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皆さんこんにちは。
AGSホーチミン事務所の閑野と申します。
ベトナム旅行に関する書籍を読むと、「生水には注意して下さい」といった文言が必ずといっていいほど見受けられます。
たしかに、ベトナムに居を移してから腹痛に悩まされる多くの日本人を見てきました。
かく言う私も例外ではありません。
しかし、よくよくベトナム人の友人に話しを聞いてみると、なんとベトナム人にとっても水が原因でお腹を壊す事は至極一般的な事のようです。
常に安全な水に囲まれた私たち日本人にとってはなかなか想像しにくいものがありますね。
そこで、今回は日常生活で欠かすことができない生活用水に関して調べてまいりましたので、ご紹介させていただきます。
上水道の普及に関して
そもそも、ベトナムにおける上水道の普及率はどの程度なのでしょうか?地元新聞の記事によれば、2015年時点でのホーチミン市内の普及世帯数は約152万3600世帯、これは81.3%の普及率に相当します。
ほぼ100%近い普及率を誇る日本に肉薄する高い数字を誇っているように見えますが、逆を言えば「残りの18.7%」はいまだに井戸を使用している、ということを表すデータでもあります。
特に低所得者層の割合が多い地域では、上水道の普及率は脅威の1%(ホーチミン市内では12区)となっており、地域によってはその普及率に大きな差が生じているといるようです。
生活用水の水質は?
懸念すべき水質に関してですが、結論から言えばやはり飲用水に適してはいないようです。その問題点は「水源の水質汚染」や「浄水施設の技術不足」ではなく「配水管の老朽化」にあるようです。
2014年時点でのサイゴン水道総公社(SAWACO)が発表した報告書によれば、市内に敷設された全長5,462kmの配水管のうち、642km相当が30年以上交換・改修もされず、現役で使用され続けているといいます。
しかも、日本では残留物が(サビなど)混入するとの理由から廃止された「鉄製の水道管」をいまだに用いられているため、その水質は推して知るべしといったところです。
上水道ですらこの有様ですから、井戸水などもってのほかです。
市の保健予防センターが320本の井戸を対象に行った調査によればアンモニア、鉄、マンガン、亜硝酸塩などが基準値以上に検出されており、日本人はまず口をつけるべきではないでしょう。
製氷に関して
「水を口にする」という意味では、氷も特に注意をする必要があります。常夏の都市、ホーチミン市ではコーヒーや飲料水は元より、ビールにまで氷を入れて飲む習慣があり、もはや生活必需品といっても過言ではありません。
そのため、氷の需要は非常に高く、いまだに数多くの製氷企業がホーチミン市近郊に存在します。
その工場数は2015年時点で193ヶ所にも及ぶそうです。
しかし、市の食品安全衛生支局が上記のうち、22か所の工場を対象に衛生検査を行った結果、そのうちの12箇所で大腸菌や糞便性連鎖球菌、緑膿菌などといった細菌が確認されたと報告しており、お世辞にも安全性が確保されているとはいえない状況にあります。
総括
今回、水質に限って特集をさせていただきましたが、ホーチミン市の配水管網が抱える問題はこれらだけではありません。特に、老朽化した配水管により起こる漏水被害は甚大ではなく、1日に26.5億ドンもの損失が発生しているとSAWACOは公表しています。(ちなみに漏水率は2015年時点で約30%。日本の漏水率が1桁ということを考えると非常に恐ろしいですね。)しかも、一部の配水管は老朽化に耐えかね、裂傷・破裂をする始末で、上水道が完備された家庭でも断水を強いられることが頻繁にあります
「市の財源を円滑に運用」、そして「市民のよりよい生活」を保障するためにも、配水管の改善は早急に対処すべき課題であるといえます。
それでは本日は以上になります。 ヘンガップライ。