皆様こんにちは
AGSビジネスマッチング部の三木です。
最近、食あたりになり熱を出したり、生き甲斐のサッカーで怪我をしたり、バイクで転倒する人を目撃したりと、事故や病気に関して不安を抱いていたところ、歩行者天国として多くの人で賑わうホーチミンのNGUYEN HUE通りで強い雨と風によりアーチが倒れるという事故が起こりました。
NGUYEN HUE通りで倒壊したアーチ(筆者撮影)
幸い死者は出ませんでしたが、この事故で、倒壊したアーチに設置されていた電飾看板広告が直撃し、通りを歩いていた男性1人が負傷して意識を失ったほか、通りに停車していたタクシー1台の前部が損傷を受けた。負傷した男性は当局により直ちに病院へ救急搬送された。
これに先立つ4月には、アーチを設置するため地面に埋め込まれた鉄製の留め具につまづいた外国人観光客の女性が顔面を負傷。ビエンドン輸出入投資は女性に謝罪するとともに、1,000USD(約10万9,000円)の慰謝料を支払っている。
2018年5月16日 VIETJO「ホーチミン:グエンフエ歩行者天国でアーチ倒壊、通行人負傷」
そこで今回はベトナムの建設事情ついて書かせて頂きます。
現在ベトナムでは急速な経済発展に伴い、建設業も発展しています。
ベトナムの建設業界の市場規模は、2012年から2016年の期間で381兆7,000億ドン(約1兆8,320億円※1)から616兆7000億ドン(約3兆800億円※2)へと、年平均成長率13%という非常に速いペースで拡大しました。
同時期の日本は45兆3000億円から51兆8000億円へと、年平均成長率はわずか3%でした。
建物の使用用途としては7割が住宅、3割が非住宅(オフィスやホテル)であり、非住宅の約6割がオフィス用ということでそこからもベトナムの経済全体の発展の様子が伺えます。
オフィスビル需要に伴い、オフィスレンタルの価格も高騰しています。
下記はオフィスのグレードごとの家賃相場です。
グレードA:35~50ドル(3,850円~5,500円)/㎡ ※東京都の山手線内ほど
グレードB:25~40ドル(2,750円~4,400円)/㎡ ※東京都の山手線外ほど
グレードC:15~25ドル(1,650円~2,750円)/㎡ ※東京都の郊外ほど
また、ホーチミンの主なオフィスの賃料が1㎡あたり平均2305円(※3)とベトナムの物価から考えると高く、オフィスレンタルだけでも企業の大きな出費になるのではないでしょうか。
このような発展の一方で、防災対策や、災害対策の面ではまだまだ改善の余地が見られます。
今年4月には防災チェックを受けていなかったビルで火災が発生し、死者も出ました。それを受け防災チェックを行い始めましたが、建設の段階で様々な事故や災害の対策を講じていない建物は多くあると考えられます。
今後大きなビルでは対策されていく事は予想されますが、昔からある家屋やビルで改めて対策する事は難しいのではないでしょうか。
実際に一般の家屋では壁にひび割れがあったり、雨漏りをしたりとちょっとしたことで事故に繋がりそうだなと感じる事が多いです。
ひびが入り、簡単な補強をしただけの民家(筆者撮影)
建物自体に限らず、タコ足配線のような電線や切れている電線など日本では見る事のない危険が溢れています。タコ足のように絡まった電線(筆者撮影)
また、数は少ないものの、ベトナムでも地震がないとは言えません。日本の優れた防災技術がベトナムでも生かされるべきだと考えます。このように急速な経済発展に追いつかない細かいインフラ整備の面ではまだベトナムは外資からの援助が必要です。
ベトナムでの建設業はベトナムでは2007年にWTOへの正式加盟を果たした際、WTOが規定している12のサービス分野のうち、次の11分野について段階的に開放していくことを批准した11分野に入っており、日系企業のビジネスチャンスは多く転がっています。
ただ、ベトナムでのビジネスチャンスを狙ってやってくる企業は日系企業だけではありません。
韓国や中国、台湾から多くの企業が進出しています。
そこでどう差別化を図り、競争に勝つか考えることがチャンスをモノにするキーになるのではないでしょうか。
参考
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※1 1ドン0.0048円で計算(2012年12月時点のレート)
※2 1ドン0.0050円で計算(2016年12月時点のレート)
※3 1ドン0.0048円、1ドル110円で計算(2018年5月18日現在のレート)