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【AGS法務部ニュース】ベトナム製の原産地ルールに関する動向

1. 税関総局発行の公文書No.5189/TCHQ-GSQL

 2019年8月13日、ベトナム税関総局(General Department of Customs: GDC)は、原産地詐称及び偽造、不正ラベル表示、知的財産権侵害、違法な輸出入品の法的根拠、方法を明確にすべく、省及び中央直轄都市の税関に対して、公文書No.5189/TCHQ-GSQLを発出しました。

新たな法令の制定や基準・ガイドラインの設定ではありませんが、管理・監督の根拠法令や管轄機関、具体的な違反行為を明示することで、税関当局に対してその検査、管理、取り締まりの強化を指示する目的があると考えられます。

この公文書の概要は以下の通りです。

1)原産地詐称及び偽造、不正ラベル表示、知的財産権侵害、違法な輸出入品の輸出入を検査、管理するための法的根拠

  • 原産地:公文書には以下の法的根拠のみが記載されていますが、その主な内容は、商工省(The Ministry of Industry and Trade: MOIT)が原産地証明の発行及び原産地の自己申告に関する方針を提供し、財務省(The Ministry of Finance: MOF)が輸出入品の原産地の検証のために税関当局を直接管轄するこということであり、原産地に関して権限を有する所轄官庁の根拠規定が記されています。
    (法的根拠) 関税法54/2014/QH13第27条1項・2項、外国貿易管理法05/2017/QH14第35条2項、税関法の施行ガイダンスに関する政令08/2015/ND-CP第29条、製品原産地の条項に関する外国貿易管理法のガイドラインを規定する政令31/2018/ND-CP第32条等
  • 商品のラベル表示及び知的財産権の保護:知的財産権の保有者による権利保護のエンフォースメントとしての税関による水際措置(検査、監督、税関手続の中止)の請求などが規定されています。
    (法的根拠) 関税法54/2014/QH13第73条ないし76条、知的財産法50/2005/QH11、政令105/2006/ND-CP、政令43/2017/ND-CP
  • 行政罰則:原産地表示等の法令の違反行為に対する行政罰が規定されています。
    (法的根拠) 知的財産法50/2005/QH11、行政違反処分法15/2012/QH13、政令185/2013/ND-CP、政令99/2013/ND-CP、政令131/2013/ND-CP、政令127/2013/ND-CP、政令119/2017/ND-CP等
2)原産地偽証及び偽装、不正ラベル表示、知的財産権侵害、違法な輸出入品と判断される行為、方法

a)原産地偽証及び偽装:


  • 自由貿易協定に基づく特別優遇税率を適用するために、税関手続において偽造した原産地証明書(C/O)又は虚偽の情報が記載されたC/Oを使用して申告すること。
  • 製造、加工、組立をするための製品、部品等を販売し、製品の加工、製造をしないベトナム国内企業(外国投資企業を含む)が、ベトナム輸出時に“Originated from Vietnam”のラベル貼付等の表示をすること。
  • ベトナム以外の国を原産地とする製品を輸入して、ベトナムを原産地とするC/Oを申請し、第三国に輸出すること。

b)不正ラベル表示、知的財産権侵害:


  • ベトナム国内消費又は外国輸出のために、”Made in Vietnam”、”Manufactured in Vietnam”、”Originated from Vietnam”といったラベルが貼付されたベトナム以外の国で製造された製品を輸入すること。
  • 外国製の製品に商標上の情報、製造施設、ウェブサイト、製品の保証センター、製品パッケージ、保証書カードがベトナム語で表示すること。
  • ベトナム国内消費のために輸入した製品にサブラベルを貼付せず、製品のラベルとパッケージ等を変更するために、サブラベルを貼付しなければならないとの規制が強行的なものでないことを悪用すること。
  • 登録済みの知的財産権に関する偽造ラベルを貼付した製品を輸入すること。
  • 偽造製品、知的財産権を侵害する製品等を輸送するために、トランジットを悪用すること。
3)原産地偽証及び偽装、不正ラベル表示、知的財産権侵害、違法な輸出入品の検査、管理の権限を有する機関
以下の税関の付属及び下部部署に対して、検査、管理に関する権限や任務を割り当てています。
税関局(Customs Department)、税関リスク管理委員会(Customs Risk Management Board)、税関後監査局(Post Clearance Audit Department)、税関執行局(Customs Enforcement Department)。

 

2. CPTPPにおける原産地ルール

2019年1月14日付でベトナムにおいても発効している環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership: CPTPP)に関して、2019年1月22日付で商工省はCPTPPにおける原産地ルールに関する通達No.03/2019/TT- BCTを発行しています。本通達は2019年3月8日より既に施行されていますが、あらためてここで概要を説明します。

1)原産地基準(第5条1項)
  • 1つ又は複数のCPTPP加盟国の領域内で完全に取得又は生産されたもの(完全生産品)
  • 1つ又は複数のCPTPP加盟国の領域内の原産材料のみから生産されたもの(原産材料のみからなる産品)
  • 同通達附録Iの品目別規制(Product Specific Rules:PSR)の全ての適用要件を満たす非原産材料を使用した1つ又は複数のCPTPP加盟国の領域内で生産されたもの(PSRを満たす産品)


2)デミニミス(De Minimis)(第14条、第29条)
デミニミスとは、加盟国の領域内で生産された産品に非原産地材料が使用されていても、その使用が僅少な場合にその産品を加盟国の原産品と認めるルールです。本通達によると、関税分類変更基準が適用される産品にのみ適用され、非原産地材料の価格が産品の価格の10%以下の場合、原産品となります。但し、HSコード第61、第62、第63類以外の繊維製品で非原産地材料が使用されている産品は、非原産地材料が産品の総重量の10%以下の場合、原産品となります。

3)C/Oの免除(第24条)
以下の場合には、C/Oが免除されます。
  •  輸入貨物の通関価格が1,000USD又は輸入加盟国の通貨建てでこれと同等の価格、若しくは輸入加盟国が決定したこれより高い価格を超えない場合。
  • 輸入加盟国がC/Oの免除をした商品又は輸入者に対してC/Oの提示を要求しない商品。
4)C/Oの有効期間(第22条)
C/Oには、発行機関によって加盟国への出荷毎に発行されるC/O又はC/Oに記載される12ヶ月を超えない期間内に同一の産品を複数回出荷するためのC/Oの2つがあり、そのC/Oの有効期間は発行日から1年又は輸入加盟国の法令によって規定されるそれよりも長い期間とされています。なお、C/Oの発行機関は、中央直轄市及び一部の省に設置された商工省傘下のForeign Trade Management Office及びDepartment of Industry and Tradeになります。

以上

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