり両者には大きな差があるようです。

しかも、世界的に見てもまだまだ医療レベルが乏しいためか、これだけの治療費を払ったところで、それに見合った治療を受けられる保証はありません。

ベトナム人が民間病院を利用しないのもうなづけます。

総括

国連人口基金の調査によれば、ベトナムの人口は2040年までに1億人を超えることが予想されており、ある専門家の談では相対的に減りつつある日本の人口に追いつくのではないかとすら言われています。

これだけの人数を支えるためには、長期的な視点から計画を病院の建設を推し進めていく必要があることはもはやいうまでもありません。

その上で、今後の政府がどのような対応をみせるか、大いに期待したいですね。

それでは本日は以上になります。                        ヘンガップライ。

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