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【ブログ】発展途上?ベトナムの医薬品市場

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AGSホーチミン事務所の閑野です。

最近、日本ではベトナムのテレビ露出が増えているようですね。ベトナムにお越しになる方々からお話を伺うと、どうやらベトナムが非常に魅力的な消費市場として日本では報道されているとか。

確かに、ベトナムは東南アジアでも第3位の人口を誇るだけあり、近年は生産拠点としてだけでなく、消費市場としても大きな注目を集めています。(ちなみにIMFの調査では、2016年時点で1位がインドネシアの約2.5臆人、2位がフィリピンの約1億人、3位がベトナムの約9,000万人となっていそうです。)

そんなベトナムの消費市場で、今最も期待されている分野は実は「医薬品」市場だと言われております。2009年時点で17億ドル(約2020億円)であった市場規模が、2014年時点では約40億ドル(約4760億円)とたったの5年で約2倍以上もの成長を遂げています(人口が増えれば当然のごとく需要が拡大するため、市場規模が大きくなるのは明白ですが、、、)。

しかし、急激な成長の裏には得てして何かしらの問題が隠れているもの。ベトナムの医薬品業界も例外ではありません。今回は、その業界の裏側を皆様にご紹介したいと思います。

国内の製薬業界の現状

在ベトナムヨーロッパ商工会議所(ユーロチャム=EuroCham)により開催されたセミナー「患者の健康状態の改善−医薬品業界における品質と発明の役割」において、2016年現在ベトナム国内に流通する医薬品のうち、国産の市場シェアがたったの48%しかない事が発表されました。つまり、ベトナムの医薬品市場はその過半数を外国産(主にフランス、インド、韓国、ドイツ、スイスなど)が占めており、完全に外資製薬会社に依存している状況にあるのです。

理由と原因

 ベトナムの医薬品業界が国外に依存する要因として「技術」が圧倒的に不足している点が挙げられます。当然の事ですが、新興国であるベトナムが経済的にも、そして技術的にも先を行く先進国にこれらの点で追いつくことは非常に難しいといえます。そのため、国内で製造できる医薬品の種類にも限界が出てきてしまうのです。実際、現在国内で製造される医薬品の大半が簡易的なジェネリック薬(特に「風邪薬」や「抗生物質」など)となっており、高度な技術を要する「特効薬」に値する医薬品の製造には手が回っていないのが現状のようです。

国内病院の実情

先ほど、国内の医薬品市場における国産シェア率が48%と書きましたが、これは市場全体の平均値に過ぎません。ベトナム医薬品協会の報告には、国立病院、ならびに省・市運営の公立病院における国産医薬品の使用率はたったの13%である事が示されており、数字に大きな隔たりがある事が確認されています。病気を治療することを専門とした病院では、一般的な「ジェネリック薬」よりも高度な「特効薬」を必要とするのは至極当然の事といえます。

総括

外国産の医薬品に依存をする状況下で最も危惧すべきことは、価格と供給のバランスが脆い点にあります。

国外から輸入をすることにより、医薬品のコストが多くの業者の手を渡ることで上乗せされ、分患者にとって金銭的な負担となります。また、医薬品を製造する他国で、製造を阻害する何かしらの問題が発生した場合、医薬品を安定的に供給できなくなる可能性もあります。

そのため、国内で製造し、消費すると言った国内完結型のサイクルを形成する事が重要となってきます。

現在、政府は国民が安価に薬を購入できるよう、予算の多くをこの補助金に当てているようですが、上記のサイクルを築きあげる努力をしなければ問題の解決にはつながりません。

そのような意味で、政府が医薬品業界を抜本的に見直す必要に迫られるのも、もはや時間の問題なのかもしれませんね。

それでは本日は以上になります。                       ヘンガップライ。

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