Search

【AGS法務部ニュース】最新法令のアップデート: 製造業への外国投資活動に関する新政策と対応

1. 製造業の外国投資に関する新政策

 外国投資家が既存のベトナム国内の非公開会社を買収する場合、対象会社が条件付投資分野に属する事業を行っている場合、買収後に外国出資割合が 51%以上になる場合には、所轄の計画投資局において登録手続を実施しなければなりません(投資法 No.67/2014/QH13 26 1 項※来年 1 1 日より施行される改正投資法 No.61/2020/QH14 においては外国出資割合が 50%以上と修正されています)

 近時、外国投資家が特に製造業を実施するベトナム国内の企業を買収するために、この登録手続を実施する際に、計画投資局より資本参加後の投資プロジェクトに関する詳細な説明を要求されるケースがあるようです。

2. 計画投資局による対応の法的根拠

(1) 党中央執行委員会の 2030 年までの外国投資に関する議決 No.50/NQ-TW

 2019 8 20 日に公布された党中央執行委員会の議決 No.50/NQ-TW では、これまでのベトナムの外国投資政策の振り返り、外国投資のベトナム経済における重要性の評価等がされており、その上で、2030 年までの外国投資に関する目標が示されています。その目標を設定するための考え方の 1 つとして、「品質、効率性、技術、環境保護を主な評価基準として選択的に積極的な外国投資を誘致すること。先端技術、新技術、高度技術、クリーン技術、近代的な統治、高度な付加価値のある投資プロジェクトを優先すること」が挙げられています。

 計画投資局による上記 1 の政策は、この最先端の技術や環境にやさしい技術を活用した外国投資を積極的に誘致する、逆に、既存の古い技術や環境汚染のおそれのある投資プロジェクトに対しては抑制するという考え方が基礎にあるといえます。

(2) 2020 年投資法 No.61/2020/QH14

 ベトナムへの投資活動の基本法となる投資法の改正法が 2021 1 1 日より施行される予定であり、その中で以下の場合には投資プロジェクト活動期間が終了してもその延長をすることができないと規定されています(同法第 44 4 )
 - 古い技術を使用する、潜在的に環境汚染を惹起する危険がある、天然資源を濫費する投資プロジェクト
 - 投資家が補償なしでベトナム国家またはベトナム側に財産を移転しなければならない場合に属する投資プロジェクト

 現時点においては改正法は施行されておらず、また投資法の制限は投資プロジェクトの活動期間の延長であり、M&A、新規の外国投資活動に関するものではありません。しかし、同条項の目的に M&A に関連する手続にも敷衍し、計画投資局にて上記の運用がされていると考えられます。

3. 実務的影響と今後の対応

 当局への登録手続を進める際には、従来の書類に加えて、技術、機械、雇用、投入材料、市場、環境保護に関する説明が要求されます。その結果、計画投資局の登録手続は十分な書類の受領後 15 日とされていましたが(政令 No.118/2015/ND-CP 46 3 b)、書類の不備、追加提出や他の関係省庁へのヒアリング等によりこの期間が延長することが予想されます。また、古い技術、潜在的な環境汚染の危険性、天然資源の濫費をどのような基準、要素によって判断するかも現時点では明確にされていないため、担当者の裁量によって判断されうる可能性もあります。特に製造業への投資を検討している外国投資家においては、M&A 全体のスケジュールの管理、手続の長期化に伴うコスト、対象会社との交渉において留意ください。

以上

Japan
Vietnam