2020年10月19日、政府はインボイス、電子インボイスに関する政令123/2020/ND-CP(以下「政令123号」という)を発行しました。政令123号には、商品販売・サービス提供のインボイス、電子インボイスを管理、使用する機関、組織、個人の責任、権限、義務が規定されています。政令123号は2022年7月1日より発効し、それに伴い商品販売・サービス提供のインボイスに関する政令51/2010/NDCP(以下「政令51号」という)、 政令51号の一部の条項を修正する政令04/2014/ND-CP(以下「政令4号」をいう)、電子インボイスに関する政令119/2018/ND-CP(以下「政令119号」をいう)がいずれも失効します。
政令123号の主な内容は以下の通りです。
1. 法令間の矛盾の解消
政令119号では、電子インボイスの導入は2020年11月1日までにしなければならないとされ、紙のインボイス(自社発行インボイス、注文印刷インボイス)の使用期限、紙インボイスについて規定していた政令51号、政令4号も 10月31日に失効するとされていました。
他方で、 2020年7月1日より施行されている税務管理法No.38/2019/QH14では、電子インボイスに関する規定は2022年7月1日より適用され、それまでは推奨されるにとどまっていました(同法第151条2項)。 政令第123号によってこの法令間の矛盾は解消され、 政令123号の施行によって電子インボイスの使用に関する法律と下位法令の期限は整合することになります。
2.禁止行為(第 5 条)
税務当局は以下の行為をすることが禁止されます。
- インボイスを購入する組織・個人に対し、トラブルや困難を引き起こす行為。
- 違法なインボイスの使用を目的として、組織・個人を隠蔽し、違法使用を共謀する行為。
- インボイスの検査をする際に賄賂を受領する行為。
商品販売、サービス提供をする組織・個人は以下の行為をすることが禁止されます。
- 違法なインボイスの使用やインボイスの違法使用などの不正行為。
- 税務当局の公務執行妨害にあたる行為。
- インボイス及び文書の情報システムへ不正にアクセス、改ざん、破壊する行為。
3.電子インボイス、電子証書から紙インボイス、紙証書への転換(第 7 条)
適法な電子インボイスおよび電子証書は、経済的または財政的に必要な場合、または税務当局及び会計監査、検査、審査機関の要求がある場合、紙インボイスおよび紙証書に転換され、法令に従った記録、管理目的のためにのみ有効となります
4.政令施行日前に印刷された紙インボイス等の取扱い(第 60 条)
- 2022 年 7 月 1 日前に印刷された紙インボイス、税務当局コードのない電子インボイスの発行を通知した企業・組織、税務当局コード付きの電子インボイスの利用登録をした企業・組織は、2022 年 6 月 30 日までこれまで通りに使用することができます。
- 2020 年 10 月 19 日から 2022 年 6 月 30 日までに新設された企業については、政令 123 号の規定により電子インボイスの申請通知を受け取った場合は、税務当局の指示に従い実施する。
- 2020 年 10 月 19 日から 2022 年 6 月 30 日までに税務当局より電子インボイスの申請通知を受け取った場合が技術的な条件を満たしておらず、紙インボイス等を引き続き使用したい場合、付加価値税申告書の提出とともに、政令123号に添付されている所定のフォーム No.03/DL-HDĐTに従ってインボイスデータを送付しなければなりません。
5.電子インボイスの使用者と種類(第 2 条、第 8 条)
- 電子インボイスの使用者は一部追加され以下の者になります。
①商品販売、サービス提供をする 組織、企業、個人
②商品、サービスを購入する組織、個人
③税金、費用、手数料を徴収する 組織
④税金、費用、手数料を納付する 者
⑤個人所得税を源泉する 責任を負う組織
⑥インボイス、証憑の印刷、領収書の印刷ソフトを提供する組織
⑦各税務管理機関
⑧各税関機関
⑨インボイス、 証憑の管理・ 使用に関する組織、個人(政令 119/2018/NĐ-CP 第 2 条)
- 電子インボイスの種類も追加され以下になります。
①レッドインボイス
②売買インボイス
③公共資産を販売する電子インボイス
④国家貯蔵販売電子インボイス
⑤他のインボイス(電子スタンプ、電子チケット、電子カード、電子レシート 等)
以上