Search

【ブログ】ベトナム人社員の日本語教育のコストとリスク

はじめまして!
日本の大学2年生の塩澤慶祐と申します。
2月12日から3月11日までの間、BM (Business Matching) 部署でのインターンシップに参加しております。
本日よりブログを1週間に一回作成していく予定です。

今回のテーマは、「ベトナム人社員の日本語教育のコストとリスク」についてです。

1.テーマ選定の背景
 
この度のテーマ選定の背景には、私の現地日系企業訪問の経験がある。インターンの業務として、いくつかの日系企業に訪問する機会があり、その際に日系企業で働くベトナム人社員の日本語力の高さに非常に驚いた。私が訪問した企業は、日本語を公用語にして経営を行なっていた。一方で社員の方々は、「とにかく日本語教育は大変!」と口を揃えておっしゃっていた。
そこで、何故ベトナムにおいて日本語教育が必要で、マネージャーはどのように対応していくべきなのかに興味を持ち、今回のテーマを選定した。

2.日本語教育の必要性

現地日系企業が日本語教育を行なう理由は大きく分けて2つある。

1つ目は、組織内部に関することである。現地に進出している日系企業のほとんどは、本社の組織風土をそのままベトナムの支社へも適用している。加えて、ビジネスを進めていく際は、日本支社との調整が必要になるケースがほとんどである。実際に私が訪問した企業の方々も、メールやSkypeを介して日本支社との調整をはかっていると話していた。もちろんベトナム人社員であっても、メールやSkypeは日本語で行なっている。

2つ目は、現地ステークホルダーとのコミュニケーションに関することである。進出企業は、ベトナムにおいても他の日系企業を相手にビジネスを行なうことが多い。実際に、現地企業の社員の方に質問すると、「顧客の約90%が日系。だから、顧客とのコミュニケーションに日本語は必須。」と答えてくれた。つまり、ベトナムにおいて売上を伸ばしていくために、社員の日本語力が重要になっている。

3.日本語教育の時間とコスト

日本語教育が重要であることは確かだが、教育には多くの時間とコストが掛かる。ある企業においては、社員全員の日本研修義務化や、毎日の日本語教育時間の確保など、多大な時間とコストをかけて教育を行なっている。多くの時間とコストをかけたとしても、社員がビジネス通用レベルの日本語力を得るためには、約1年から2年がかかるとされる。
日本語教育の必要性は高いものの、時間とコストの面で大きな問題を抱えている。

4.日本語教育のリスク

日本語教育の大きなリスクとなるのは、人材の流出である。ベトナムでは、時間とコストをかけ一人前になった社員が、急に離職してしまうことは珍しくないそうだ。訪問先の社員の方々も、この問題に頭を悩ませていた。
何故、社員は離職してしまうのだろうか。その主な理由として考えられるのは、日本語力獲得に伴う人材の市場価値向上である。ベトナムにおいて日本語力があるベトナム人のニーズは非常に高く、教育を受けた社員はより好条件を求めて違う企業に転職することが多い。(日本におけるMBA社員のヘッドハンティングと同じ)
つまり、いくら手間ひまをかけて育てた社員でもマネジメントの手法を間違えれば人材流失は避けられない。


5.マネージャーの対策とは

ではマネージャーはどのような対策をとるべきなのか。私なりに考察してみた。

社員の流出を防ぐためには、外的な要素である賃金面の充実と、内的な要素である社員の動機づけを同時に行なっていくべきであると考える。

まず、賃金面での対策である。マネージャーは、日本よりも社員の評価や賃金アップに慎重にならなければならない。何故ならば、日本人と比較して自己利益に敏感なベトナム人は、常に自身への評価や自身の賃金を気にしていることが多い。実際にある企業は、社員の日本語力を資格によって測定し、それにあわせたボーナスを導入している。
このように、日本語力にあわせた賃金面への配慮に気をつけなければならない。

次に、社員の動機づけである。ここで重要なのは、社員がどのように動機づけされるのかを理解することである。そこで私も実際に、同僚のベトナム人社員にヒアリングを行なった。

社員の方は、「職務内容、通勤時間、配属先の環境によって動機づけされている。」と答えてくれた。つまり、この社員のモチベーションを維持させるためには、現在の職場環境を変えずに職務充実(job-enrichment)などのマネジメントをしていくべきである。逆に、この社員に対してジョブローテーションなどの間違ったマネジメントをしてしまうと、モチベーションは低下し、離職に繋がりかねない。
以上のように、マネージャーはベトナム人社員とのコミュニケーションに気を配り社員の動機づけのためには何ができるのかを常に考えなければならない。


本日の内容は以上です!
今後も宜しくお願いいたします。

「AGSでは進出前の各種調査から、現地法人・駐在事務所の設立、進出後の会計・税務・監査・労務・法務等までベトナムビジネスにおけるトータルサポートを行っております。
ベトナムに進出をお考えの皆様、AGSにお気軽にご相談くださいませ。
ags.sales@ags-vn.com(日本語対応可)」

Japan
Vietnam