2021年 9月 9日、 ベトナム政府は、 COVID-19の影響下における企業・協同組合・個人事業主の支援に関する決議 No.105/NQ-CP(「決議 105 号」)を公布しました。決議 105 号は 2021 年 9月 9 日から施行されています。
決議 105 号には、政府から各所轄官庁に対して COVID-19 の予防対策の拡大、安定的且つ効率的なサプライチェーンの克服、企業等への財政的、キャッシュフローの支援への指導がされています。その他に、 労働傷病兵社会問題省に対して外国人労働者の労働許可証の取得、更新、発給に関して COVID-19 の状況に適応しつつ実施することを指導し、 政令 No.152/2020/ND-CP(「政令 152 号」)に規定される条件の修正がされているため以下詳述します。なお、本稿作成時に弊社がハノイ市内労働当局への問い合わせをしたところ、政令 152 号に関する修正は2021 年 9 月に適用される一時的なものであるとの回答があり、将来に渡る継続的な法令改正とはならない可能性があること には留意ください。
1. 専門家の要件
政令 152 号 3 条 3 項 a 号 | 決議 105 号 |
外国人労働者である専門家は、以下の場合の一つに属する。 a) 大卒又はそれと同等の学歴があり、 その者がベトナムで勤務を予定する業務上の位置付けに符合して教育を受けた専門領域で少なくとも 3 年以上の勤務経験がある。 |
大卒又はそれと同等の学歴があり、その者がベトナムで勤務を予定する業務上の位置付けに符合する領域で少なくとも 3 年以上の勤務経験がある。 |
政令 152 号ではベトナムで勤務予定の職務と学歴、勤務経験との符合が要求されていましたが、決議 105 号では勤務予定の職務と勤務経験との符合のみが要求されています。
2. 技術労働者の要件
政令 152 号 3 条 6 項 a 号 | 決議 105 号 |
6.外国人労働者である技術労働者は、以下の場合の一つに属する。 a) 技術その他の専門的教育を少なくとも 1年間受けて、教育を受けた専門領域で少なくとも 3 年勤務した。 |
技術その他の専門的教育を少なくとも 1 年間受けて、ベトナムで勤務を予定する業務上の位置付けに符合する領域で少なくとも3 年勤務した。 |
政令 152 号では教育を受けた専門領域と勤務経験の符合が要求されていましたが、決議 105号ではベトナムで就労予定の業務と勤務経験との符合となっています。
3. 労働許可証発給の申請書類
政令 152 号 9 条 4 項 b 号 | 決議 105 号 |
4. 管理者、代表取締役社長、専門家若しくは技術的な労働者であることおよびいくつかの業種、仕事の内容を証明する書面、証明書は以下の通りである。 b) 政令 No.152/2020/ND-CP 第 3 条 3 項、 6 項に規定される専門家または技術労働者であることを証明する書類は専門家または技術労働者の経験年数に関する外国の機関、組織、または企業からの書面による証明書。 |
法令 No.152/2020/ND-CP第 3条 3項、 6項に規定される専門家または技術労働者であることを証明する書類は、学位証明書、卒業証明書、 専門家または技術労働者の経験年数に関する外国の機関、組織、企業からの書面による証明書又は経験を証明するための発給された労働許可証。 |
4. パスポートの取扱
政令 152 号 9 条 7 項等 | 決議 105 号 |
第 9 条 労働許可証発給の申請書類 7. 法令の規定に従って有効なパスポートの公証された写し。 |
政令 No.152/2020/ND-CP 第 8 条 3 項 d 号、 第9 条 7 項、 第 17 条 5 項の規定は次のとおり実施する 。法令の規定に従って有効なパスポートの写し。 |
5. 同一企業内の勤務場所の変更に伴う労働許可証の取得
政令 152 号 | 決議 105 号 |
ある省・都市に所在する外国人労働者が他の省・都市に所在する当該企業の支店に勤務場所を変更する場合、変更後の勤務地の所轄当局に労働許可書の発給を申請して取得しなければならない。 | 左記場合において、変更後の勤務地における労働許可証の取得は要求されず、勤務地の所轄官庁への通知で足りる。 |
その他、現行労働法 107条 3 項では一定の業種、要件に該当する場合にのみ 1 年間に 300 時間を上限とする残業を実施することが認められていますが、決議 105 号では COVID-19 による規制による操業停止等の影響を回復するために、労働法の要件に該当しない企業であっても 200時間以上 300 時間未満の残業が労働者との合意によって実施することを認める旨の検討も要求しています。そのため、労働傷病兵社会問題省による検討の結果、残業規制に関する施策が今後示される可能性があります。
以上