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はじめに
ベトナム統計総局の2015年の統計によると、ベトナム全土の大学生の数は約200万人であった。その内、ホーチミン市には 約55万人おり、ホーチミン市の人口に対する大学生の割合は約6.8%であることがわかる。本調査は、学生の経済事情や消費動向など大学生生活の状況を把握するため調査を実施した。
ベトナムの学生
- 調査人数:85人
- 対象者:大学生
- 年齢:18歳 ~ 21歳
ホーチミン市の大学生の生活の「生活費」、「住居」、「食」、「エンターテインメント」の4分野について調査した。
I. ベトナムの大学生事情:
II. 大学生の生活費:
ここまでは前回のレポート、ベトナム大学生の生活 第1回【2017.6】で紹介しました。今回は、住居について紹介します。
III. 大学生の住居:
「ホーチミン市の大学生の生活」に関して、ホーチミン市の大学生85人にアンケートを行った。調査の結果は下記グラフを参照。
1. 住居地域:
図 1:調査した学生の居住地域(単位:%)調査した学生の多くは都心部付近と郊外に住んでいる。学生の85人の内、42%に当たる36人が都心部付近に住んでおり、41%に当たる35人が郊外に住んでいる。都心部は家賃や物価が高いので、都心部に住んでいる学生は少ない。
図 2:学校と自宅間の距離(単位:キロメートル)
学生の約半数は学校から家までの距離が5キロメートル未満である。ベトナムにおいて日常的に利用されている交通手段はバス、バイク、タクシーである。近距離電車は無くタクシーは高価なため、大学生の主な交通手段はバイクとバスといえる。そのため、できれば大学生は大学の近くに(5キロメートル以内)住みたいと考えている。
2. 住まいの内訳:
2.1. 住まいの内訳:
ベトナムの小規模アパートは主に低所得者、工員、大学生が住んでいる。マンションと比較して小規模アパートの条件は劣るため、ある程度所得がある会社員が住むことは少ない。理由は部屋が狭く、大家さんと同じ住居に住むこともあるので自分だけのプライベート空間は少ないためである。ある学生の部屋では15~20m²のスペースの中で調理、勉強などをし、生活している。寮の場合は6〜8名で一部屋に住み、部屋の中にはトイレもある。食事は寮の食堂で摂り、部屋の中には台所がなく、調理禁止のところが多い。
一軒家やマンションに住んでいる学生の大半は、家族や親戚と住んでいる。
図 3:住居スタイル:(単位:%)
ベトナムでは寮が少なく、学生の需要を満たしていない。また、寮の部屋内で調理できないため、学生の多くは小規模アパートや部屋を借りている。学生の47%の40人は小規模アパートや部屋を借りており、8%だけが学生寮に住んでいる。
2.2. 家賃:
図 4:一ヶ月あたりの家賃:(単位:ドン)学生の40%の34人は親や親戚の家に住んでいるので、家賃を払っていない。
家賃を払っている学生の中の75%は300万ドン(約15,000円)以下の家賃を払っている。
3. 住環境:
3.1. 住まいで重視する設備:
図 5:現在保持している住居設備:(単位:%)学生の約80%は基本的な設備を持つ。約20%は大家さんや他の部屋に住んでいる人とトイレや台所を共同使用する。
ベトナムの主な交通手段はバイクのため、住居の91%にはバイクの駐車場がある。
逆に、セキュリティサービスを提供している住居は少なく、住居の55%に警備員や監視カメラがあるという結果に留まった。
3.2. 住まいを選ぶポイント:
図 6:住まい選びで優先するポイント:(1位から5位まで)ベトナムの学生が住まいを選びで優先するポイントをランキング化したところ、優先度の高いポイントは以下3つであることがわかった。
第1位:家賃
第2位:セキュリティ
第3位:通学時間
学生の大半がお金に余裕がないため、家賃を最優先にしていると思われる。一方、女性を中心にセキュリティに不安を抱えているため、家賃より関心が高い学生も多い。また、ホーチミン市は渋滞が社会問題になるほど深刻なため、なるべく通学時間を短くしようと考える学生も多いのかもしれない。
4. 部屋サイズ:
4.1. 部屋をシェアする人数:
図 7:シェアメイトの数 (単位:%)ベトナムの学生は数人でルームシェアすることが多い。理由は、ルームシェアは一人暮らしと比較し光熱費やインターネットなどを割り勘することができ安く住めることや複数人で一緒に居ることで安心感が増すことである。調査結果によると、学生の34%は2人で住んでおり、25%は3~4人住んでいる。
4.2. 部屋の面積:
図 8:部屋の面積:(単位:%)ベトナムで部屋を借りた場合の平均的な大きさは10~20m²である。全体の35%の30人は10~15 m²未満に住んでおり、18%の15人は15~20 m²未満に住んでいる。
5. 調査結果概要:
- ホーチミン市の学生の半数は都心部付近に住んでいて、学校から家までの距離が5キロメートル未満である。地方出身学生は小規模アパート・部屋借りをする学生が多く、寮に住んでいる学生は少ない。
- 平均家賃は100万~300万ドンである。
- 住まいを選びで優先するポイントは家賃、セキュリティ、通学時間の順である。
- 理想は2人暮らしで、10~15 m²の広さの部屋に住むことである。