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【ブログ】ベトナムの医療業界

皆様こんにちは

AGSビジネスマッチング部の三木です。

先日ホーチミン市内のローカル病院で健康診断を受け、結果が返ってきました。

特に何も異常はなく健康そのものでした。

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写真1 筆者の診断結果。視力検査は1.5や2.0と出るのかと思いきや10/10と正答数でした。

身長も日本で数ヶ月前に測ったよりも5cm伸びていました。

今回はベトナムの医療業界について書かせて頂きます。

 1. ベトナムの医療市場

2018年4月23日掲載の弊社ブログでもご紹介しましたが、2013年にある日系企業がASEANの5ヵ国で実施した消費市場調査において、今後お金を使いたい分野を聞いたところ、ベトナムは「医薬品、薬」が60%、「医者、医療サービス」が55.1%、「スポーツや健康増進のための費用」が42.8%などとなり、他の4ヵ国(マレーシア、タイ、インドネシア、ミャンマー)を大きく上回りました。

この市場のニーズに伴い、医療市場も順調に成長しています。

2018-06-11_085832

図1 ベトナムにおける医療サービスの市場規模推移(単位は億USD)
(出所:世界保健機関(WHO)「Global Health Expenditure Database」)

2000年時点で16億USD(約1,696億円※1)であったのが2014年には132億USD(約1兆3596億円※2)と約8倍となりました。

同時期の日本は、2,830億USD(約30兆円※1)から3,883億ドル(約40兆円※2)と大きな規模ではありますが1.3倍でした。

※1 1ドル106円計算

※2 1ドル103円計算

 2. ベトナムの医療機関の現状

医療環境・水準とも日本や周辺アジア先進国と比べ劣ります。さらに都市部と地方の医療環境は大きく異なり,医療水準の地域格差は近年ますます拡大しています。

また,公立医療機関と私立医療機関においても医療環境は大きく異なります。公立では医療スタッフ,受容能力,医療機器等の絶対数が不足していますが,地方においてより顕著で,患者が中核病院に集中するため中核病院は常時受診者で混雑し本来の機能が果たせない状況です。

われわれ外国人が公立病院を受診することは,言葉の問題があり交通事故など緊急時以外は滅多にありません。

他方,ハノイやホーチミン市には近代的な医療機器を備えた私立病院・クリニックがいくつかあり,最近では日系クリニックの進出や日本人医療従事者が勤務している医療機関も増えてきました。しかしながら,診断の難しい病気や高度な医療が必要な時は,日本や近隣医療先進国へ緊急移送される場合があります。予め高額医療費に対応できる特約を付加した海外旅行傷害保険に加入しておくことが強く推奨されます。

(出所:外務省https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/viet.htmlより)

・医療機関数は約1.3万箇所、約20万床(日本:17万箇所、180万床)

・10万人あたりの医師数52人(日本:193人)

・保険加入割合81.7%(日本:80%)

(出所:厚生労働省発表各種レポートより)

以上の数値から、ベトナム人は医療に対する出費を惜しまないが、肝心の診療する機関数、従事者数が圧倒的に日本より不足している事がわかります。

実際に私が健康診断を受けた病院では人が溢れていました。場所によっては患者をゴザの横に横たわらせており、横で人が亡くなっていく中で診察を待たなければならない医療機関もあるそうです。(弊社日本人社員がデング熱にかかった際、そのような状況の中診察を待ったそうです。)

 okj写真2 ベトナムの病院内の様子。
(出所:Vietnam investment review2010/10/22「Vietnam capital city’s development plan addresses hospital relocations」より)

また、ベトナムの医療に関する問題で特徴的なのは医療機関ごとの格差です。

レファラルシステム(※3)が導入されているベトナムですが、近年では、富裕層を中心にレファラルシステムを無視し、最初から中央医療機関を受診する患者も多いです。

※3診療所などの低次医療施設では診療できない重症患者を、より高度な医療設備と技術を有する高次 医療施設(病院)へ紹介・搬送するためのシステム。「患者紹介システム」、「病診連携システム」等と も呼ばれる。

(出所:JICA2007年テーマ別評価「リファラルシステム」報告書より)

富裕層を中心にレファラルシステムを無視し、最初から中央医療機関を受診することで、本来そこで治療すべき患者が治療を受けられず重篤化するケースがあります。

さらに、富裕層が偏った医療機関選びをする事で、医療機関ごとに経済的、技術的格差が生まれることも問題となっています。(医師不足、薬不足、技術不足、低所得者に対して適切な処置がとれないなど)

 3. 外資の参入

アジアの中でも高くない医療水準のベトナムはまだまだ外資の力が必要です。

日本からもJICAや経済産業省が派遣され、指導を行い医療レベル発展に努めています。

国単位での支援だけでなく、日系の医療機関も進出しています。(弊社でも設立の実績有)

外国人医師がベトナムで医療行為を行うには、原則、

・免許申請書

・専門学位コピー

・医療行為の経歴書

・労働許可証コピー

・ベトナム語能力証明(最も難しく、証明できない場合は通訳常駐が必要。医療通訳は少数。)

が必要となります。(しかし、日本人医師が日本人向けクリニックで勤務する場合は日本の医師免許のみで勤務可能なケースもあるそうです。)

また、外資の病院設立は100%外資に開かれています(2000万USDの資本金が必要)。

病院だけでなく、医療関係の業界で進出している外資企業は多く、これからも需要は増していくと予想されます。

他の業界同様にチャンスが多いほど、競争も激しくなります。

日本企業だからこそ出来るサービスの展開が必須になってくると考えます。

前述の通り弊社ではクリニック設立の経験もございます。

その他、AGSでは進出前の各種調査から、現地法人・駐在事務所の設立、進出後の会計・税務・監査・労務・法務等までベトナムビジネスにおけるトータルサポートを行っております。ベトナムに進出をお考えの皆様、AGSにお気軽にご相談くださいませ。(日本語対応可)

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