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【ブログ】ベトナム社会主義共和国における外国法人の進出形態について①

いつも大変お世話になっております。

AGS設立部の山崎です。

今回は、外国法人がベトナムへ進出する際の「設立形態」についてご紹介させて頂きます。

外国法人がベトナムへ進出する際は、下記いずれかの設立形態を選択することになります。

外資系企業の海外進出形態は、主に現地法人・支店・駐在員事務所の3種類です。ただし、駐在員事務所の活動は情報収集(投資前の市場調査・分析など)や連絡業務(現地でのアテンドなど)のみに限られており、貿易などの商行為が禁止されている為、事業展開を考える場合は、「現地法人」か「支店」のどちらかを選択することになります。

現地法人は、「子会社」と言い換えることができます。親会社とは独立した会計単位で動いており、出資関係こそあるものの、基本的には売上も利益も支出も親会社とは別々です。設立にあたっては、現地法人としての定款が必要となり、別法人という形なので、税務・労務・登記などに関する資料も別に作成する必要がある為、事務作業は煩雑になります。

また、税金に関しては、現地法人の場合は内国法人として当地で法人税の申告を行います。

【ベトナム進出における設立形態とその特徴】

◆現地法人

営業活動・・・・・・・可能

親会社の法的責任・・・なし

対象業種・・・・・・・すべての業種

親会社への損金算入・・不可能

各種ビザ等の発行・・・可能

法人税の支払い・・・・必要

個人所得税の支払い・・必要



◆支店(※)外国法人の海外支店の意味であり、現地法人の支店とは異なる。

営業活動・・・・・・・可能

親会社の法的責任・・・あり

対象業種・・・・・・・金融、法律事務所、航空会社などの特殊な業種

親会社への損金算入・・可能

各種ビザ等の発行・・・可能

法人税の支払い・・・・必要

個人所得税の支払い・・必要



◆駐在員事務所

営業活動・・・・・・・不可能

親会社の法的責任・・・あり

対象業種・・・・・・・すべての業種

親会社への損金算入・・可能

各種ビザ等の発行・・・可能

法人税の支払い・・・・不要

個人所得税の支払い・・必要



以上が、各設立形態における主な特徴となります。

現地法人と支店との大きな違いは、「支店」が本社と同一会計であるのに対し、

「現地法人」は本社との会計が異なると考えて頂ければ分かり易いかと存じます。



しかし、実際に海外で新規事業の拡大を目指す場合、一般的に現地法人を設立するケースがほとんどです。理由として、「事業が異なるため独立性を重視したい、事業に合った業務の進め方や独自の社内規定が必要になる、日本の法人税率が非常に高いため税制面のメリットを享受できる」といった点が挙げられます。

次に、各設立形態におけるメリットとデメリットを見ていきます。

【現地法人】

◆メリット
  • 低い法人税率や優遇税率が受けられる。
  • スタッフの採算意識を向上させ、新規事業などを推進しやすくなる。
  • 法人税率が低い現地で申告となる。
  • 独自の賃金体系を構築できる為、地域差を解消してコストを抑えやすい。
  • 現地法人の方が許認可を受けやすい傾向がある。


◆デメリット
  • 日本にある本社とは別法人扱いになる為、資金繰りや税務などの会計処理、人事や法務労務などの事務処理や手続きの工数負担が増える。

【支店】

◆メリット
  • 日本の本社と事業が一体であるとみなされる為、定款や社内規定等を同一に出来る。


◆デメリット
  • 銀行、タバコ会社、航空会社、法律事務所などの一定業種に限定されている。
  • 日系企業では銀行、法律事務所、航空会社以外で支店が開設できた事例はない。
  • 申請手順や審査内容について不明点が多く、一般的な進出形態としてはお勧め出来ない。

【駐在員事務所】

◆メリット
  • 短期間で設立できる。
  • コンサル等に依頼する場合、現地法人を設立するより、低コストで設立できる。


◆デメリット
  • 現地法人(支店)と比べ、活動内容が大幅に制限される。
  • 本社とベトナム企業間での契約内容の監督や提携といった一部の活動しかできない。
  • 売上を出す行為などは禁止される。


如何でしたでしょうか?

今回はベトナムにおける外国法人の進出形態についてご紹介させて頂きました。

次回は具体的に、各進出形態の設立手続きについてご案内させて頂きたいと思います。



引き続き、宜しくお願い申し上げます。

2017年11月30日

AGS設立部 山崎

Japan
Vietnam