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【AGS法務部ニュース】最新法令のアップデート: 付加価値税、 土地賃貸料等の支払期限延長に関する 政令 No. 52/2021/NĐ-CP

 ベトナム政府は、 4 19 日付で付加価値税、法人所得税、個人所得税、土地賃貸料の支払期限延長に関する政令 No.52/2021/NĐ-CP(政令 52 )4 19 日付で公布しました。同政令は、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けた企業を支援するため、付加価値税、法人税、個人所得税および土地賃貸料の支払期限延長について定めたもので、即日で施行となりました。 尚、去年 4 8 日付で公布した税金および土地賃貸料の支払期限延長に関する政令No.41/2020/NĐ-CP(「 政 令 41  」 は 現 在 も 有 効 と な っ て い ま す(http://ags-vn.com/ja/news/38957.html)政令 52 号の主な内容は以下の通りです。

1. 適用対象(2 )

 政令 52 号第 2 条に基づき、納税期限を延長することができる対象は以下の通りです。

(1) 以下の事業内容を実施する企業・組織・ 経営世帯・個人(同条 1 )
 ・農業、林業、漁業
 ・食品の生産・加工、紡織、衣服の生産、皮革製品の生産、木材加工、木材・竹・くず製品の生産(ベッド、タンス、机、椅子を除く )、藁・編まれた材料の製品の生産、紙・紙製品の生産、ゴムとプラスチック製品の生産、その他非金属鉱物による製品の生産、金属の生産、機械加工、金属の処理と塗装、電子製品・コンピュータ ・光学製品の生産、自動車およびその他のエンジンが搭載された車両の生産、ベッド・ タンス・机・ 椅子の生産
 ・建設
 ・出版活動; 映画活動、テレビ番組制作、音楽録音および出版活動
 ・原油と天然ガスの抽出(契約に基づいて収集された原油、コンデンセート、天然ガスの法人所得税の延長はありません)
 ・飲料の製造; あらゆる種類の記録のコピー、 印刷;コークス炭、精製石油製品の生産; 化学製品および化学製品; プレハブ金属からの製品の製造(機械設備を除く ); バイクおよびオートバイの製造; 機械および装置の修理、保守、設置
 ・排水および廃水処理

(2) 以下の事業内容を実施する企業・組織・ 経営世帯・個人(同条 2 )
 ・倉庫輸送、飲食と宿泊のサービス、教育訓練、健康増進支援活動、不動産の営業活動
 ・就労サービス活動、旅行代理事業、ツアーの経営およびツアーの組織と広告に関する支援サービス
 ・作曲・芸術・アミューズメント活動、図書館・保存・博物館の活動およびその他の文化的活動、スポーツ・娯楽活動、映画上映活動
 ・ラジオおよびテレビ活動; コンピュータプログラミング、コンサルティングサービス、およびコンピュータに関連するその他の活動; 情報サービス活動
 ・鉱業サービスを支援する活動。

(3) 裾野産業の工業製品、重点的な機器製品を生産する企業・組織・世帯・個人(同条 3 項)裾野産業の工業製品は、 2015 11 3 日付で政府により公布された裾野産業の発展に関する政令 No.111/2015/ND-CPに従い判断され、重点的な機器製品は、 2018315日付で政府首相により公布された 2025 年までの機器業界の発展戦略および 2035 年までの計画承認に関する決定 No. 319/QD-TTg に従い判断されます。

(4)中小企業支援法 No.04/2017/QH14 および 2018 3 11 日付で政府により公布された中小企業支援法のガイドラインに関する政令 No.39/2018/ND-CPに従い判断される小規模企業および小企業(同条 4 項)1

(5) ベトナム国家銀行の規定に従い、 COVID-19 感染拡大により悪影響を受けた企業・組織・世帯・個人である顧客向けの支援提案を実行する金融機関、外国国家銀行支店(同条 5 )

 上述(1)から (3)に規定する事業分野の企業・組織・世帯・個人は、企業・組織・世帯・個人が 2020 年または 2021 年に生産・経営活動をしており、且つ売上が発生した場合に対象となります。

 上述の対象となる事業分野を含む複数の事業を実施している企業等は、 上述に該当する事業分野のみならず、その企業等が実施する すべての事業について納税期間の延長をすることができます(政令 52 号第 3 5 )

2. 土地賃料および納税期限の延長(政令 52 号第 3 )
 (1) 付加価値税(輸入付加価値税を除く )(同条 1 )

 ・対象となる課税期間および延長期間

 本政令第 2 条に規定される対象企業等に該当する企業・組織の 2021 3 月の課税対象期間(月毎に付加価値税を申告納税する場合)および 2021 年第 1 ならびに第 2 四半期の課税対象期間(四半期毎に付加価値税を申告納税する場合)に発生する付加価値税に対して、納税期限が延長されます。
 2021 3 月から 6 月までの付加価値税と 2021 年第 1 四半期、第 2 四半期の延長期間は 5 ヵ 月間です。 2021 7 月の付加価値税額の延長期間は 4 ヵ 月間です。 2021 8 月の付加価値税の延長期間は 35 ヵ 月間です。
この時点での猶予期間は、 税管理法に従った納税期限の末日
(終了日)から計算されます。 延長期間中の納税申告書類の追補および税関当局からの追加書類の提出要請により、納付すべき付加価値税の金額が増加する場合、当該金額も延長の対象に含まれます。

 ・対象企業による申告書の提出

 納税期間の延長の対象となる企業・組織は、現行法令の規定に従い、毎月または四半期毎の付加価値税申告書の提出は継続して実施しなければなりませんが、この申告書に記載された税額が実際に課されることはありません。

 具体的な延長期間は以下となります。
2021 3 月の付加価値税の納税期限: 2021 9 20 日まで
2021 4 月の付加価値税の納税期限: 2021 10 20 日まで
2021 5 月の付加価値税の納税期限: 2021 11 20 日まで
2021 6 月の付加価値税の納税期限: 2021 12 20 日まで
2021 7 月の付加価値税の納税期限: 2021 12 20 日まで
2021 8 月の付加価値税の納税期限: 2021 12 20 日まで
2021 年第 1 四半期の付加価値税の納税期限: 2021 9 30 日まで
2021 年第 2 四半期の付加価値税の納税期限: 2021 12 31 日まで

 ・支店等の取り扱い

 政令 52 号第 2 条に規定される対象企業等の支店および直属の事業拠点が税務機関に付加価値税を本店とは別に報告した場合、その支店および直属の事業拠点が付加価値税の納税期限の延長の対象となります2。 上述 1.(1)から (3)に規定される対象企業等の支店および直属の事業拠点が生産、事業活動を実施していない場合3、その支店および事業拠点は納税期限の延長の対象となりません。

(2) 法人所得税(同条 2 )

・延長対象の税金額
2021 年度第 1 四半期ならびに第 2 四半期の法人所得税額。

・延長される納税期間
納税期間の延長は、税管理法に従った納税期限の末日から ヵ 月間です。

・支店等の取り扱い
政令
52 号第 2 条に規定される対象企業等の支店および直属の事業拠点が税務機関に法人所得税を本店とは別に報告した場合、その支店および直属の事業拠点が法人所得税の納税期限の延長の対象となります4。 上述 1.(1)から(3)に規定される対象企業等の支店および直属の事業拠点が生産、事業活動を実施していない場合5、その支店および事業拠点は納税期限の延長の対象となりません。

(3) 個人所得税(同条 3 )

・対象となる税金
2021 年の個人所得税額

・対象となる経営世帯・ 経営個人
上述 1.(1)から (3)に規定される事業分野、業界に従事する 経営世帯・ 経営個人

・延長される納税期間
2021 12 31 日まで

(4) 土地賃料(同条 4 )

・対象となる土地賃料
権限のある国家機関の決定または契約に基づき年払いの方法により土地使用権を国家から直接リースしている企業、組織、世帯、個人が
2021 年の最初の期間に支払う土地賃料6

・延長期間
2021 5 31 日から 6 ヵ 月間です。

3. 延長の方法、手続

 政令 52 号第 4 1 条に従って、対象となる納税者は以下の手続を実施します。

・政令 52 号に添付された土地賃料・納税期限延長の申請書を作成する。
・月毎・四半期毎の納税申告書類の提出時点で、所管する税務管理当局に上述の申請書を送付する (延長を希望する すべての課税期間の税金・土地賃料について一度に提出する )。
・上述の時点で申告書を提出しない場合、遅くとも 2021 7 30 日までに提出しなければならず、それ以降の提出、延長の申請は認められない(同条 2 )

 税務管理当局は申請した納税者に対して土地賃料・税金の支払延長に関する承認を通知しません。しかし、申請した納税者が延長の対象に属しないと疑われる場合には、税務管理当局は以下の期間内に以下の対応を行います(同条 3 )

・延長期間内の場合、税務管理当局は納税者に対して延長停止に関する報告書を送付し、納税者は延長期間中の税金、土地賃料、延滞金を十分に納付しなければなりません。
・延長期間経過後の場合、納税者は未納の税金・土地賃料に加えて延滞金、罰金を十分に納付しなければなりません。

1 中小企業支援法では、中小企業は従業員人数、定款資本金、売上等を基準として小規模企業(microenterprise)、小企業(small enterprise)、中規模企業(medium-sized enterprise)に分類されますが、本政令において対象となるのは小規模企業および小企業のみになります。

2 本店がその支店および直属の事業拠点の付加価値税の報告をあわせて実施した場合、本店のみならずその支店および直属の事業拠点も本政令に基づく納税期間の延長を受けることができると考えられます。
3 上記 1.(1)から(3)に規定される対象企業等のように活動していない時期、年に関する規定は置かれていません。
4 本店がその支店および直属の事業拠点の付加価値税の報告をあわせて実施した場合、本店のみならずその支店および直属の事業拠点も本政令に基づく納税期間の延長を受けることができると考えられます。

5 上述 1.(1)から (3)に規定される対象企業等のように活動していない時期、年に関する規定は置かれていません。
6 現行の土地法上、土地使用権の取得方法としては大きく国家からの割当とリースがありますが、本政令において支払期限の延長対象となるのはリースに伴う土地賃料であると考えられます。

以上

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