外国人の出入国・乗継・居住に関する法の改正草案
2019年10月29日、現在開催されている第14期第8回国会において、外国人の出入国・経由・居住法の一部を改正・補足する草案について議論されました。
外国人の出入国・経由・居住法の改正草案(「改正草案」)には、ベトナムにおける外国人の出入国・経由・居住法の一部を改正・補足、その施行規定が含まれています。
ビザに関する現行の法律は、ベトナムにおける外国人の出入国・乗継・居住に関する法No.47/2014/QH13(「法47」)であるところ、査証(ビザ)の分類、出入国・乗継・居住の条件、手続等が規定されていますが、電子ビザに関する規定は置かれていません。
もっとも、ベトナムに入国する外国人の電子ビザ発行の過程及び手続に関する政令No.07/2017/ND-CP(「政令07」)、及び政令No.07/2017/ND-CPを修正する政令No.17/2019/ND-CP(「政令17」)において電子ビザの取得手続が規定されています。政令07及び政令17はともに2021年2月1日をもって失効すると明記されているため、これらの政令の失効前に電子ビザの取得手続等について法律上に明文規定を置くために、改正草案を審議されています。
改正草案主な事項は以下のとおりです。
- 電子ビザの定義
電子ビザとは、電子ビザ情報ページのウェブサイトでの電子取引を通じて公安省入国管理局により発行されるビザであり、「EV」と表示され、電子ビザの期限は 30 日を超えてはなりません。
- ビザ目的の変更
法47第7条1項によると、ビザの種別(シングル、マルチ)及び入国目的の変更は不可能とされていますが、改正草案第1条2項では、以下の者の入国目的の変更を許容しています。
– ベトナム法令に従いベトナムに投資している外国投資家又は外国組織の代表者。
– ベトナムで就労するためにベトナムの組織により招待、又は保証され、及び電子ビザで入国し、労働許可証又は労働許可証の免除承認書を持つ者。
- 投資プロジェクトの規模に従う投資ビザ(「ĐTビザ」)の分類に関する規定の補足
法47 第8条では「ĐTビザ」は、外国人投資家、外国人弁護士のビザとされていますが、改正草案においては以下のように更に分類されています。
-「ĐT1」は、ベトナムに1,000億ドン以上の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家及び外国組織の代表者に発行されます。
-「ĐT2」は、ベトナムに500億ドン以上1,000億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家及び外国組織の代表者に発行されます。
-「ĐT3」は、ベトナムに30億ドン以上500億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家及び外国組織の代表者に発行されます。
-「ĐT4」は、ベトナムに30億ドン未満の投資プロジェクトの資本金を投資している外国人投資家及び外国組織の代表者に発行されます。
- 労働ビザ(「LĐビザ」)の分類に関する規定の改正
法47 第8条では「LĐビザ」は、外国人労働者のビザとされていますが、改正草案においては以下のように2種類に分類されます。
-「LĐ1」は、労働許可証の免除承認書を持っている外国人労働者向けのビザです。
-「LĐ2」は、労働許可証を持っている外国人労働者向けのビザです。
- テンポラリーレジデンスカード(「TRC」)の期限に関する規定の改正
ĐT 1のTRC期限は10年を超えてはならず、LĐ1、LĐ2のTRC期限は2年を超えてはならないとされています。
- 沿岸経済区に入る目的での入国する外国人に対するビザ免除の規定の補足
以下の条件を満たす沿岸経済区へ入国する外国人に対しては、滞在期間が30日以内の場合、ビザが免除されます。
- 国際空港を有すること。
- 明確な地理的境界があり、外部と区別されていること。
- 経済・社会発展の政策に適合し、ベトナムの国防、安全保障、治安を害しないこと。
以上