自動車部品の輸入関税に関する財務省の政令改正草案
財務省は、2019年8月8日に政令No.125/2017/ND-CP(「政令125」)の一部条項を修 正及び細則を定める政令改正案(「本政令改正案」)を公布しました。2019年8月8日から現在まで、財務省は本政令改正案に対して国民からの意見聴取手続を実施しています。政令125は、輸出関税表、輸入優遇税率表および物品ならびにそれらの均一課税、複合税、低関税率のリストを規定する政令の一部条項を修正するもので、その中には中古自動車の輸入関税、自動車部品の優遇税率の条項もあります。
本政令改正草案において、ベトナム財務省は自動車産業育成支援を目的として自動車部品原材料の輸入関税を撤廃する計画を明らかにし、自動車原材料や組立用部品に適用される2023年までの優遇税率を規定しています。また、政令改正によって、自動車産業を含む裾野産業の発展におけるボトルネックの解消や部品の国内調達率の向上による国内サプライヤーの育成強化が期待されています。
政令改正案には本文とともに国民からの意見聴取のためのオフィシャルレター、輸入関税リストなどの附録が添付されており、政令125と本政令改正案の相違点は以下になります。なお、本政令改正案は草案段階であり、確定情報ではないためご留意ください。
No. | 現行の政令No.125/2017/NĐ-CP | 本政令改正案 |
1 | 優遇税プログラムに基づく自動車部品の輸入に対する優遇輸入関税率(政令125第6条により修正される政令No.122/2016/ND-CP第7a条) 1. 政令125において98.49グループに分類される自動車部品(優遇税プログラムに基づく輸入)に対する輸入関税0%についての規定。 2. 優遇税プログラムが適用される対象及び要件 a) 優遇税プログラムが適用される対象 自動車の製造、組立、輸入、メンテナンスに関する要件を規定する政令に従って製造及び組立の要件を満たす企業。 b) 優遇税プログラムが適用される要件 – EURO4(2018年~2021年)及びEURO5(2022年以降)を満たす自動車の製造、組立を誓約しなければならない。 – 自動車部品の輸入に対する優遇税率ロードマップにより各期間毎に決定される自動車の国内最低生産量が適用される自動車 ・ 87.03グループの乗員9名(運転手を含む)までの人輸送用の自動車でシリンダー容積が2,500ccを超えないもの ・ 87.02グループの10~19名の輸送用自動車(ミニバス) ・ 87.02グループの20名以上の輸送用自動車(バス) ・ 87.04及び87.05グループの貨物輸送及び特別目的の自動車(大型トラック) – 優遇税率ロードマップにより決定される特定期間内のモデルの製造(最低モデル製造) ・ 乗員9名までの人輸送用の自動車でシリンダー容積が2,500cc、燃費が7.5リットル/100kmを超えないもの ・ ミニバス ・ バス ・ 大型トラック – 優遇税プログラムが適用される対象の企業は、以下の条件を充足する製造及び組立のための自動車部品を自ら輸入するか他の組織又は個人に委託しなければならない。 ・ 98.49グループに属している。 ・ ベトナム国内で製造することができない部品である。 ・ 部品は完成品であるが組立が完了していないもの、又は完成していないが基本性能を有している。 3.優遇税率を適用するための手続 ・6月30日または12月31日から60日以内に、企業は輸入関税を0%とするロードマップの対象となる自動車の製造及び組立のための98.49グループの自動車部品の輸入関税0%の適用申請をする。この輸入関税0%の適用期間は毎年1月1日から6月30日又は7月1日から12月31日の間で6ヶ月を超えてはならない。 ・税務当局が企業の申請に基づき優遇税プログラム実施のための条件を審査する。 |
優遇税プログラムに基づく自動車部品の輸入に対する優遇輸入関税率(政令125第6条により修正される政令No.122/2016/ND-CP第7a条の修正) 1. 98.49グループに分類される自動車部品の輸入に対する輸入関税0%についての規定。 2. 優遇税プログラムが適用される対象及び要件 a) 優遇税プログラムが適用される対象 自動車の製造及び組立の要件の充足を示す商工省が発行した証明書を取得している企業。 b) 優遇税プログラムが適用される要件 – 自動車の製造及び組立を実施する企業は、優遇税プログラムに規定された生産量を満たさなければならない。 – ガソリン、石油で稼動する自動車の製造及び組立の場合、EURO4(2018年~2021年)EURO5(2022年以降)の排気量基準を満たすことを誓約しなければならない。所定の基準に従って車両モデルの製造と組立を行い、最小出力を満たさなければならない。 – 電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車、バイオ燃料使用自動車、天然ガス使用自動車の製造及び組立を実施する場合、企業は税優遇プログラムし参加しインセンティブを享受するために、税優遇プログラムの加入登録日から自動車モデルの確約をする必要はなく、政府当局による税優遇プログラム享受の検討期間(2020年1月から6月、2020年7月から12月、2021年1月から6月)のうち最初2つの期間で最低排気量基準を満たしている必要はないものの、 ・ 自動車の最低生産量を満たさなければならない。 ・ 自動車部品は、自動車の製造及び組立を実施する企業が自ら輸入するか他の組織又は個人に委託しなければならない。 ・ 自動車の製造および組立に使用される輸入自動車部品(破損した部品、欠陥品等を除く)は附録98.49グループに属していなければならない。 ・ ベトナム国内で製造することができない部品である。ベトナム国内で製造できない部品は計画投資省の規定に従う。 ・ 輸入する自動車部品は、科学技術省が規定する自動車部品の個別水準、性能を有するものである。 c) 特定の各期間に製造及び組み立てられた自動車の生産量は、この政令と共に発行される附録に規定される。 ・ 最低一般生産量は優遇税プログラムに参加登録時に企業が製造し、組立を実施している自動車の各種類に適用される生産量である(バス、トラック等のモデル)。 ・ 最低生産量は電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車、バイオ燃料使用自動車、天然ガス使用自動車に適用される生産量である。 ・ 最低特別生産量は優遇税プログラムの登録時に企業が製造し、組立を実施している自動車のモデルに適用される生産量である(特定の車種、ブランド)。 – 製造及び組み立てられるガソリン、石油、バイオ燃料および天然ガスを使用する自動車のモデルは以下である。 ・ 座席数9席未満の自動車 ・ ミニバス及びバス ・ トラック 外観、シャシー、車体、キャビンの基準は、自動車の基本的な技術的特性に基づいて規定され、自動車の技術設計書類に記載され、ベトナム交通運輸省傘下のにより検討、確認及び押印される。 d) 自動車モデルの数量について基準 – シリンダー容積が2.500cc以下、燃費が7.5リットル/100 kmを超えない座席数9席未満の自動車:1モデル – ミニバス:1モデル – バス、ミニバス:最大2モデル – トラック:最大2モデル。1モデルの総重量は2万キログラムでEURO 5排気量の基準に満たす。 3.優遇税プログラム(98.49グループの税率)を適用するための手続 ・6月30日又は12月31日から30日以内に、企業は輸入関税を0%とするロードマップの対象となる自動車の製造及び組立のための98.49グループの自動車部品の輸入関税0%の適用申請をする。この輸入関税0%の適用期間は毎年1月1日から6月30日又は7月1日から12月31日の間で6ヵ月を超えてはならない。 ・上記の期限から |
2 | 新しい条項:2019年から2023年の自動車産業の優遇裾野産業製品を生産する目的で輸入される自動車部品原材料に適用される優遇輸入関税率(産業優遇税プログラム:Chương trình ưu đãi thuế công nghiệp hỗ trợ) 1. 自動車産業の優遇裾野産業製品を生産する目的で輸入され、ベトナム国内で製造することができない原材料、組立用部品に対する輸入関税0%についての規定。 2. 産業優遇税プログラムが適用される対象及び要件 a) 適用対象 ベトナム国内で製造することができない原材料、組立用部品を輸入する企業 b) 適用要件 ・企業は、裾野産業の発展に関する政令No.111/2015/ND-CP附録IVのリストに記載されている自動車産業向けの優遇裾野産業製品の製造及び組立の目的のために原材料及び組立用部品を輸入することを誓約する。 ・企業は、政令No.122/2016/ND-CP第7a条に規定される優遇税プログラムの条件を満たす自動車の製造および組立を実施する企業との間で売買契約を締結しなければならない。 ・企業はベトナム国内に製造工場があり、工場内の機械設備の所有権または使用権を有している。 ・ベトナム国内で製造することができない原材料、組立用部品である。ベトナム国内で製造できない部品は計画投資省によって規定される。 3. 優遇税率を適用するための手続き 毎年6月30日または12月31日から30日以内に、企業は産業優遇税プログラムの輸入関税0%の適用の申請書を税関に送付する。この輸入関税0%の適用期間は毎年1月1日から6月30日又は7月1日から12月31日の間で6ヵ月を超えてはならない。 上記の期間から30日以内に企業は輸入関税0%の申請書類を提出するものとし、税関は、企業の申請書類に基づいて、産業優遇税プログラムを適用するかどうか、企業の対象製品及び条件を検査し、行政違反の規定に関する政府の規定及び税関分野における行政決定の強制執行に基づく企業の行政違反に対する罰則を適用する。 |
以上