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【AGS法務部ニュース】最新法令のアップデート: 土地賃料・納税期限延長に関する政令No. 41/2020/NĐ-CP

 今般、2020年4月8日付けでベトナム政府は、COVID-19感染拡大の影響で疲弊する企業等を後方支援するために土地賃料・納税期限延長に関する政令No. 41/2020/NĐ-CP(以下「本政令」)を公布し、同日より施行されています。

 以下、本政令の主な内容になります。

1.納税期限が延長される税金及び土地賃料

 下記の各種税金および土地賃料の納税期限が延長されます(本政令第1条)。

–  付加価値税(VAT)

–  法人所得税(CIT)

–  個人所得税(PIT)

–  土地賃料

2.適用対象

 本政令第2条に基づき、納税期限を延長することができる対象は下記の通りです。

a) 下記の事業内容を実施する企業・組織・世帯・個人(同条1項)

–  農業、林業、漁業

–  食品の生産・加工、紡織、衣服の生産、皮革製品の生産、木材加工、木材・竹・くず製品の生産(ベッド、タンス、机、椅子を除く)、藁・編まれた材料の製品の生産、紙・紙製品の生産、ゴムとプラスチック製品の生産、その他非金属鉱物による製品の生産、金属の生産、機械加工、金属の処理と塗装、電子製品・コンピューター・光学製品の生産、自動車およびその他のエンジンが搭載された車両の生産、ベッド・箪笥・机、椅子の生産

–  建設

b) 下記の事業内容を実施する企業・組織・世帯・個人(同条2項)

–  倉庫輸送、飲食と宿泊のサービス、教育訓練、健康増進支援活動、不動産の営業活動

–  就労サービス活動、旅行代理事業、ツアーの経営およびツアーの組織と広告に関する支援サービス

–  作曲・芸術・アミューズメント活動、図書館・保存・博物館の活動およびその他の文化的活動、スポーツ・娯楽活動、映画上映活動

c) 野産業の工業製品、重点的な機器製品を生産する企業・組織・世帯・個人(同条3項)

裾野産業の工業製品は、2015年11月3日付けで政府により公布された裾野産業の発展に関する政令No.111/2015/ND-CPに従い判断され、重点的な機器製品は、2018年3月15日付けで政府首相により公布された2025年までの機器業界の発展戦略および2035年までの計画承認に関する決定No. 319/QD-TTgに従い判断されます。

d) 中小企業支援法04/2017/QH14および2018年3月11日付けで政府により公布された中小企業支援法のガイドラインに関する政令No.39/2018/ND-CPに従い判断される小規模企業及び小企業(同条4項)[1]

e) ベトナム国家銀行の規定に従い、COVID-19感染拡大により悪影響を受けた企業・組織・世帯・個人である顧客向けの支援提案を実行する金融機関、外国国家銀行支店。ベトナム国家銀行は、税務機関が本政令に従って納税及び土地賃料の期限延長を実行する目的として、顧客支援を行っている金融機関、外国国家銀行支店のリストを公布する責任を負います(同条5項)

上記a)、b)、c)に規定する事業分野の企業・組織・世帯・個人は、企業・組織・世帯・個人が2019年または2020年に生産・経営活動をしており、且つ売上が発生した企業・組織・世帯・個人が対象となります。

上記の対象となる事業分野を含む複数の事業を実施している企業等は、上記に該当する事業分野のみならず、その企業等が実施する全ての事業について納税期間の延長をすることができます(本政令3条5項)。

3.土地賃料及び納税期限の延長(本政令第3)

a) 付加価値税(輸入付加価値税を除く)(同条1項)

– 対象となる課税期間および延長期間

本政令第2条に規定される対象企業等に該当する企業・組織の2020年3月、4月、5月、6月の課税対象期間(月毎に付加価値税を申告納税する場合)および2020年第1ならびに第2四半期の課税対象期間(四半期毎に付加価値税を申告納税する場合)に発生する付加価値税に対して、納税期限が延長されます。納税期間の延長は、税管理法に従った納税期限の末日から5ヶ月間です。

延長期間中の納税申告書類の追補および税関当局からの追加書類の提出要請により、納付すべき付加価値税の金額が増加する場合、当該金額も延長の対象に含まれます。

– 対象企業による申告書の提出

納税期間の延長の対象となる企業・組織は、現行法令の規定に従い、毎月または四半期毎の付加価値税申告書の提出は継続して実施しなければなりませんが、この申告書に記載された税額が実際に課されることはありません。

– 具体的な延長期間

・2020年3月の付加価値税の納税期限:2020年9月20日まで

・2020年4月の付加価値税の納税期限: 2020年10月20日まで

・2020年5月の付加価値税の納税期限: 2020年11月20日まで

・2020年6月の付加価値税の納税期限: 2020年12月20日まで

・2020年第1四半期の付加価値税の納税期限: 2020年9月30日まで

・2020年第2四半期の付加価値税の納税期限: 2020年12月30日まで

– 支店等の取り扱い

本政令第2条に規定される対象企業等の支店および直属の事業拠点が税務機関に付加価値税を本店とは別に報告した場合、その支店及び直属の事業拠点が付加価値税の納税期限の延長の対象となります[2]。上記2.a)、b)、c)に規定される対象企業等の支店および直属の事業拠点が生産、事業活動を実施していない場合[3]、その支店および事業拠点は納税期限の延長の対象となりません。

b) 法人所得税(同条2項)

– 延長対象の税金額

2019年度の決算書に基づく未納額および2020年度第1四半期ならびに第2四半期の法人所得税額。

– 延長される納税期間

納税期間の延長は、税管理法に従った納税期限の末日から5ヶ月間です。

– 支店等の取り扱い

本政令第2条に規定される対象企業等の支店および直属の事業拠点が税務機関に法人所得税を本店とは別に報告した場合、その支店及び直属の事業拠点が法人所得税の納税期限の延長の対象となります[4]。上記2.a)、b)、c)に規定される対象企業等の支店および直属の事業拠点が生産、事業活動を実施していない場合[5]、その支店および事業拠点は納税期限の延長の対象となりません。

c) 個人所得税(同条3項)

– 対象となる税金

2020年の個人所得税額

– 対象となる世帯・個人

本政令第2条1、2、3項(上記2a)、b)、c))に規定される事業分野、業界に従事する世帯・個人

– 延長される納税期間

2020年12月31日まで

d) 土地賃料(同条4項)

– 対象となる土地賃料

権限のある国家機関の決定または契約に基づき年払いの方法により土地使用権を国家から直接リースしている企業、組織、世帯、個人が2020年の最初の期間に支払う土地賃料[6]

– 延長期間

2020年5月31日から5ヶ月間です。

4.延長の方法、手続

 本政令第4条1条に従って、対象となる納税者は下記の手続を実施します。

–  本政令に添付された土地賃料・納税期限延長の申請書を作成する。

–  月毎・四半期毎の納税申告書類の提出時点で、所管する税務管理当局に上記申請書を送付する(延長を希望する全ての課税期間の税金・土地賃料について一度に提出する)。

–  上記の時点で申告書を提出しない場合、遅くとも2020年7月30日までに提出しなければならず、それ以降の提出、延長の申請は認めらません(同条2項)。

税務管理当局は申請した納税者に対して土地賃料・税金の支払延長に関する承認を通知しません。しかし、申請した納税者が延長の対象に属しないと疑われる場合には、税務管理当局は下記の期間内に下記の対応を行います(同条3項)。

–  延長期間内の場合、税務管理当局は納税者に対して延長停止に関する報告書を送付し、納税者は延長期間中の税金、土地賃料、延滞金を十分に納付しなければなりません。

–  延長期間経過後の場合、納税者は未納の税金・土地賃料に加えて延滞金、罰金を十分に納付しなければなりません。

以上

[1] 中小企業支援法では、中小企業は従業員人数、定款資本金、売上等を基準として小規模企業(micro enterprise)、小企業(small enterprise)、中規模企業(medium-sized enterprise)に分類されますが、本政令において対象となるのは小規模企業及び小企業のみになります。

[2] 本店がその支店及び直属の事業拠点の付加価値税の報告をあわせて実施した場合、本店のみならずその支店及び直属の事業拠点も本政令に基づく納税期間の延長を受けることができると考えられます。

[3] 上記2.a)、b)、c)に規定される対象企業等のように活動していない時期、年に関する規定は置かれていません。

[4]本店がその支店及び直属の事業拠点の付加価値税の報告をあわせて実施した場合、本店のみならずその支店及び直属の事業拠点も本政令に基づく納税期間の延長を受けることができると考えられます。

[5]上記2.a)、b)、c)に規定される対象企業等のように活動していない時期、年に関する規定は置かれていません。

[6] 現行の土地法上、土地使用権の取得方法としては大きく国家からの割当とリースがありますが、本政令において支払期限の延長対象となるのはリースに伴う土地賃料であると考えられます。

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