2020年7月28日付でベトナム政府は、労働災害と職業病の強制保険に関する労働安全衛生法の細則とガイドラインを規定する政令No.37/2016/ND-CPに代わる政令No.88/2020/ND-CPを発行しました。本政令は2020年9月15日から施行されます。
その概要は以下の通りです。
1.労働災害・職業病保険基金は労働災害、職業病の被災労働者が労働安全衛生法第43条2項に基づいて複数の企業と労働契約を締結する場合、次の制度を享受することができます。・強制社会保険に加入する労働者に対して安全衛生法第3章3節に規定される制度。
・転職、職業病の診察・治療、労働能力の回復、労働安全衛生に関する教育訓練の支援。
2.有給で国内および国外へ訓練・出張のために派遣される労働者、または休業の労働者に対し、企業は当該時間に応じた労働災害・職業病保険料を納付しなければなりません。3.基金の初回納付月、または労働契約解除により加入中断後に職場に復帰した初回月に労働災害にあった場合、企業は当該時間の労働災害・職業病保険料を納付しなければなりません。
労働災害・職業病制度を適用するための根拠となる期間は、次の通り判断されます。
・労働災害・職業病制度を適用するための根拠となる時間は、労働者が労働災害・職業病保険料を納付したすべての期間を指します。
・労働災害・職業病保険料を納付する期間に連続性がない場合でも合算して計算されます。
・企業は社会保険法に基づき14日間以上の産休期間中、労働災害・職業病保険料を納付する責任はありません。ただし、当該産休期間は労働災害・職業病保険料を納付する期間とみなされます。
・逮捕・拘留され、または労働契約の履行が一時停止されたことにより労働災害・職業病保険料を納付しなかった労働者に対し、社会保険法に基づいてあらためて納付された場合、当該期間は労働災害・職業病保険料を納付する期間とみなされます。
4.労働災害・職業病制度を適用するための根拠となる給与は、次の通り判断されます。・労働災害・職業病制度を適用するための根拠となる給与は、労働災害事故が発生したと判断された月の前月の給与を指します。ただし、基金の初回納付月、または労働契約解除により加入中断後に職場に復帰した初回月に労働災害にあった場合は、当該初回月の給与となります。
・労働者が複数の企業と労働契約を締結する場合、労働災害事故または職業病が発生したと判断された月の前月のすべての労働契約の給与を指します。ただし、当該給与は基礎給与の20ヶ月分を超えてはなりません。
5.企業が受け取れる支援の条件・給付額に関する詳細な規定は、次の通りです。a. 企業は被災労働者が次の条件を満たす場合、労働安全衛生法第55条に基づき、当該労働者が異動・転職するための職業訓練料を支援されます。
・労働災害・職業病による労働能力の喪失率が 31%以上であること
・自己の健康状態・希望に応じて企業の管轄範囲における新たな業務に配属される場合、異動・転職のための職業訓練が必須であること
・労働災害・職業病に遭遇した場合、有効な関連法令に基づいて労働災害・職業病に関する保険に加入中であること
b. 企業は被災労働者が次の条件を満たす場合、労働安全衛生法第56条2項a号に基づき、当該労働者に対する職業病診断料を支援されます。
・労働災害・職業病保険料の納付期間が12ヶ月以上であり、かつ職業病診断料の支援給付を申請する直前月まで労働災害・職業病に関する保険に加入中であること
・職業病の診断・治療機関に職業病であると診断されること
なお、給付額は、被災労働者の職業病を診断する際に保健省より発行した有効な診断料金表に基づいて計算される職業病診断料の50%となります。ただし、1人あたりの1回の診断につき800,000VNDを超えてはなりません。
c. 企業は被災労働者が次の条件を満たす場合、労働安全衛生法第56条4項に基づき、労働安全衛生訓練料を支援されます。
・労働安全衛生訓練料の支援給付を申請する当月まで、労働安全衛生訓練支援の申請の対象である労働者に対して労働災害・職業病保険料を連続12ヶ月以上納付していること
・労働安全衛生訓練支援の申請の対象者に対し、労働安全衛生訓練の条件を満たす訓練機関に労働安全衛生訓練(初回又は定期)を委託している、または自ら労働安全衛生訓練(初回又は定期)を実施していること
なお、労働安全衛生の定期報告および給付申請の直前年度の労災状況報告を実施していると、企業は、労働安全衛生訓練支援の各条件を満たす対象者に関して最大24ヶ月間で1回、実際の労働安全衛生訓練料の70%に相当する支援給付を受給することができます。
以上