Search

【AGS法務部ニュース】最新法令のアップデート: COVID-19の防止強化

 この度、政府首相が2020年2月25日付でCOVID-19の防止強化に関する指示No.10/CT-TTg(以下、「本公文書」と表記)を公布しました。その重要な点は、ベトナム外務省が韓国を始め一部外国にベトナムへの入国一時停止を含むCOVID-19の防止強化の措置を拡大適用することを通知しているということです。これは、先月弊社より配信した2月2日付の労働傷病兵社会問題省大臣によるコロナウイルスによる新型肺炎の拡大を回避する措置・対策の強化に関する公文書No.01/CĐ-LĐTBを受けての追加措置となります。

 以下のファイルをご覧くださいませ。

AGS_News Letter_首相指示No.10_CT-TTg

 なお、以下の記載内容は2020年3月3日12時00分時点での情報に基づく内容、解釈となりますことを予めご了承ください。

 今後、本件に関する法令のアップデートがありましたら随時お知らせ致します。

1.入国制限措置と日本人渡航者への影響

 本公文書では、韓国及びコロナウイルスの感染が発生した地域から来る外国人及び当該地域を通過した外国人に対して、ベトナムへ入国することを一時停止する措置を発表しました。

 ここで指すコロナウイルスの感染が発生した地域とは、ベトナム管轄機関によって随時認定された地域となります。しかし現時点では、日本が当該地域に該当するか否かを含めて感染エリアの解釈に関する正式な文書は公開されておらず、やはり確答が難しい状況です。そのため、実務上はベトナム各市・各省にて現場レベルの判断で、日本人はベトナムへ入国できないと判断される可能性や隔離等の制限措置が適用されるおそれがあります。

 ただし、2月27日の在ベトナム日本大使館の発表によると、日本人や日本からの渡航者であることのみをもって入国制限措置等の対象になるとの公的な情報には接していないとのことです(以下、発表概要)。


  • 韓国から到着または韓国を経由して入国した者に対し、医療申告を強制的に実施する。誠実に申告しない場合、ベトナムの法規に基づき厳格に処分される。なお、韓国から入国した者については、14日間の経過観察を受けなければならない。
  • 韓国・大邱市および慶尚北道から渡航した外国人に対し、ベトナムへの入国を一時的に中止する。ベトナム入国までの14日以内に,大邱市および慶尚北道を通過した外国人も、一時的に入国が認められない。本措置は、2020年2月26日21時00分から適用される。
  • 正式な目的(注:内容については確認中)のために、韓国・大邱市及び慶尚北道から到着または当該地域を経由してベトナムに入国する外国人について、各代表機関(大使館等)に対し、ベトナム外務省と連携して対応するよう要請する。

 また、労働傷病兵社会問題省雇用局に対し、日本人への労働許可証(Work Permit)発給の現状について大使館から確認をした結果、以下の旨の回答があったとのことです。


  • 各地方省・市労働傷病兵社会問題局および工業団地等の管理委員会は、中国や韓国の入国制限対象地域に過去の滞在履歴がない日本人については通常通り、労働許可証の申請を受理し、発給業務を行っている。
  • ただし、外国での滞在履歴を確認するため、申請に際し申請者のパスポート全ページの写しとベトナムにおける居住証明書の提出を求めることとする。

 よって、日本人のベトナム渡航への影響については、現状、管理当局各窓口の行政判断、今後ベトナムおよび日本国内の感染拡大状況や防止策の有効性、渡航者個人の直近の滞在履歴及び健康状況等によって左右される性質のものとなります。

2.ベトナム国内及び世界の感染状況

 2月27日午前時点で、ベトナム国内ではこれまでに16名の感染およびその全員の完治・退院が発表されています。また、カインホア省では感染流行の終息宣言を発表しています。

 しかし、保険省によると、27日同時点で感染の疑いのある者が90名超おり、感染の疑いのある者や感染流行地域からの渡航者等で合計約5,500名を隔離しています。またハノイ市、ホーチミン市はじめ教育機関の暫時的な一斉休校措置も解除の日程が先延ばしになる等、当局本部では感染の流行が再発する可能性も憂慮しており、依然として予断を許さない状況が続いています。

 3月2日、世界保健機関(WHO)はCOVID-19について適切な措置さえしていれば封じ込めは十分に可能であると留保しつつ、世界的流行は「未知の領域」に突入したと発表しています。

 なお、世界各地では以下のような感染状況(括弧内は死者数)となっています。

中国本土  80,026(2,912)
韓国     4,335  (26)
イタリア   1,694  (34)
イラン    1,501  (66)
全世界計  89,720(3,060)

(3月2日時点/米ジョブズ・ホプキンス大学等調べ)

 上記の感染流行国からのフライト受入の一部中止、ビザ免除の一時停止、渡航者には健康状況の申告を義務化する等、何らかの制限措置を各地でも強化している状況が続いています。

 日本においても、今後更に感染が拡大すれば同種の措置が発動するおそれも十分に想定されますので、引き続き注視が必要です。

以上

Japan
Vietnam