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【AGS法務部ニュース】最新法令のアップデート: 政令17/2020/ND-CPによる自動車産業に関する条件の改正・補足

 政府は2020年2月5日付けで商工省の管轄下にある事業分野の必要条件に関する政令の一部条項に関する政令17/2020/ND-CP(「政令17号」)を制定し、同政令は3月22日より施行しています。政令17の内容は多岐に渡りますが、今回は自動車の製造、組立、輸入および保全に関する条件について規定する政令116/2017/ND-CP(「政令116号」)の改正・補足に関する内容を中心に解説します。

 概して、今回の改正では各条件は緩和傾向にあり、ベトナムにおける一層の自動車産業の活発化が期待されています。その重要なポイントは、以下の通りです。

1.適用対象の一部緩和

政令116号第2条2項bには適用対象外の者が規定されていますが、政令17号において一部追加されており、追加後の適用対象外の者は以下となります。

a) 以下の自動車の製造業者、組立業者

・国防のために製造または組み立てられた自動車

・運転室の付いた車台または技術的安全品質ならびに環境安全の認証を受けた完成した自動車

・公道で使用せず、特定の狭い範囲内でのみ運行される自動車

b) 以下の自動車の輸入業者

・首相が承認した計画に基づく国防目的のために使用される自動車

・政府または首相が規定する優遇措置または免除を享受する者による一時輸入の方法で輸入される自動車

・対外支援としての寄付、財産移転または科学的な研究開発のために使用される自動車

・首相決定に基づく特定目的のために使用される自動車

・一時輸出入、輸送中または保税倉庫への輸送される自動車

・公道で使用せず、特定の狭い範囲内でのみ運行される自動車

・特別目的車両、旅客運送車両、貨物運送車両、TCVN6211及びTCVN7271に定義されるその他の種類の車両

2.輸入自動車の適格証明書(VTA)の定義の削除

 「輸入自動車の適格証明書」(VTA)とは、ベトナムに輸入された各クラスの自動車の技術的および環境的安全性について責任を負う外国当局または組織によって実施された検査、試験および認証の結果として付与された証明書ないし資格を指します(政令116号第3条11項)。

 政令116号の当該規定は政令17の改正によって削除されています。これは直ちにVTA発給することが困難で、輸入業者が自動車をベトナムに輸入できない事態があり、その結果として輸入業者の販売計画への影響や自動車価格の高騰が生じたため、自動車の輸入手続の簡素化の観点から削除されました。

3.新車輸入に関する輸入業者の責任の修正

政令116号第6条2項aには新車輸入に関する輸入業者の責任が規定されていますが、政令17号では以下のように修正されています。

a) 輸入される新車の品質は以下の方法によって管理しなければならない。

・型式認証方法が採用されている国で製造された自動車の輸入に関しては、品質管理機関は、それぞれのサンプルの安全性・環境保護検査の結果および製造評価適合性の結果に従った型式評価を実施する。

・自己認証方法が採用されている国で製造された自動車の輸入に関しては、品質管理機関は、安全性・環境保護検査の結果、それぞれのサンプルおよび市場から取得したサンプルの試験結果に従って型式評価を実施する。

b) 型式認証の期間は最大36ヵ月とする。

4.自動車製造、組立企業の条件

 政令116号第7条には自動車の製造、組立てに関するライセンスの発行条件として、①施設(工場、製造ライン、組立ライン、品質管理ライン、試走道路等)、②製造ライン、組立ラインの技術責任者の資格・経歴、③労働安全衛生の確保のための人員、計画、④防災条件・計画、⑤環境安全が規定されていました。

 政令17号においては、上記②~⑤の条件が削除されています。

5.自動車の製造、組立てに関するライセンスの申請書類の削減

 政令116号では自動車の製造、組立てに関するライセンスの申請書類として、①自動車の製造ラインまたは組立ラインの技術責任者の関連する学位の写し、②労働安全衛生、防火および環境安全措置の実施を証明する文書の写しを含む書類が規定されていました。

 政令17号では上述①、②が削除され、申請書類の準備の観点から手続が簡素化されました。なお、交通運輸省は安全および環境保護検査の実施のためのガイドラインを作成するものとされ、自動車の製造・組立てをする企業は環境保護、労働安全衛生、消防に関する法令を遵守する責任は新たに追加されています。

6.自動車輸入ライセンスが停止される場合の追加

 政令116号第19条1項には自動車輸入ライセンスが停止される場合が複数規定されていますが、政令17号では「自動車を輸入および一時輸入する企業が、ベトナムの主権、領土保全を侵害する地図を含むナビゲーションソフトウェアの設備がある自動車を輸入した場合」が追加されています。中国との間では九段線に関する領土問題もあるため(参考リンク:http://ags-vn.com/ja/news/38287.html)、これらを念頭においた条件が追加されていると考えられます。

7.自動車輸入ライセンスが取り消される場合の追加

 政令116号第19条2項には自動車輸入ライセンスが取り消される場合が複数規定されていますが、政令17号では「自動車を輸入及び一時輸入する企業が、ベトナムの主権、領土保全を侵害する地図を含むナビゲーションソフトウェアの設備がある自動車を輸入した場合」が追加されています。その目的はライセンスの停止の場合と同様になります。

8.自動車保証、メンテナンスサービス企業の責任の追加

 政令116号第27条には、自動車保証、メンテナンスサービスの提供企業の責任が複数規定されていますが、政令17号では「保証およびメンテナンス期間中、自動車修理店舗は環境保護、労働安全衛生、消防に関する法令を遵守しなければならない。」という責任が追加されています。

以上

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