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【AGS法務部ニュース】最新法令のアップデート: 債務の履行担保に関する 政令 No. 21/2021/ND-CP

 2021 3 19 日、 政府は、 政令 No. 163/2006/ND-CP(以下「政令 163」といいます)および政令No. 11/2012/ND-CP(以下「政令 11」といいます)に取って代わる、債務の履行担保を規定する 政令No. 21/2021/ND-CP(以下「本政令」といいます)を公布しました。本政令は 2021 5 15 日より 施行されます。
本政令の主な内容は以下の通りです。

1. 複数の担保手段・ 複数の資産で債務の履行を担保する場合に関する規定の追補
政令
163 および政令 11 には相当する 規定がありませんでしたが、本政令第 5 条には以下の規定が追補されています。

a) 単独の債務を複数の「担保手段」で担保することができます。 債務の違反があった場合、どの担保手段の実行を選択するかに関し担保設定者と担保権者との間に合意がない場合、担保権者は、 担保手段を選択しまたはそのすべてについて実行することができます。
b) 単独の債務を複数の「資産」で担保することができます。 債務の履行に関する 各資産の担保範囲は、 当事者間の合意による ことになります。 ただし、 合意が無い場合、 当該複数の資産のいずれかをすべて債務履行の担保として実行することができます。

2. 担保資産に関する規定の修正
政令
11 1 2 項によれば、担保資産には法令上取引が禁止されない現存資産および将来資産が含まれます。
本政令第
8 条によれば、担保資産には以下の資産が含まれます。 政令 11 と比較して対象資産が拡充されております。

a) 法令上担保手段の設定時点において売買/譲渡が禁止される 場合を除き、 現存資産および将来資産
2015 年民法第 108 条によれば、 「現存資産」とは、 取引実施の前またはその時点において、既に形成されており、主体が資産に対する所有権そのほかの権利を確立している資産を指します。 「将来資産」は、 まだ形成されていない資産、 形成されているが主体が取引実施の時点より 後に資産の所有権を確立する 資産を指します。
b) 所有権保留を伴う資産の売買契約による売却資産
2015 年民法第 331 1 項によれば、売買契約における資産の所有権は、弁済義務が完全に履行されるまで、売主がこれを留保することができます(所有権留保)。 本政令においては、 かかる 売買の対象となる 資産は、 買主に弁済義務を完全に履行させるための担保資産と みなされます。
弁済義務の違反によって買主が売主に購入した資産を返却する場合、 返却時点における当該資産の価値が買主の未払債務より 大き ければ、売主は買主にその差額を支払います
(本政令第 41 )
c) 資産の留置権に関して、双務契約における 違反された債務の対象である資産
2015 年民法第 346 条によれば、 「資産の留置」とは、債務者が債務をおよそ履行しないまたは十分に履行しない場合において、双務契約の対象である 資産を適法に占有している権利者(以下「留置権者」といいます)が、 一定の場合を除き、 かかる債務の十分な履行を受けられるまで当該資産の占有を継続することができることをいいま す。 つまり、双務契約における債務の対象である 資産は、債務者が債務を十分に履行する ための担保資産と みなされます。
ここで、 権限を有する 機関が留置権者に対し留置している資産の提供を請求し、留置権者がこれに応じた場合、 かかる 提供により 留置権が解除されたと はみなされません。また、 資産の所有者がその他の民事取引に留置されている資産を供した場合であっても 、留置権者は以下の場合を除き、 かかる 資産を当該民事取引の相手方に引き渡す義務はありません
(本政令第 47 )
 ・ すべての債務の十分な履行
 ・ 2015 年民法第 350 1 項・ 2 項、 5 項に規定される 場合
留置権者は履行されない債務に直接に関連する資産のみ留置でき、 履行されない債務の対象が複数の資産であれば、留置権者は留置の対象として資産を選択できます
(本政令第 48 )
d) 関連法令が規定する全人民の所有に属する 資産

土地等がこれに該当しますが、 本政令はこの財産を具体的に規定していません。

以上

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