いつも大変お世話になっております。
AGS設立部の山崎と申します。
今回は、建設・建築企業がベトナム国内で建設工事を受注するにあたり、現地で必要となる諸手続きの中で、プロジェクトオフィス(Project Office:PO)の設置についてご案内させて頂きたいと思います(※)。
(※)建設プロジェクトの為、外国契約者がベトナム国内の特定プロジェクトを遂行する
目的で、建設作業現場に開設する架設オフィスを指す。
昨今、ホーチミン市やハノイ市を中心とするベトナム大都市圏では、特定商業施設や、病院、学校、マンション、工場の建設に加え、地下鉄の開発、橋梁等のODA案件を始めとするインフラプロジェクトによる開発が活発に行われております。海外からの投資案件の数量増加に伴い、ベトナムにおける建設・建築企業の進出も増加しており、特に大手ゼネコン業者の下請けとなる下請業者(Subcontractor:以下、サブコンという)の進出が拡張傾向にあります。同事情に伴い、弊社でも日系の建設・建設業者様、ベトナム進出に関するご相談を頂く機会が増えて来ております。
ベトナムでの建築・建設工事を受注したものの、期間が限定された有期限の短期プロジェクトである為、現地法人の設立が不要である場合は、建設現場にプロジェクトオフィス(建設工事ごとに登録が必要な架設事務所)の開設が必須となり、同オフィスの開設をもって、建設工事への参加が許可されます。
(※)ベトナムにおいて外国企業が建設工事を請負う場合、プロジェクトオフィスの設置には、ハノイ建設省または地方省・市の建設局が発行する建設許可証(Contractor permit)の取得が必要となります。
法律上、外国企業は、建設工事の実施にあたり、建設工事場所の管轄省市の建設省または建設局から発行される建設許可証(Contractor permit)を取得し、プロジェクトオフィスを開設する流れとなります。
以下はプロジェクトオフィス開設における、一般的な手続きです。
(管轄省市の運用方法に基づき、申請書類の内容は誤差がある場合もございます)
【プロジェクトオフィス開設の流れ】
STEP1. 建設許可証(Contractor permit)申請・総工事費1兆5,000億VND以上➡建設省(審査期間:20営業日)
(※)建設局では、審査期間は概ね遵守されている。
・総工事費1兆5,000億VND以下➡建設局(審査期間:20営業日)
(※)建設省では、業務多忙等の理由で審査期間が延長される事例も多い。
STEP2: ①プロジェクトオフィスの印鑑(seal)作成
・公安局(審査期間:5営業日)➡印鑑ならびに印鑑証明書の取得
②プロジェクトオフィスの開設報告
・管轄省市
(※)建設許可証の取得後、プロジェクトオフィスの印鑑を作成するまでは、
建設工事を開始することが出来ない為、余裕を持った申請が必要である。
STEP3. ①税コードの取得
・税務局(審査期間:5営業日)
②銀行口座の開設
・銀行(審査期間:1営業日)
STEP4.【建設工事スタート】
申請開始から建設工事スタートまでの目安期間:約7~10週間
法令上、プロジェクトオフィスは納税主体となる為、法人税やVATの納税義務が発生致します。プロジェクトオフィスの開設後は、税コードの取得や会計記帳、納税義務が発生致し、またプロジェクト終了時には税務調査を実施の上、税コードの閉鎖、清算し、閉鎖手続きを行う必要があります。
プロジェクトオフィスの設置は比較的簡単ですが、閉鎖時の税務調査において追徴課税を課される事例が散見され、税務調査に起因した清算手続きの長期化により、日本本社への送金遅延等、閉鎖時により多くのリスクを内包しております。
特にプロジェクトオフィスの場合は、現地法人や駐在員事務所の場合と異なり、経理業務への専任スタッフの雇用しないケースも多く、特に閉鎖時に注意が必要となります。
弊社では、プロジェクトオフィスの開設から閉鎖(清算)に至るまで、
お客様の抱える様々な問題に対し迅速かつタイムリーなアドバイスをご提供しております。
ベトナムでの建設工事受注に際し、現地進出や、進出後の御手続きにおいて、
お困りのことがございましたら、是非弊社までお気軽にお問合せ頂ければ幸いに存じます。
2017年10月31日
AGS設立部 山崎